
陽炎とは、太陽の光によって地面から炎のような揺らめきが立ち上がる現象のことです。
この陽炎という現象と同じ名前を持つ昆虫にカゲロウというのがいますが、両者に関係があるのでしょうか?
ここでは、陽炎がどういう現象なのかはもちろん、名前の由来や似たような現象についても併せて解説します。
目次
「陽炎」とは
まずは陽炎がどういう現象なのかを見ていきましょう!
「陽炎」という現象
陽炎とは、太陽の光によって発生する現象の1つです。
光の屈折によって地面から炎のような揺らめきが立ちのぼる現象を指しています。
陽炎は、主に春や夏など太陽の日差しが強い日に発声します。
海外では砂漠などで見られることが多いのですが、日本では砂漠でなくとも太陽の照り返しが強い場所であればどこでも発生します。
道路でも、アスファルトの上で起こる現象です。
また、自動車の屋根や飛行機のエンジンの熱などでも発生しますので、一度は陽炎を見たことがあるかもしれません。
「陽炎」が発生理由
では、なぜ陽炎という現象が発生するのでしょうか?
陽炎が発生する理由としては、上昇気流が関係しています。
太陽の光が地面を熱すると、不規則な上昇気流が発生します。
そこに密度の異なる空気が入り混じります。
この歪んだ空気を通過する光が、不規則に屈折すると空間が歪んだように見えます。
この現象を陽炎と言っているのです。
温度の違う空気が上昇気流により入り混じることで、景色自体が歪んでいるかのように見えているわけですね。
「陽炎」という名前の由来
陽炎は、「かぎろひ」という言葉から生まれたとされています。
この「かぎろひ」という言葉、古くは万葉集や古事記などで使われています。
「かぎろ」とは「かぎろふ」という動詞が変形した表現で、光がほのめく様子を指します。
そして「ひ」は、そのまま火をあらわしています。
この「かぎろ」と「ひ」を合わせて、炎のように揺らめく様子を意味する言葉として陽炎が用いられるようになったわけです。
そんな「かぎろひ」が時代が下ることで訛化し「かげろう」となったとされています。
陽炎に似た現象
陽炎には似たような現象もあります。
ここからは陽炎に似ている現象について解説と併せてご紹介していきます。
蜃気楼
陽炎に似た現象のひとつが蜃気楼です。
蜃気楼とは、物が浮いて見えたり、景色が反転して見えたり、遠くのあるはずの物が見えたりする現象のことを言います。
この蜃気楼も、光の屈折により発生する現象です。
通常、光は直進します。
しかし、空気の密度が異なる空間では、より密度の濃い温度の低い方へと進んでいこうとする性質があります。
すると、そこに無いはずのものが見えたり、見えるような気がしたりします。
例えば、水面近くの冷たい空気とその上にある温かい空気がある場合、元となる物体の上に蜃気楼が発生します。
この場合、本来水平線に隠れて見えない船などが見えるなんてことがあります。
陽炎は景色が揺れて見える現象です。
対して蜃気楼は、本来そこにあるはずのないものが見えたりする現象のため、同じ光の屈折減少でも厳密には違う現象です。
不知火
陽炎に似ている現象として、他にも不知火という現象があります。
不知火とは暗闇に浮かぶ幻想的な発光現象のことです。
海に光が見える現象で、蜃気楼の1つとされます。
九州の有明海や八代海で起きるものを特に指します。
一定の環境下で発生し、本来見えないはずの干潟に出た漁船の明かりが蜃気楼となって港や浜から見える現象とされています。
糸遊
陽炎は別名で「糸遊」とも表現します。
これは主に俳句や短歌の世界で使われる表現です。
文字通り、クモの糸がゆらゆらと揺れるような様子から付けられたとされます。
昆虫のカゲロウ
陽炎の発音である「かげろう」は、昆虫のカゲロウも連想させますよね。
読みが同じ両者には、何か関係があるのでしょうか?
カゲロウとは
カゲロウとはカゲロウ目の昆虫です。
カゲロウにはヒラタカゲロウやマダラカゲロウなどの亜目おり、日本でも見ることのできる昆虫となっています。
このカゲロウ、成虫がとても軟弱で寿命も短いことで知られています。
カゲロウの名前は陽炎から
カゲロウは成虫になると非常に短命で、種によっては半日、長命な種でも2週間ほどで絶命してしまうとされます。
この儚さからか、それとも飛翔する姿からともされますが、いずれにしてもこの名前は陽炎から来たとされています。
ゆらゆらと景色がぼんやり見える陽炎とこのカゲロウという昆虫に、昔の人はなにか共通するものを感じたのかもしれません。
まとめ
陽炎とは、太陽の光の屈折によって、地面から炎のような揺らめきが立ち上がるように景色が見える自然現象のことです。
日本でも暑い日などは見かけることがあります。
太陽の光と空気の関係から生まれる現象は他にもあり、蜃気楼や不知火などの自然現象があります。
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