バッタによる蝗害(こうがい)をご存知ですか?2020年の災厄は新型コロナだけではなかった!

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2020年に世界中で大流行した新型コロナウイルス災厄の裏では、南アフリカ東部で何十億匹ものバッタが発生し、農作物を食い尽くすという深刻な被害が起こっていたことをご存じでしょうか?

筆者はニュースでバッタの大群が押し寄せている映像を見ましたが、この世のものとは思えないほどの異様な光景に恐怖を覚えました。

今回はバッタの大群によって引き起こる災害「蝗害(こうがい)」について解説いたします。

蝗害とは?

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「蝗害 (こうがい)」 とは、バッタやイナゴが大量発生し、農作物などを食い荒らすことで人間界に飢餓を引き起こす恐ろしい災害のことです。

バッタによる災害

蝗害を起こすバッタのことを「飛蝗(ひこう)」「トビバッタ」「ワタリバッタ」などと呼びます。

バッタは約5日ごとに100個近く産卵し成長していくため、あっという間に大きな群れになっていくのです。

こちらは、これまでに確認された蝗害の中でも被害が大きかったことで有名なバッタの種類と場所です。

・トノサマバッタ:東アジア 
・サバクトビバッタ:北アフリカ全域〜インド、ヨーロッパの砂漠地帯など 
・モロッコトビバッタアフリカ:北西部~アジア 
・ロッキートビバッタ:北米 
・オーストラリアトビバッタ:オーストラリア 
・アカトビバッタアフリカ:東部 
・ボンベイトビバッタ:西南~東南アジア

過去には日本でも

日本では、バッタによる蝗害はほとんどありません。

その理由は、バッタが大量産卵するための広い場所が日本にはないことと、バッタの天敵がいるからだと考えられています。

バッタが産卵する場所は、草が生えていない乾燥した砂地の地下です。

蝗害に発展するほど大量に産卵するためには広大な砂地が必要になりますが、日本にはそのような場所がないためバッタの大群は発生しない環境なのです。

また、バッタの天敵である「エントモフトラ属」という昆虫に寄生するカビが存在することも、バッタの蝗害を防いでいると考えられます。

しかし一部例外があります。

それは大規模な工事などで一時的に造られる造成地山火事の跡地など、バッタにとって土壌が良く天敵も存在しない環境です。過去には、そのような場所でバッタの大群を確認されたことが報告されています。

すごい規模の蝗害

ギネス世界記録に登録されているほど大規模で有名な蝗害は、1875年に起こった「アルバート大群」です。

それはアメリカのコロラド州と中西部の一部で発生した、ロッキートビバッタによる蝗害でした。

アルバート大群のギネスに登録されているバッタの数は、なんと12兆5千億匹!

これがどのくらいの数かというと、バッタが大群になったときの面積は約51万平方キロメートルで、日本の国土全体の1.3倍以上を覆うほどの大きさです。

アルバート大群は太陽を5日間隠し、農場では数時間で1年分の作物を食べ尽くし、不気味な音と不安で人々を苦しめました。

あまりにも大きなバッタの大群に対し、人々はなす術もなかったようです。

蝗(イナゴ)との関係

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蝗害には、「蝗(いなご)」の文字が使われていますが、イナゴによって起こる蝗害は世界的にほとんどありません。

しかし日本の古文献によると、イナゴや稲の害虫であるウンカなどによる蝗害が発生したことが報告されています。

2020年に大規模蝗害が発生!

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2020年の年明けすぐ、アフリカ大陸北東部でサバクトビバッタによる大規模な蝗害が発生しました。

主な被害国は、エチオピア、ケニア、ソマリア、南スーダン、ウガンダ、タンザニアです。

過去70年で最大

国際連合食糧農業機関(FAO)の統計によると、アフリカ大陸北東部で発生したサバクトビバッタは、1日に100〜200km移動しながら海を越えて中近東へたどり着き、さらに南アジアへ飛来しました。

FAOは、過去70年で最大規模の蝗害だと発表しています。

被災国で数千万人が飢餓に

主な被災国であるエチオピア、ケニア、ソマリア、南スーダン、ウガンダ、タンザニアの6ヵ国では、2,000万人以上が飢餓状態に陥るほどの被害が出ています。

バッタの群れがインド・パキスタン国境辺りに到達する頃には4,000億匹にもなっており、そのまま隣国の中国へ迫る勢いです。

アヒル10万羽で対抗?

中国は、パキスタンからのバッタ侵入を防ぐため「10万羽のアヒルをパキスタンとの国境付近に配備する」というニュースが流れました。

アヒルは1羽で200匹のバッタを食べる鳥です。なおかつ集団行動が得意なので、生物兵器としてうってつけだと考えられたのでしょう。

しかし、パキスタンの砂漠地帯は気温が高く水辺がありません。水がないと生きていけないアヒルにとって環境が悪いなどの理由で、アヒル配備の話は立ち消えになったのだとか・・・。

そもそもアヒル軍を派遣するニュース自体がデマだったという話もありますが、筆者は危機迫る状態での「アヒル軍」という発想が少し面白いと思ってしまいました。

まとめ

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「バッタの大群が人々を襲う」なんてホラー映画のようですが、現実に起こる現象であり、人間にとっては非常に恐ろしく深刻な被害をもたらす災害です。

大量発生したバッタにはアヒル軍で対抗するのではなく、化学農薬や生物農薬などで確実に駆除していくしか方法はないのかもしれません。

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