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素行不良を意味する「グレる」。その語源は意外にも雅びな遊びにあった

2020.6.4


みなさんの周りにグレている人はいませんか?

「グレる」というと多くの人が非行や不良行為をする人物、もしくはそれらの行為をする言葉と認識されていると思います。

ところが、今回その語源を調べてみたところ、意外にも古くから伝わる雅な遊びに由来するという事が分かりました。

グレるとは


「グレる」とは、正しい道を踏み外すことです。

少年や青年が不良となることを意味する言葉で、特に生活態度が乱れることはもちろん自ら反社会的・反抗的な行動をするようになることを指します。

ただ、不良のような名詞ではなく、主に動詞として使われるのが「グレる」という言葉の特徴です。

世間に背いて犯罪に走ることを「グレる」と言う一方で、世間から外れて悪の道に進む人自体は「不良」と呼ぶわけですね。

ここには動詞と名詞で微妙にニュアンスが違いがあります。

その他、あまり一般的ではないかもしれませんが、グレるには「予期したことが食い違うこと」や「見込みが外れる」という意味も含まれています。

さらには「悪事が発覚すること」を指す言葉となっています。この意味は”バレる”に近い言葉かもしれません。

また、常軌を逸脱していることや逃げること、いなくなることを意味することもあります。この場合は”バックレる”に近い意味合いですね。

しかし、本来のバックレるの意味はしらばっくれることであり、「あのバイトまたバックレやがった」というように突然消えるというようなニュアンスでの使い方はあまり正しいとは言えません。



グレるの語源は貴族の遊び


では、そもそもグレるの「グレ」って何を意味するのでしょうか?

グレるの語源にはいくつか説があるのですが、ここではその中でも有力なハマグリ説についてご紹介します。

語源はハマグリを使った貴族の遊び


かつて平安時代末期の貴族の間で「貝覆い(かいおおい)」という遊びが流行していました。

これはトランプの神経衰弱のような形合わせの遊びです。

ハマグリは表裏反対の同じ形となるため、同じハマグリでも対のもの以外とは貝があいません。その特性を活かして、貝の形が合うものを取れた数で競い合うというのが貝覆いです。

その際、ハマグリが合わないことをハマグリの順をバラバラにして「ぐりはま」と呼んだそうです。

それが「ぐれはま」と訛り、次第に「ぐれはまる」という動詞として使われるようになりました。

そこから、貝が合わないことを略して「グレる」というようになったのだとか。

“貝が合わないことを「くれはま」と呼ぶようになる→「ぐれはまる」と動詞化する→「ぐれる」に略される”

このような具合で変化して生まれた言葉が「グレる」です。

他にもあるグレるの語源とされる説


他には、「繰る(くる)」や「ぐらぐらする」という言葉が語源となった説もあります。

繰るという表現が「くる→くれる」が悪い印象を伴って濁った言い方となり「グレる」となったという説。

ぐらぐらするという表現が「ぐれぐれになる→ぐれる」となったという説もあります。

グレるの語源とされる「貝覆い」とは


グレるの語源とされている貝覆いという遊びは、その昔貴族も楽しんだという古くからある雅な遊戯です。

ただ、時代によって同じ呼称であっても、遊び方が若干違うなど、独自のルールがあったといわれています。

雅な遊び貝覆い


貝覆いはハマグリを用いた遊びで、ハマグリが対の殻以外とは決して重ならないことを利用した遊びです。

先の項目で説明したように、ピッタリと合う貝を探す神経衰弱のような遊びとなっています。

通常は180対~360対ほどのハマグリを使う遊びです。

まず、同心円状にハマグリの対の片方を伏せて並べます。この貝を「地貝」といいます。

そして円状に並べられた地貝の中心に並べなかったもう片方のハマグリを1枚置きます。この1枚置かれたハマグリを「出貝」といいます。

置かれた出貝と対となるものを地貝から一番見つけ出した人が勝者になります。

神経衰弱に似ていると前述しましたが、トランプの場合52枚なので、貝覆いは相当数が多い超神経衰弱と呼べるかもしれません(笑)

また、この貝覆いは小倉百人一首やかるたの原型ともいわれています。

確かに競技者の前に置かれた地貝は百人一首やかるたの取り札に、中央に置かれる出貝は読み札の特徴と同じものがありますね。

貝合わせは本来別の貴族の遊び


貝覆いと混合されることが多い遊びに、「貝合わせ」というものがあります。

ただ、貝合わせはコレクションした貝の大きさや色合いを競い合う貴族の遊びであり、貝覆いとはまた違うものです。

同じ貝を使った遊びなので混合されるようになってしまったのですが、貝覆いとはまったく別物なのです。

江戸時代にも人気を博した貝合わせ


江戸時代の貝合わせはまた違った文化の1つとして発展していきました。

当時は内側を蒔絵や金箔で装飾した貝殻を使用しており、裏返した貝殻のペアを選ぶようにして遊んだといわれています。

つまり、トランプの神経衰弱により近い遊びだったことがわかります。

また、江戸時代末期には歌舞伎などにも登場するほど人気を博していたようです。

それほど国民の間に浸透していたというのは、現代から見ても面白い文化の1つではないでしょうか。

まとめ


グレると聞けば、現代人のほとんどは不良をイメージすると思います。

しかし、本来の「グレる」という言葉は貝を使った遊びから生まれた言葉なのです。そのため、悪い意味はありません。

貴族が嗜んだという貝覆いから1000年近くの時が過ぎていますので、時間が経つにつれて貝が合わないことが世間からズレるというようなニュアンスとなり、徐々に悪い意味で使われるようになったのかもしれません。

もしかしたらまた1000年経ったらグレるの意味は今と違うものになっているかもしれませんね。
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