日本人の伝統的考え方「ハレとケ」、その意味や由来を解説!

「ハレとケ」という言葉を聞いたことがありますか?
一瞬どこか遠くの異国の言葉かと思ってしまいますが、実はれっきとした日本語なんです。

そしてこの言葉には、日本の生活文化や日本人特有の考え方、この国ならではの独特な世界観が込められています。
いったいどんな意味を持つ言葉だと思いますか?

ハレとケとは?

 

ハレとケ、といきなり言われても、現代ではなんのことか良くわからないという人が大半なのではないでしょうか。
「ハレとケ」という概念は、日本を代表する民俗学者である柳田國男氏が提唱した、日本人の伝統的な世界観のひとつです。

ハレというのは非日常のことで、ケというのは日常のことを言います。
かつての日本ではこのハレとケの区別は明確にされていました。
神社の祭礼や、お正月やお盆、節句などの年中行事、冠婚葬祭や初宮参り、七五三などの人生の節目となる儀礼などの日のことをハレといい、それ以外の日常をケとしていました。

日常生活は単調な日々の暮らしの営みですが、ハレの日はそれとははっきりと区別をつける特別な日でした。
晴れ着を来たり、普段は口にすることがないようなお酒やお米、魚、肉、お餅、お団子、お赤飯やお寿司などのご馳走を食べたりして非日常を味わい、生活に変化やメリハリをつけていたんですね。

ハレ=晴れの考え

語源は晴れ

 

ハレというのは語源は「晴れ」とされ、折り目や節目を表しています。
現代でも晴れ着、晴れの日、晴れ舞台などという言葉として使われています。
結婚式や初宮参り、七五三などの子どもの成長を祝う儀式など、人生の節目で着用する衣服のことを晴れ着といいますし、一生一度の晴れ舞台、いよいよ明日は晴れの日だね、などという使い方をします。

晴れの概念

 

天候における晴れというのは、現代では空に雲も少なく日差しのある日のことを言いますが、江戸時代よりも前は少し違っていました。

かつては長雨が続いたあとでお天気が回復し、晴れ間がさした日について晴れという言葉を使っていたとされています。
つまりこれも、雨から晴れへの区切りとなった日のことを言います。
今のように晴れの日が続いてという使い方はしていなかったということですね。

ケの考え方

日常をあらわすのはケ

 

ケというのは普段の日常生活そのものを言い、漢字では褻と書きます。
昔は普段着のことを褻着(けぎ)、普段食べる食事のことを褻稲(けしね)と言っていたそうで、ケというのはここから生まれた言葉とされています。

穢れ(けがれ)の語源はケ枯れ

 

こうした日常生活であるケのエネルギーが枯渇してしまった状態や、ケの生活を順調に送ることができなくなることを、ケが枯れるすなわち「ケ枯れ」といいました。
こうした状態を忌み嫌ってお清めやお祓いなどが行われました。

病気や死、また何かの良くない力が働いていると考えたりして鬱々とした状態であると、通常の生活が順調に送れなくなってしまいます。
ハレには、このようなケ枯れを回復する役割があったとする考えもあります。

つまり、ハレとケとケ枯れはセットとして、日本人は暮らしや文化のリズムを作ってきたと言えるでしょう。

まとめ

晴れ着と褻着、ハレの日のご馳走と普段の食事など、循環の良いリズムが日本人の文化の根源にはありました。
「悪いことばかりは続かない」と人を励ましたり、「良いことのあとには悪いことがある」と自分を戒めたりしながら、バランスの取れた暮らしをしていました。

近年ではその区別がどんどん曖昧になり、衣食どちらもハレが続いているような状態と言われています。
このような暮らしが現代の日本人の悩みを増やしていると警鐘を鳴らす専門家もいます。

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