「ありがとう、大好きだよ」振り絞り語った遺族代表スピーチ全文(東日本大震災4周年追悼式にて)

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出典:産経ニュース
2015年3月11日、東日本大震災の発生から4年目を迎えた日に行われた政府主催の東日本大震災4周年追悼式にて、当時15歳の中学生だった菅原彩加さんが遺族代表での言葉です。

宮城県・石巻市出身の菅原彩加さん(19歳)
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出典:佐賀新聞

スピーチ全文

私は東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市大川地区で生まれ育ちました。

小さな集落でしたが、朝、学校へ行く際すれ違う人皆が「彩加ちゃん!元気にいってらっしゃい!」と声を掛けてくれるような、温かい大川がとても大好きでした。

あの日、中学校の卒業式が終わり家に帰ると大きな地震が起きました。逃げようとした時には既に遅く、地鳴りのような音とともに津波が一瞬にして私たち家族5人を飲み込みました。しばらく津波に流された後、私は運良く瓦礫の山の上に流れ着きました。その時、足元から私の名前を呼ぶ声が聞こえ、かき分けて見るとくぎや木が刺さり足は折れ変わり果てた母の姿がありました。右足が挟まって抜けず、瓦礫をよけようと頑張りましたが、私ひとりにはどうにもならないほどの重さ、大きさでした。母の事を助けたいけれど、ここにいたら私も流されて死んでしまう。「行かないで」という母に私は「ありがとう、大好きだよ」と伝え、近くにあった小学校へと泳いで渡り、一夜を明かしました。

そんな体験から今日で4年。

あっという間で、そしてとても長い4年間でした。家族を思って泣いた日は数え切れないほどあったし、15歳だった私には受け入れられないような悲しみがたくさんありました。すべてが今もまだ夢のようです。

しかし私は震災後、たくさんの「諦めない人々の姿」を見てきました。震災で甚大な被害を受けたのにもかかわらず、東北にはたくさんの人々の笑顔があります。「皆でがんばっぺな」と声を掛け合い復興へ向かって頑張る人たちがいます。日本中、世界中から東北復興のために助けの手を差し伸べてくださる人たちがいます。そんなふるさと東北の人々の姿を見ていると「私も震災に負けないで頑張らなきゃ」という気持ちにいつもなることができます。

震災で失ったものはもう戻ってくることはありません。被災した方々の心から震災の悲しみが消えることもないと思います。しかしながらこれから得ていくものは自分の行動や気持ち次第でいくらにでも増やしていけるものだと私は思います。前向きに頑張って生きていくことこそが、亡くなった家族への恩返しだと思い、震災で失ったものと同じくらいのものを私の人生を通して得ていけるように、しっかりと前を向いて生きていきたいと思います。

最後に、東日本大震災に伴い被災地にたくさんの支援をしてくださった皆様、本当にどうもありがとうございました。また、お亡くなりになったたくさんの方々にご冥福をお祈りし追悼の言葉とさせていただきます。

出典:東日本大震災4周年追悼式

遺族にしかしか分からない体験、想いを強い言葉で伝えてくれた菅原彩加さん。ありがとうございます。胸に刻みます。

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