タガメのメスは卵を守るオスをも狙う超肉食系!その行動にビックリ!!

タガメは池や沼、水田などに生息していることから、多くの人が一度は名前を聞いたことがあると思います。
日本最大の水生昆虫であるタガメはメスが卵を産むと、オスが卵の世話と保護を行います。

卵のお世話をする優しいオスとは異なり、メスは卵を守るオスを狙うこともあるほど超肉食系です。
ここではタガメのビックリする驚きの行動を見ていきましょう。

タガメのオスは卵を守る

 

タガメは、メスが植物の茎などに卵を産みつけると、その後卵が孵化するまでオスが献身的に卵を守り、お世話します。
人間でいうところの「育メン」ですね。

タガメの繁殖時期

タガメの繁殖時期は5月下旬に始まり、7月頃まで続きます。
繁殖時期になると、メスは2~4回ほど繁殖行動を行うのが一般的です。

この時期、オス、メスは水面上に出た硬い茎を持つ植物にのぼり、交尾をして木に産卵します。

オスによる卵保護行動

木に産みつけたタガメの卵は、そのままでは孵化しません。
タガメは卵の生育のために世話が必要不可欠で、十分な酸素と水がなければ生育できないのです。
水没してしまうと酸素不足で死んでしまいますし、空気中で乾燥状態が続くと水分がなくなり死んでしまう、とてもデリケートな卵になります。

そのためタガメのオスは、卵が乾燥しないように水をかけたり、外敵が来た時には威嚇して追い払います。
また直射日光に当たらないようにするために、卵に覆いかぶさって守ることもあります。

タガメのメスは超肉食系

 

オスが卵を守っている間、メスはいったい何をしているのでしょうか?
実はタガメのメスは、超がつくほどの肉食系女子なのです。

タガメのメスが卵を壊す

タガメのメスは、他のメスの卵を破壊し、その後に卵を守っていたオスと交尾を行い、自らの卵を守らせることがあります。
つまり略奪婚のような形を繁殖時期に取っているのです。
この行動は「卵塊破壊行動」と呼ばれており、別名「子殺し行動」とも言われています。

「子殺し行動」はライオン、ハヌマンラングールなどの動物で見ることができますが、昆虫類ではタガメ類以外には例がありません。

タガメのメスが破壊行為を行う理由

タガメのメスが破壊行為つまり子殺し行為を行う理由は、ずばり「自分自身の子孫数を最大限にするため」です。
タガメの雌雄比は1:1なのですが、他のメスの卵を守っているオスは交尾をしません。

そのため産卵期間になると、卵を守っていないオスを求めて、活動可能なメスが溢れかえる状態になるのです。

産卵可能になったメスは、オスと出会った時に交尾・産卵しなければなりません。
タガメは個体密度も低いため、卵を保護していないオスと巡り合える可能性は高くありません。

いつまでもオスを探し続けていると限られた繁殖時期を無駄に過ごすことになり、産卵できる回数も減ってしまうのです。

そこでメスたちは、他のメスの卵を壊し、卵を守っていたオスと交尾をすることで自らの卵を産みつけるのです。

また、自分の卵よりも先に他のメスの卵が孵化すると、自分の子供は捕食対象にされる可能性もあるため、他のメスの卵を殺す行動に出ると言われています。
残酷な行動ですが、自分の子孫を残すためには必要な行動としてこの卵塊破壊行動は行われているのです。

タガメはこんな昆虫

 

タガメのメスは、卵をオスに守らせて、自分は他のメスの卵を破壊する驚きの行動を取ります。
ここからは、タガメの特徴を見ていきましょう。

日本におけるカメムシの最大種

タガメはカメムシおよび水生昆虫としては日本最大種であり、現在は絶滅が心配されていて「特定第二種国内希少野生動植物種」にも指定されています。
カメムシの一種であるタガメの名前の由来は「田んぼにいるカメムシ」から来たとされています。

また、ミズガッパ、カッパムシ、ドンガメムシなどの別名もありますよ。

タガメの好む生息場所

タガメは、水田や水田脇の堀上など、水草がたくさんあって水流の穏やかな場所を好んで生息します。
また、池沼などにも生息しますが、獲物を待ち伏せして捕食するタガメにとっては水深が深いと捕食しにくくなるため、水深5~20㎝程度の浅い水沼を好みます。

タガメ最大の武器、カマ

タガメの最大の武器となるのは、前脚の「カマ」です。
タガメの前脚はカマのようになっており、エサとなるドジョウやフナといった魚やカエルなどをこのカマを使って捕食します。

前脚がカマ状になっている昆虫は他にもいますが、タガメはその中でも比べ物にならないほど大きいです。
タガメは自ら動き回って餌を捕食するのではなく、獲物が自らの前を通り過ぎるのをじっと待って、目の前に獲物が通りかかった瞬間に強力なカマ状の前脚で獲物をとらえます。

タガメは飛べる

実はタガメを飛ぶこともできる水生昆虫です。

タガメは6月中旬以降から飛ぶようになり、特に繁殖期には雌雄ともに夜間に頻繁に飛行、移動します。
繁殖期間によく飛ぶのは、同じ場所で繰り返して繁殖をしていると、卵が先に生まれた幼虫に捕食されるリスクが高まるため、できるだけ遠くに移動しようとすることが要因となっています。

ただし、タガメはカブトムシのように急に飛翔することはできません。
足場に登って胸部を前後に動かす準備運動が必要で、飛ぶ際には濡れた体を乾かすための甲羅干しを行わなければなりません。

まとめ

タガメはメスが卵を産んだ後は、オスがその卵が孵化するまでずっと守ってお世話します。
その間、メスは他のメスの卵を守っているオスに近づき、卵を破壊してそのオスと交尾をして自分の卵を守らせます。

肉食系のタガメのメスの行動は本当にびっくりしますね。
またタガメは飛ぶこともできますし、その特性を知ると実に興味深いですよ。

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