
※本記事は、歴史資料・民俗学・一般的な学説をもとに再構成した読み物です。
史実として断定するものではありません。諸説ある歴史ロマンとしてお楽しみください。
レオナルド・ダ・ヴィンチ。
美術・科学・建築・解剖学、あらゆる分野を横断した、まさに万能の天才。
しかし彼には、もうひとつ有名な呼び名があります。
「未完の天才」
実はダ・ヴィンチの作品には、途中で放棄されたもの、完成したように見えて実は未完成のものが数多く存在しています。
なぜ天才が完成させないという選択をしたのか?
そこには、驚くべき理由が隠れていました。
目次
ダ・ヴィンチが作品を完成させなかった理由①

完璧主義すぎて完成を許せなかった
ダ・ヴィンチはとんでもない完璧主義者でした。
絵を描き始めても、わずかな光の差、筆跡の流れ、構図のわずかな違いが気になり、何度も何度も描き直す。
その結果、
◇ モナ・リザを生涯持ち歩き、死の直前まで修正
◇ 最後の晩餐は光の研究を優先し、保存性を無視して崩れ始める
◇ 肖像画の依頼を途中でやめてしまうこと
彼にとって完成とは、
これ以上改善できない=ほぼ永遠に到達しない領域でした。
ダ・ヴィンチが作品を完成させなかった理由②
興味が移ると一瞬で別の研究へジャンプするから
ダ・ヴィンチの頭の中は、好奇心が爆発した宇宙のような状態。
解剖学を研究していたかと思えば、次の日には水の流れを観察し、
さらに次の週には飛行装置の設計をしている……という具合です。
そのため、
◎ 描きかけの作品を放置
◎ 依頼主が怒る
◎ それでも研究を優先する
という天才ならではの行動が繰り返されました。
ダ・ヴィンチが作品を完成させなかった理由③

作品より原理の探求こそが目的だった?
普通の画家なら、依頼された絵を完成させて収入を得ることが重要ですが、
ダ・ヴィンチは違いました。
彼の最も大きな目的は、世界の仕組みとは何か?を知ること。
光、影、人体構造、数学、自然現象。
彼は絵を描く前に、その裏側を徹底的に理解しようとしました。
その探求が深すぎるあまり、作品が追いつかず未完に終わるケースが多発。
絵を完成させるより、真理に近づくことが、はるかに優先されていたのです。
代表的な未完作品を紹介

● モナ・リザ
完成しているように見えるが、ダ・ヴィンチ自身はまだ途中という意識だったと伝わる。
● 岩窟の聖母(初期版)
光と陰の実験の途中で興味が移り、別バージョン制作に没頭。
● アンギアーリの戦い
巨大壁画。下絵は絶賛されたが、描法実験に失敗して途中で消失。
天才すぎるがゆえの未完。
結論:ダ・ヴィンチは完成より探求を選んだ天才
ダ・ヴィンチが未完のまま作品を残した理由をまとめると…
★ 完璧主義すぎて完成を認められない
★ 好奇心が爆発し、興味が次々に移る
★ 絵よりも世界の仕組みを知ることが目的
★ 実験的な手法のため、完成前に破綻することもあった
つまり彼は、作品を仕上げるよりも
真理の追求という境地に生きていた芸術家だったのです。
だからこそ、彼は未完の天才。
残されたスケッチやメモの山を見ると、その言葉はまさに彼の人生そのもの。
未完ゆえに語り継がれ、未完だからこそ魅力が尽きない。
それが、レオナルド・ダ・ヴィンチという人物なのです。