
恋と愛の違いは何なのか?漢字や意味の違い、哲学的なものなのか心理的なものなのか?様々な角度から違いについて考えてみました。
”恋愛”というのは人間にとってとても楽しいことであり、切ないことでもあり、時に苦しみさえ与えてくれます。そんな恋愛という言葉に含まれている”恋”という言葉と”愛”という言葉。果たしてどのような差があるのか、皆さんは考えたことがありますか?
今回はそんな”恋”と”愛”という言葉の意味について紐解いていきたいと思います。
目次
恋と愛の違い
漢字の違い、下心とまごころ
「恋は下心で愛はまごころ」というのを聞いたことがあると思います。これは漢字の形から”心”のある場所で意味が変わるとする説ですが、非常に説得力があり、一般的にも広まっていますね。
しかし、実際に漢字の成り立ちの中で、恋は下心で愛はまごころという意味を込めて出来上がったかというと、そうではないような気がします。
元々、愛や恋の漢字はかなり昔からあり(旧漢字も含む)、おそらく下心やまごころといった言葉が生まれる以前から使われています。そのため恋は下心、愛はまごころというのは、意味合いの違いを分かりやすく例えるために後付けされた言葉という事ですね。
ただ、後付けだとしても非常に説得力のある言葉で、なんだか核心を突いている気もします!
漢字の形に意味を持たせる漢字について気になる方はこちらの記事もどうぞ
関連記事:「愛は真心、恋は下心」的な漢字から連想する言葉遊びが面白い!
恋と愛の意味の違い
恋と愛について実際に辞書で意味を見てみるとこのような違いが・・・。
こい〔こひ〕【恋】の意味
1 特定の人に強くひかれること。また、切ないまでに深く思いを寄せること。恋愛。「恋に落ちる」「恋に破れる」
2 土地・植物・季節などに思いを寄せること。
「明日香川川淀さらず立つ霧の思ひ過ぐべき―にあらなくに」〈万・三二五〉
あい【愛】の意味
1 親子・兄弟などがいつくしみ合う気持ち。また、生あるものをかわいがり大事にする気持ち。「愛を注ぐ」
2 (性愛の対象として)特定の人をいとしいと思う心。互いに相手を慕う情。恋。「愛が芽生える」
3 ある物事を好み、大切に思う気持ち。「芸術に対する愛」
4 個人的な感情を超越した、幸せを願う深く温かい心。「人類への愛」
5 キリスト教で、神が人類をいつくしみ、幸福を与えること。また、他者を自分と同じようにいつくしむこと。→アガペー
6 仏教で、主として貪愛 (とんあい) のこと。自我の欲望に根ざし解脱 (げだつ) を妨げるもの。
なるほど。差があるような無いような…
でも、なんとなくですが、”好き”という大きなくくりの中で、恋というのは”過程”を表し、愛というのはその先にある”結果”を表しているようにとらえられます。宗教的な意味も含まれていますし、愛の方が壮大なイメージでしょうか。対して恋は狭く限定的なように思えます。
では、英語ではどうでしょうか。
英語での恋と愛の違い
こい【恋】
love ((for))
恋する love, be in love ((with))
あい【愛】
1 〔かわいがり慈しむ気持ち〕love ((for)); 〔持続的で穏やかな〕affection ((for, toward))
どちらの単語も"LOVE"と表現されていますね。
〔持続的で穏やかな〕という意味で、愛はaffectionとも表現されるようです。
あなたの気持ちは愛?恋?恋と愛の心理的な違い。
今あなたが相手に対して抱いている気持ちは果たして”恋”なのでしょうか、”愛”なのでしょうか。少し細かく考えてみましょう。
自分本位か相手本位か
恋と愛の違いについては、「恋」は下に心があるので下心、「愛」は真ん中に心があるので真心とよく例えられます。
自分本位の想いが恋、相手本位の想いが愛、要は自分の気持ちを満たすためだけの想いなのか、相手のすべてを受け入れ想いやる気持ちなのかということですね。
時に自分勝手な感情が暴走してしまう恋に対して、相手を思いやる気持ち、見返りを求めず相手の幸せを願うことこそが愛と呼べる。
恋と愛にはそんな差があるのかもしれませんね。
相手を信じてあげられるか?
相手がどんな事をしようとも信じることが出来る、それこそが愛だという人もいます。変わらない、不変的な想いといったところでしょうか。
例え相手から傷つけられたり、自分の思いと違う行動を取られたりしたとしても、相手のことを信じ続けることが出来る。
「あなたが例え犯罪を犯したとしても私はあなたを愛しています」なんていうセリフをドラマなどでよく耳にします。
何があっても相手を信じ続ける、それが愛することと言えるのではないでしょうか。
相手に何を求めてる?
恋をしているとき相手に対して、自分と話をしてほしい、そばに居てほしいといったように、自分の想いに応えてほしいという感情をいだきますよね。
対して相手のことを”愛してる”と思った瞬間、そんなのどうだって良い、何も求めずただただ受け入れるそんな感情をいだくのではないでしょうか。
相手に何かを求める活発な想いと、それを通り越して何も求める必要がない大きな想い…どちらも相手のことを想っているのですが、恋と愛にはそういった差を感じます。
究極の愛!無償の愛
森進一さんの歌に”おふくろさん”という歌があります。この詩を書いた川内康範さんは生前、この曲は母の無償の愛を表現したものだと語っていらっしゃいました。一度おふくろさん騒動というのがあり、森進一さんはおふくろさんを歌えなくなってしまったことがありましたが、川内康範さんが作品に込めた無償の愛を逸脱する内容の歌詞を、歌の前につけ足したことが原因でした。
ただただ我が子の幸せを願う親の気持ち。これこそが無償の愛であり、究極の愛と呼べるものなのではないでしょうか。
稀に子供に対してなにか見返りを求めて愛す親もみかけますが、子を思う親の気持ちというのは本当に温かい愛の形だと思います。
心に染みる恋愛の名言5選
考えれば考えるほど深い”恋”と”愛”というテーマ。
我々より先の時代を生きた先人たちは一体どのようにこの言葉達をとらえたのでしょうか。
そんな先人たちが残した名言をご紹介していきます。
1.「戸惑えば戸惑うほど、それは愛しているということなの。」
米国の女性作家、フェミニストであるアリス・ウォーカーの言葉です。
相手の言動や行動に戸惑って戸惑って…だけど膨らむ想いこそが愛ということなのでしょうか。やはり様々な捉え方がありますね。
2.「愛とは信頼。人を愛するときは完全に信じること」
アメリカの女優、マリリン・モンローの残した言葉です。
恋多き女と言われたマリリン・モンローが残した言葉として、私は意外に思いましたが、彼女はこうも言っていました。
私はこれまでの人生でずっと「私は愛されない人間なんだ」と思ってきたの。でも私の人生にはそれよりもっと悪いことがあったと、はじめて気がついたの。私自身、心から人を愛そうとしなかったのよ。
今まで心から人を愛そうとしていなかったマリリンが、本当の愛というものに気づき、だからこそ生まれた言葉なのかもしれませんね。
3.「恋とは自分本位なもの、愛とは相手本位なもの」
愛のカリスマと呼ばれる美輪明宏さんの名言です。先に書いた「自分本位か相手本位か」というテーマ、まさにそのものですね。
自分勝手な感情を押し付けるのではなく、本当の愛というのは見返りを求めない無償の愛だというのを分からせてくれる名言の一つです。
4.「カップルが幸せになるケースはごく少ない。情熱の荒々しい炎が燃えつきてしまう前に、愛着というおだやかな火をなんとか焚きつけることができた場合だけだ。」
英国の作家、ジェローム・K・ジェロームの言葉です。
お互いが激しく愛し合っているさまを荒々しい炎に例え、幸せになるカップルはその炎が燃え尽きる前に、愛着というおだやかな火をなんとか焚きつけることのできる二人…
うーん、詩人ですね(笑)でもしっかりと的を射た表現だと想います。
5.「愛は「自由の子」なのであり、決して「支配の子」ではない。」
ドイツの社会心理学者、エーリッヒ・フロムの言葉です。
相手の心を支配したくなる気持ちを抱いているうちは愛とは言えないということでしょうか。相手の全てを受け止めることが出来る想いを「自由の子」と表現しているところになんだかぐっと来てしまいました。
恋や愛がよく分かる名曲たち
巷には沢山のラブソングが溢れています。その中でも深いなと思うものや共感できるものをピックアップしてみました。
1.愛されるよりも愛したい
言わずとしれたKinki Kidsのヒット曲ですね。愛というテーマで一番に思い浮かびました。
とにかく自分から愛したい、求めたいという想いがひしひしと伝わってきます。
いい意味で若いというか、若者が初めて抱いた熱い想いや感情をが表現されている気がしますね。
年をとってもこういった思いを忘れずにいるにはどうしたらいいのでしょうか…(笑)
2.恋
松山千春の代表曲の一つです。
「愛することに疲れたみたい」という言葉から始まる詩は、恋愛で傷ついて相手の元を離れる決意をした人の気持ちを歌っていますね。
でも、どんなに嫌な思いをしたとしても嫌いになれない、何故ならあなたに恋をしているから…そんななんとも言えない切ない感情を描いた歌だと私はとらえています。
愛と恋という言葉を分けて書いているところがまたニクイなぁと思ってしまいました。
3.Love Me Tender
エルビス・プレスリーの名曲ですね。日本語タイトルは「好きにならずにいられない」です。
とにかく女性をグラっとさせるような甘〜い愛の言葉が並べられていて、当時の女性はキュンキュンだったのではないでしょうか。
人生が終わるその日まであなたを愛します…あーロマンチック(笑)
とってもストレートに愛について歌った名曲だと想います。
まとめ
いかがでしたか?恋と愛の違いについて、色々な視点から書いてみました。
人それぞれ捉え方は違うと思いますが、共感できる部分もあったのではないでしょうか。
でもどっちがどっちというわけでなく、恋も愛も同時に抱くことの出来る恋愛ができたら最高ですよね。そんな運命の人があなたの目の前に現れることを願っています。
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出典:dictionary.goo.ne.jp