年度末の3月。学校では卒業式や終業式が行われ、会社でも異動やそれに伴う送別会が行われる事から"別れの季節"というイメージが強いですよね。
その一方で桜は満開となり、野に花が咲き、春の訪れを感じる事ができる月でもあります。昔から日本人は春の訪れを待ち望んでいたようで、その気持ちは和風月名として用いられる「弥生(やよい)」という言葉の由来にもなっていました。
そんな和風月名の「弥生」があらわす時期がいつなのか、そしてそれはどの様な意味が込められているのかについて解説します。
目次
弥生の読みとあらわすもの
弥生は旧暦で3月をあらわす
和風月名の「弥生(やよい)」はもともと旧暦の3月を意味する言葉として使われていました。明治時代に今のカレンダーに制度が変わってからも当時の風習が残り、3月をあらわす和風月名として用いられています。
旧暦の弥生は現在の3月ではない?
現在使われている暦と明治以前に使われていた暦は違うものになっています。太陽暦と呼ばれる現在使われている暦は、太陽の周りを地球が回る周期を基準にして作られています。
それに対して旧暦と呼ばれる明治時代以前の日本で用いられていた暦は、月の満ち欠けと太陽の動きを参考にして閏月を入れることで季節が食い違うことを防ぐ太陽太陰暦を用いていました。
この2つの暦では作り方が違うだけでなく、年始めの日も異なります。現行の暦が1月1日を年始めとしているのに対し、旧暦では年始めを立春の頃の新月の日としています。
立春は太陽暦では2月4日頃で、その周辺の新月の日が年明けとなりますから、旧暦では年明けが1月20日頃から2月20日のどこかになります。
年始めが違うのですから、もちろん弥生も現在の3月とは一致しません。おおよそ3月後半から5月上旬にかけてが旧暦の3月、弥生にあたります。
弥生の意味や由来
弥生という名前はどこから来たのでしょうか。同じ旧暦の名称でも1月は睦月、2月は如月と、月の字が付くのに対し、弥生には月の字さえ付きません。
弥生の由来は
弥生の由来となる言葉は「木草弥や生ひ茂る月(きくさいやおひづき)」が短くなったものと考えられています。
短くなった「弥生」は「いやおい」と読まれていましたが、次第に「やよい」へ音が変化していったとされています。
弥生の意味
「木草弥や生ひ茂る月」が短くなって生まれた「弥生」ですが、古文調なので少し意味が分かりにくくなっていますので解説します。
「弥」には「ますます・いよいよ」という意味がありますので『寒い冬が終わり、次第に草木が芽吹いて生い茂っていく月』という意味があります。
他にもある3月の別名
晩春(ばんしゅん)
旧暦の1・2・3月は春とされていました。春の最後の月という意味で3月には晩春という別名があります。
花見月(はなみづき)
旧暦の3月は桜の花が盛りなので、花見の時期とされていました。その事から花見月とも呼ばれていました。
桜月(さくらづき)・早花咲月(さはなさきづき)・花月(かげつ)・花津月(はなつづき)
3月には花に関する別名が多くあります。寒い冬を越え、花が咲き始める季節を人々が昔から待ち望んでいたというのが分かる別名の数々です。
まとめ
弥生という旧暦3月をあらわす名前は。春が来て、緑が増えるのを心待ちにしていたというのが伝わってくる意味が込められていました。草木がどんどん生い茂っていく月、とは今ほど暖房技術が発達していない時代には、切実にありがたいものだったのでしょうね。