痴漢被害者の女子高生が「Stop痴漢バッジ」を考案…世の中への普及プロジェクトが動き出した

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出典:twitter.com

通学電車内で痴漢被害に遭っていた女子高生が「Stop痴漢バッジ」を考案。その実現と世の中への普及に向けた取り組みが発表されて話題となっています。


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「Stop痴漢バッジ」プロジェクトの記者発表が行われた

11月2日、株式会社クラウドワークスにて、痴漢被害に悩む女子生徒が考案した「Stop痴漢バッジ」プロジェクトの記者発表が行われました。

プロジェクトの目的は、痴漢被害に遭っていた女子生徒が自ら考案し、実際に効果があったとされる「Stop痴漢バッジ」の普及。缶バッジのデザインを同社が手掛けるクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」で公募するというものだそうです。11月11日から「Stop痴漢バッジデザイン」コンテストをスタートし、クラウドサービスを活用したコンテストを実施。多くの人に痴漢被害の実態に目を向けてもらう効果を期待しているといいます。

バッジをつけるようになってから、痴漢被害がなくなった

通学電車内で痴漢被害に遭っていた女子高生は、2015年4月に母親と一緒に「痴漢は犯罪です 私は泣き寝入りしません!」と書いた「Stop痴漢バッジ」を考案したといいます。そして、バッジをつけるようになって以来、毎日のように受けていた痴漢被害がなくなったそうです。

これが、そのバッジです(デザインはフリー素材を使用し、家にある材料で制作されたとのこと)。
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出典:twitter.com

プロジェクト化のきっかけはSNS

プロジェクト化のきっかけは、女子高生の母親がこの件についてSNSで発信したものを、今回のプロジェクトの代表者である松永弥生さんが目にしたため。

松永さんはこう語っています。

このカードは誰のことも責めていない。泣き寝入りしないという決意を表明しているだけで、自分の身を守ろうという素晴らしい案だと思いました。ただ、若い女の子がこれをつけて電車に乗るのはいたたまれないとも思いました。

そこで、デザインを変え、素材も缶バッジに変更。そうすれば「もう少しつけやすくなるのでは?」と提案されたそうです。当初、本人が制作したバッジよりも文字や絵が小さいため、女子生徒は効果に不安を感じたようですが、バッジのリニューアル後も痴漢の被害には遭っていないそうです。

左側が当初のバッジ。右側が現在のバッジ。
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出典:twitter.com

(この件に対して寄せられていた声)

・ごく普通の女のコがここまでしなければならない日本の痴漢天国ぶり…本当に恥ずかしい国としか言いようがない。

・「こんなバッジつけた女がラッシュ時の車内にいたら迷惑」みたいなコメントがついているが、何が迷惑なんだかよくわからないな。

・これは素晴らしい。私も昔は散々悩まされた。今はもう狙われることはないけど、この子たちを応援するためにバッジを着けようと思う。

・痴漢たちはある種目立つ娘には手を出しづらいんだろうね。うまく広がるといいですね!

・これが必要なのが恥ずかしい。バッジないと「触っても安心」とかいうバカな奴いるだろうね。「痴漢されたら私に救いを求めてくださいバッジ」作ろうかな。

・痴漢は抵抗しなさそうな人を選ぶと聞くので、この強い意思表示は効果ありそう。

プロジェクトの概要

痴漢被害にあっている女性達に受け入れられる缶バッジのデザインを、クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」で公募(Stop痴漢バッジデザインコンテスト)。また、缶バッジの製作資金や普及活動における支援者の募集は、クラウドファンディングサービス「FAAVO東京23区」で実施。これら2つのクラウドサービスを活用し、多くの方々が痴漢被害に対し目を向ける機会となる効果も期待しているそうです。募集はともに11月11日からとのこと。また、支援者にはデザインコンテストの投票権が付与されるそうです。

その後、支援者投票と考案者の女子高校生を含むプロジェクトメンバーで、実際に缶バッジに採用するデザインを決定。2016年3月より、支援者にバッジ配布を開始。4月に電車通学・通勤を始める新入生や新社会人の元に「Stop痴漢バッジ」を提供していく予定とのこと。

プロジェクトの公式サイトはこちらです。

最後に、このプロジェクトの発表会で公開されたという女子生徒の手記(出典元より引用)をご紹介します。

記者の皆様

高校に入学して電車通学するようになってから、痴漢に遭うようになりました。私は見た目も地味で、特別目を引くようなタイプではありません。それなのに、なぜ自分がこんな目に遭わなければならないのか、今でもわかりません。高校の友人に聞いても、私のように頻繁に痴漢に遭う人がいなくて、自分と周りとの違いは何なのか、なぜ自分がこんなに狙われるのか、どうしたら狙われなくなるのか、ずっと考えていました。

防犯ブザーや、「痴漢です」と音の出るマスコットを持ち歩いたり、同学年の男子生徒に頼んで一緒に帰ってもらったり、様々な工夫をしましたが、どれも効果がなかったり、続けるのが難しいものでした。もうどうすればいいかわかりませんでした。

初めて痴漢に遭ったのは、高校に入学してすぐのことでした。まだ電車通学に慣れていなかった頃、ホームの端の女性専用車に乗らずに普通車両に乗ってしまい、見知らぬ男性にお尻を触られました。車内は満員で、どうする事も出来ずに泣き寝入りしました。最初の頃は、本当にショックで、学校に着くと担任の先生に泣きついてしまう事もありました。

下校時は女性専用車がないので、痴漢に遭うことが多かったです。私をドアに押し付け逃げ道をなくし、降りるはずだった駅を過ぎて知らない場所まで連れて行かれたこともありました。その時はパニック状態で、降りた駅の名前も覚えていません。よく家まで帰れたと思います。

そのほかにも、両手でつり革を持ち周囲に気づかれないように股間を押し付けてくる人。やめてくださいと言っても知らん顔で、両手を上げているので周りも無反応。こういうタイプは対処の仕方がわかりません。

そうして一年が過ぎ、段々声を上げられるようになりました。それでも無視するか、「やってないよ!」と言って逃げていく人ばかりでした。今度は勇気を出して痴漢を捕まえてみようと思いました。そして忘れもしない、バッジを作るきっかけとなった事件が起こりました。

※バッジを作るきっかけとなった事件(警察に被害届を出した事件)についての記述は省略。記事掲載の際は省略するように会見で要望があったため。

この事件をきっかけに、本格的に痴漢を防ぐ方法を考え始めました。そうして母と考案したのが、「痴漢は犯罪です。私は泣き寝入りしません」と書いたカードです。こういうものをつけるのは恥ずかしい、と人に思われるとは思いましたが、私自身は恥ずかしくありませんでした。ここまですれば痴漢してくる奴はいないだろう、という自信があったからです。

むしろこの程度で痴漢が止むなら安いものだ、と思いました。カードをつけはじめてからは、嘘のように痴漢に遭わなくなりました。見知らぬ人にカードについて声をかけられることもありました。「頑張ってね」と応援してくれた人や、「気を付けてくださいね」と心配してくれた人。もちろん、その逆のパターンもありました。下校中に、同じ学校の生徒が、「痴漢する方も相手を選ぶよな」と背後で話しているのが聞こえました。これはいつか絶対に言われると覚悟していました。自分でもそう思うかもしれない、と思ったからです。でも、実際に言われると傷つきました。「狙われてなければつけなくていいのに」と思いました。

そうして、デザインを変えようという話になりました。缶バッジにして、少し見た目を良くしました。デザインを変えることで効果が薄れるかもしれないと不安でしたが、今のところ痴漢には遭っていません。

母がSNSに投稿した事で、このバッジは大きなプロジェクトになりました。正直、大ごとになりすぎて驚いています。このバッジが世間に受け入れられるとは思っていませんでしたし、今も不安です。でも、たくさんの大人が協力して真剣に打ち込んでいるところを目の当たりにして、それだけの価値があると思えましたし、嬉しかったです。このバッジが世の中に広がり、少しでも痴漢の被害者を減らせるよう願っています。


出典:bylines.news.yahoo.co.jp / prtimes.jp / scb.jpn.org


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