素行不良を意味する「グレる」の語源とは!?雅びな遊びから来た言葉??

非行や不良行為をする人物、もしくはそれらの行為をする言葉と認識されている「グレる」。
その語源は、実は意外にも古くから伝わる雅な遊びから来ていたのです。

そこでここでは、「グレる」という言葉の意味や成り立ちについて解説します。

「グレる」とは

 

「グレる」がどのような意味の言葉なのかを、まずは見ていきましょう。

「グレる」の意味

「グレる」とは、正しい道を踏み外すことを意味します。
少年や青年が不良となることを意味する言葉で、生活態度が乱れることはもちろん自ら反社会的・反抗的な行動をするようになることを指します。

ただし、不良のような名詞ではなく、動詞として用いられるのが「グレる」の特徴といえます。
世間に背いて犯罪に走ることを「グレる」と言う一方で、世間から外れて悪の道に進む人自体は「不良」と呼ぶわけですね。

他にもある「グレる」の意味

その他、あまり一般的ではないかもしれませんが、グレるには「予期したことが食い違うこと」や「見込みが外れる」という意味も含まれています。
さらには「悪事が発覚すること」を指す言葉となっています。
この意味は"バレる"に近い言葉となっています。

また、常軌を逸脱していることや逃げること、いなくなることを意味することもあります。
この場合は"バックレる"に近い意味合いですね。
しかし、本来のバックレるの意味はしらばっくれることであり、「あのバイトはまたバックレたのか・・・」といった『突然消える』といったニュアンスでの使い方は俗的な用い方となります。

グレるの語源は貴族の遊び

 

グレるの語源にはいくつか説があるのですが、ここではその中でも有力なハマグリ説をご紹介します。

語源はハマグリを使った貴族の遊び

平安時代末期、貴族の間で「貝覆い(かいおおい)」という遊びが流行していました。
これはトランプの神経衰弱のような形合わせの遊びです。

ハマグリは表裏反対の同じ形となるため、同じハマグリでも対のもの以外とは貝が合いません。
その特性を活かして、貝の形が合うものを取れた数で競い合うというのが「貝覆い」です。

その際、ハマグリが合わないことをハマグリの順をバラバラにして「ぐりはま」と呼んだそうです。
それが「ぐれはま」と訛り、次第に「ぐれはまる」という動詞として使われるようになりました。

そこから、貝が合わないことを略して「グレる」というようになったとされています。

"貝が合わないことを「くれはま」と呼ぶようになる→「ぐれはまる」と動詞化する→「ぐれる」に略される"
このような具合で変化して生まれた言葉とされています。

他にもあるグレるの語源とされる説

他には、「繰る(くる)」や「ぐらぐらする」という言葉が語源となった説。
繰るという表現が「くる→くれる」となり、悪い印象を伴って濁った言い方となり「グレる」となったという説。
ぐらぐらするという表現が「ぐれぐれになる→ぐれる」となったという説もあります。

グレるの語源とされる「貝覆い」とは

 

グレるの語源とされている「貝覆い」という遊びは、その昔貴族も楽しんだという古くからある雅な遊戯です。
ただし、時代によって同じ呼称であっても、遊び方が若干違うなど、独自のルールがあったといわれています。

雅な遊び「貝覆い」

「貝覆い」は、ハマグリが対の殻以外とは決して重ならないことを利用した遊びです。
先の項目で説明したように、ピッタリと合う貝を探す神経衰弱のような遊びとなっています。

通常は、180対~360対ほどのハマグリを使われてきたんだとか。
まず、同心円状にハマグリの対の片方を伏せて並べます。
この貝を「地貝」といいます。

そして円状に並べられた地貝の中心に並べなかったもう片方のハマグリを1枚置きます。
この1枚置かれたハマグリを「出貝」といいます。

置かれた出貝と対となるものを地貝から一番見つけ出した人が勝者になります。

神経衰弱に似ていると前述しましたが、トランプの場合52枚なので、「貝覆い」の方がよほど時間がかかる遊びとなります。
そして、この「貝覆い」が小倉百人一首やかるたの原型ともいわれています。

確かに競技者の前に置かれた地貝は百人一首やかるたの取り札に、中央に置かれる出貝は読み札の特徴と同じものがありますね。

貝合わせは本来別の貴族の遊び

貝覆いと混合されることが多い遊びとして、「貝合わせ」というものがあります。
ただし、この貝合わせはコレクションした貝の大きさや色合いを競い合う貴族の遊びであり、貝覆いとは違うものとなります。

同じ貝を使った遊びなので混合されるようになってしまったのですが、貝覆いとはまったく別物なのです。

江戸時代にも人気を博した貝合わせ

江戸時代の貝合わせは、また違った文化の1つとして発展していきました。
当時は内側を蒔絵や金箔で装飾した貝殻を使用しており、裏返した貝殻のペアを選ぶようにして遊んだといわれています。

つまり、トランプの神経衰弱により近い遊びになりました。

また、江戸時代末期には歌舞伎などにも登場するほど人気を博していたようです。

まとめ

グレると聞けば、現代人のほとんどは不良をイメージすると思います。
しかし、本来の「グレる」という言葉は貝を使った遊びから生まれた言葉なのです。
そのため、悪い意味はありませんでした。

貴族が嗜んだという貝覆いから1000年近くの時が過ぎていますので、時間が経つにつれて貝が合わないことが世間からズレるというようなニュアンスとなり、徐々に悪い意味で使われるようになったのかもしれません。
もしかしたらまた1000年経ったらグレるの意味は今と違うものになっているかもしれませんね。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事