「3匹の子ぶたの行為は正当だったか」を考える中学公民の教科書が面白いと話題に!

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「3匹の子ぶたの行為は正当だったか」を考える中学公民の教科書が面白いと話題になっているのでご紹介します。


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有名な童話「3匹の子ぶた」。子どもの頃に読んだことがある方も多いと思います。中学公民の教科書では、「3匹の子ぶた」の行為が正当なものだったのか?というところに焦点を当て、裁判員になったつもりで判決を下してみようというものだそうです。

「3匹の子ぶた」を振り返る

話の内容を忘れてしまっている方もいると思うので、簡潔に振り返ってみます。こんなお話でした。

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お兄ちゃんたちがオオカミに食べられてしまう。最後は三男の子ぶたがオオカミを…。

まず、長男の子ぶたがワラの家をつくりますが、オオカミの息で吹き飛ばされて食べられてしまいます。また、次男の子ぶたは木の家をつくりますが、オオカミの体当たりで家を壊されて食べられてしまいます。

そして三男の子ぶたは、オオカミに壊されないように、レンガの家をつくりました。すると、お兄さん子ぶたの時と同様にオオカミがやってきます。レンガの家はオオカミの息でも体当たりでも壊れません。

そこでオオカミは、煙突から「お前を食べてやる」と入ってきます。三男の子ぶたは、暖炉に大きなお鍋でお湯を沸かしていました。煙突から入ってきたオオカミは、お鍋に落下します。そして、小ぶたは鍋のふたをしてオオカミを殺してしまいました。

このお話に対して、子ぶたの行為は殺人か?正当防衛か?を裁判員になって判決を下してみる…というもの。教科書では検察官や弁護人、子ぶた、オオカミの母親がそれぞれの立場で主張しています。

(検察官の主張)
子ぶたの行為は「殺人罪」である!
被告人は自分の兄2人がオオカミに食べられてしまったというウワサを聞き、オオカミに恨みをもち、チャンスがあれば殺してやろうと思っていました。平成〇年3月15日、被告人はオオカミにお祭りに行こうと誘われました。被告人は、そこでオオカミを怒らせればエントツから家の中に入ってくるにちがいないと考え、暖炉でお湯を沸かす用意をしたうえで、約束の時間より前に1人でお祭りに行ってしまいました。後で自宅にやって来たオオカミを侮辱し、おこったオオカミが被告人の家のエントツから中に入ろうとするのを見て、暖炉の鍋のふたをとり、あらかじめ沸かしておいたお湯にオオカミを転落させ、すぐに鍋のふたを閉め、全身火傷を負わせて死亡させたものであります。

(弁護人の主張)
子ぶたの行為は「無罪」である!
オオカミは子ぶたにとって、どれほど恐ろしいものであったかということは、オオカミが被告人の兄弟である2人の子ぶたを食べてしまったことからも明らかです。そのオオカミが「お前を食べてやる」と言って無理やり被告人の家に入ろうとしてきたのです。オオカミこそ被告人の住居に侵入して被告人を殺そうとしたのであります。恐ろしいオオカミから自分の命を守ろうとしたのですから、もちろん正当防衛で無罪です。もし、被告人がそうしてなかったら、食べられていたのは被告人の方だったのです。

(オオカミの母親の主張)
とても優しい息子でした。この憎たらしい子ぶたに殺された日も、友達になった子ぶたと一緒にお祭りに行って、子ぶたに何か買ってあげると言って家を出て行ったのです。しかし、子ぶたが家にいなかったので、仕方なく1人でお祭りに行き、とても悲しそうに帰ってきました。「ひょっとしたら子ぶたは、病気で寝ていて返事ができなかったのかもしれないから、もう一度家に行って様子を見てくる」と言って家を出て行きました。あんまり帰りが遅いので、心配になり、子ぶたの家に行ってみると、この子ぶたが鍋の中に私の息子を入れて煮ていたのです。

(子ぶたの主張)
僕はレンガの家に住んでいるという安心感から、オオカミに「ドアは開けてやらないよ。悔しかったら入ってこいよ」と言いました。オオカミはしばらく外で騒いでいたのですが、そのうち「エントツから降りてお前を食べてやる、殺してやる」と叫び、本当に屋根に登ってきたきたんです。その時はもう生きた心地がしませんでした。オオカミがエントツから入ってくるなんて想像もしていませんでしたから。それで「どうしよう」と思い、暖炉をみると夕食に湯豆腐を食べようと思ってお湯を沸かしていたもんですから、とっさに鍋のふたを取ったんです。オオカミをこの中に落としてやろうとか、そんなことを考えている余裕がありませんでした。でもふたを取ったとたん、オオカミが鍋の中に落ちてきたんです。僕は「怒ったオオカミが鍋の外に出てきたら殺されると」思い、夢中で鍋にふたをして、上から必死で押さえつけました。

教科書では、それぞれの主張を聞いてどう思ったか?(殺人犯だと思う・無罪だと思う・わからない)と質問しています。これは大人でも、なかなか考えさせられる内容です。

そして、教科書には弁護人と子ぶたのやり取りも書かれています。

弁護人と子ぶたのやりとり

弁護人:あなたは、なぜオオカミの誘いを無視して1人でお祭りに行ったのですか?

子ぶた:僕を食べようとしているのがわかったからです。

弁護人:どうして自分を食べようとしていることがわかったのですか?

子ぶた:以前、オオカミはうちに来て「こぶたちゃん。ここを開けておくれ」と言って家の中に入ってこようとしたことがあったんです。僕が「めっそうもない」と言って断ると、「そうかい、それじゃふぅーふぅーのフゥーで家を吹き飛ばしちまうぞ」と言っていました。でも僕の家はレンガで作ったものなので吹き飛ばすことはできませんでした。オオカミのやり方は、村中でうわさになっている、兄2人を食べたやり方と全く同じです。それからオオカミは、僕を家の外に誘い出そうとして、一緒にリンゴを採りに行こうとか、いろいろ誘いをかけてくるようになったのです。

弁護人:なるほど。お祭りの後、家に帰ってから、またオオカミがやって来たのですね。

子ぶた:そうです。「オオカミはお祭りに行ってたら樽が転がってきてびっくりした」と僕に言いました。僕もやめておけばいいのにレンガの家にいる安心感から、つい「樽の中に入って君を驚かせたのは、この僕さ。このくらいでびっくりするなんて。臆病なオオカミだね」などと言ってしまったのです。でも樽に入ったのはオオカミを驚かせるためじゃなくて、家に帰る途中オオカミがやってくるのが見えたので。びっくりして樽に隠れたら、樽が転がってしまったんです。

弁護人:それを聞いたオオカミは怒ったでしょうね?

子ぶた:それはもうカンカンになって怒りました。あの時はもう生きた心地がしませんでしたし、オオカミが屋根のエントツから入ってくるなんて想像もしていませんでした。

検察官と子ぶたのやりとり

検察官:あなたは、たまたまお湯を沸かしていたと言うのだけど、お湯を沸かし始めたのは何時頃ですか?

子ぶた:5時より前だったかも。

検察官:どうして、そんな早い時間からお湯を沸かす必要があったのですか?夕食の用意をするにはまだ早いでしょう?

子ぶた:それは、大きなお鍋にお湯を沸かすのには、それなりに時間がかかりますから。

検察官:そうですか。それなら湯豆腐を食べるためにどうしてそんなに大きなお鍋にお湯を沸かす必要があったんですか?いったいどれだけたくさんの豆腐を入れるつもりだったのですか?あなたは一人暮らしでしょう?

子ぶた:ええ、そうですけど、湯豆腐はたっぷりのお湯で作った方がおいしいですから。

検察官;そうですか。それで豆腐は買ってあったのですか?

子ぶた:お祭りで買ってきました。

検察官:お祭りで?そうすると、あなた豆腐を持ったまま樽の中に入って坂を転がったのですか?よく豆腐が崩れませんでしたね。

子ぶた:いや、まあ、少しは崩れました。

検察官:「少し崩れました」くらいでは済みますかね?それで、その豆腐は食べたのですか?警察があなたの家に行った時は豆腐はなかったようですけど。

子ぶた:はい。全部食べてしまいました。

検察官:鍋の中にオオカミが落ちてしまったんでしょう。中に入っていた豆腐は外に飛び散るんじゃないですか。けれども、暖炉の周囲には豆腐が飛び散っていませんでしたよ。本当は豆腐なんかはじめっから買ってなかったのではないですか?

子ぶた:そんなことありません!!

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裁判のポイント

裁判のポイントとして挙げられているのは、まず「子ぶたの証言は信用できるか?」ということ。また、「オオカミが子ぶたの家に侵入したことは急な攻撃または不正な攻撃と言えるか?」「子ぶたがしたことは、自分を守るための行為またはやむを得ない行為と言えるか?」ということ。ちなみに、以下は刑法(こちらも教科書に記載)。

(刑法)
第199条(殺人罪)
人を殺した者は死刑・無期懲役または5年以上の懲役に処する。

第36条第1項(正当防衛)
急で不正な攻撃から自分または他人の権利を防衛するためにやむを得ずにした行為は罰しない。

第36条第2項(過剰防衛)
急で不正な攻撃から自分やまたは他人の権利を防衛するためにした行為でも、防衛の程度を超えた行為(行きすぎた行為)は罰せられるが、事件の事情により刑を軽くしたり、免除することができる。

教科書には、このような内容が掲載されており、最終的に法律で裁くとすればどうなると思うか?というものです。倫理問題も関わってきますし、なかなか難しいところです。しかし、裁判の争点など様々な議論をする機会が生まれますし、とても面白く有意義な題材ですね。いろいろと考えさせられます。


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