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先日5月23日に、イギリスの俳優”ロジャー・ムーア”氏が癌のため亡くなられました。89歳でした。”ロジャー・ムーア”さんと言えば、大人気映画シリーズ「007」のジェームス・ボンド役として、同シリーズ7作品で主演を務めた名優で、世界中から多くの哀悼が捧げられています。
その中で、彼の大ファンだった”マーク・ヘインズ”さんという方が幼少期に彼と出会った時のエピソードをラジオで話していたのですが、そのエピソードがとっても素敵なんです！このラジオの内容をTwitterユーザーの”せり”さんが翻訳してくれています。素敵なエピソードで”ロジャー・ムーア”氏の粋な計らいにグッときます！
ロジャー・ムーアが本当にカッコイイ！
このエピソードは本当に素敵なので、ぜひ多くの人に読んでいただきたいです！下記に翻訳文を書き起こしておりますので、ご覧ください。
RT ロジャー・ムーアにまつわるお話がとても素敵だったので、拙訳を。元ソースはヘインズさんがラジオで話されたこちらのようです。https://t.co/EbWczAdLss pic.twitter.com/YhgXrWfVCC
— せり (@cerriiee) 2017年5月24日
▼以下”せり”さんの翻訳の書き起こし
1983年、まだ空港にファーストクラス用のラウンジというものが存在しなかった時代。当時7歳だった僕が祖父とニース空港にいたと出発ゲート付近に座って新聞を読むロジャー・ムーアを目にした。
僕はたった今ジェームズ・ボンドを見たこと一緒にサインをもらいに行ってほしいことを祖父に伝えた。ジェームズ・ボンドもロジャー・ムーアも全く知らなかった祖父は、ふたりで歩いていくと、ロジャー・ムーアの前にひょいと僕を突き出してこう言った。
「孫が、あなたは有名人だって言うんです。これにサインしてくれませんかね？」
期待を裏切らない人当たりの良さでロジャーは僕の名前を訊ね、航空券の裏にしかるべくサインをし、仰々しいほどのメッセージを添えてくれた。僕は有頂天になったが、自分たちの席に戻りながらふとサインを見たときのこと。判読しづらかったもののそのサインが「ジェームズ、ボンド」でないのは明らかだった。
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祖父は「ロジャー・ムーア」ではないかと半ば読み解き、それが誰だか皆目見当がつかなかった僕の心は沈んだ。
僕は彼のサインが間違っていること別の誰かの名前を書いていることを祖父に話した。そこでロジャー・ム-アがサインしたばかりの航空券を手に、祖父は彼の元へ引き返した。自分の席に座りながら、祖父の言葉が聞こえてきたのを覚えている。
「あの子が言うには、サインした名前が間違っているそうで。あなたの名前はジェームズ・ボンドだって言うんですよ」
事を理解したロジャー・ムーアの目尻に皺が寄り、彼は僕を呼び寄せた。僕が彼の膝元まで行くと彼は身を屈めて左右に視線を走らせ、を持ち上げて、ヒソヒソ声で僕にこう言ったのだ。
「私は 『ロジャー・ムーア』という名前でサインをしなければならないんだ。さもないと…ブロフェルド居場所がバレてしまうかもしれない」
彼はジェームズ・ボンドを見かけたことを誰に言わないでほしいと僕にお願いし、秘密を守る僕に礼をした。席に戻る僕の心臓は、喜びあまりばくばくと音を立てた。祖父は「ジェームズ・ボンド」のサインをもらったかと僕に訊ねた。ううん、と僕は答えた。間違っていたのは僕だった。今や僕は、ジェームズ・ボンドと一緒任務に就いたのだ。
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それから長い年月が経ちUNICEF関連の撮影で脚本家として仕事をしたときのこと。ロジャー・ムーアが国連大使としてカメラに向かってセリフを言うことになっていた。彼はとても素敵な人で、カメラマンが機材の準備中、僕はぽろりとニース空港で会った時のとを彼に話した。それを聞いた彼は喜び、笑ってこう言った
「まぁ、私は記憶にないんだが君がジェームズ・ボンドと会えたことを喜ばしく思うよ。」
素敵な体験だった。ところが、彼はとんでもないことをやってくれた。
撮影後、自分の車に向かう彼が僕の脇をすり抜け、僕と並んだところで立ち止まり、左右に視線を走らせ、眉を持ち上げて、ヒソヒソ声で僕にこう言った。
「もちろん、ニースでの君との出会いは覚えていたさ。だが私が何も言わなかったのは、あのカメラマンたち、彼らの中の誰かが、ブロフェルドの部下とも限らないからね」
7歳の時に負けず劣らず30歳の僕は有頂天になった。なんて人だろう。なんという、とてつもない人なんだろう。
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本当に粋ですよね！まさにこれこそ神対応！！凄くカッコイイです！ロジャー氏は生前ユニセフの親善大使を25年以上も続け、世界中の子供たちに多くの愛を与えてきた人でもあります。親善大使になる前から、子供に対してとっても優しい紳士だったんですね！
多くの人から愛された名優サー・ロジャー・ムーアのご冥福をお祈りいたします。
