「三味線」と「三線」の違いは何?似てると思ったら、どちらも起源は同じ中国の楽器「三弦」だった!!

日本の伝統的な楽器「三味線」と「三線」、どちらも3本の弦を弾いて演奏する弦楽器です。
このふたつは形や弾き方までよく似ていますが、同じ楽器ではありません。

そこで今回は三味線と三線の音の違いや、いつどのように中国から日本へ広まっていったのかなども一緒に見ていきましょう。

三味線と三線

 

三味線と三線は、とても良く似ていますが音色や大きさなども違う別の楽器です。
それぞれの特徴を見てみましょう。

三味線

三味線は、棹(さお)に張られた弦を弾いて演奏する日本の弦楽器です。
イチョウの形をしたしゃもじのような撥(ばち)で弦を弾くことによって音を出します。
「ベベン」「デンデン」とうい力強い音色は独特の雰囲気をかもし出し、主に民謡(郷土色を持つ歌謡)や長唄(江戸に生まれた歌舞伎音楽)等の弾き語りで演奏されます。

サイズは全長90~100cmで、棹の太さと胴体の大きさが違う3つの種類に分けられます。
重さはいずれも2~3Kg程度です。

三線(さんしん)

「沖縄三味線」「ジャビセン(蛇皮線)」「ジャミセン(蛇味線)」など地域により異なる呼称がありますが、統一名称は「さんしん(三線)」となります。

三味線と同じように棹に張られた弦を弾いて演奏する、沖縄音楽には欠かせない和楽器です。
牛の角などから作られた爪のような義甲(バチ)を人差し指にはめて弦を弾きます。

主に沖縄民謡や奄美民謡の弾き語りで演奏されており、音色は三味線よりも柔らかく優しい雰囲気があります。

サイズは全長70~80㎝で、三味線よりもひとまわり小さく、重さも1Kg程度です。

大きな違いは胴体の皮の種類

 

胴体に使われている皮の種類も違います。
いったいどんな皮で作られているのでしょう?

三味線は猫皮

三味線の胴体の皮には、猫のお腹の皮が使用されていましたが、現在は犬の皮や合皮で作られることが多くなりました。

三線は蛇皮

三線の胴はニシキヘビの皮を使用しています。
そのため、「ジャビセン(蛇皮線)」や「ジャミセン(蛇味線)」と呼ばれていたんですね。

歴史は三線の方が古い

 

三味線と三線、その歴史は三線のほうが長いのです。

琉球王国の三線

14世紀末頃、中国の「三弦」という楽器が、琉球王国へ持ち込まれたことが起源とされています。

琉球王国では、中国から訪れる冊封使(皇帝の使いで近隣の国へ行く使者)の接待式典を盛大にしており、三線で演奏する沖縄音楽や琉球舞踊が披露されていました。
三線を製造段階から管轄する三線主取(サンシンヌシドリ)という役職まで設けられ、発展に力を入れていたそうです。

三線が進化したのが三味線

1558~1559年頃、琉球貿易により大阪の堺に三線が持ち込まれました。
その後、改良を加えながら本土で広まっていったのが三味線です。

日本各地に伝わるとともに更に進化し、今では大きく分けて3つの種類に分類されています。

三味線の種類

 

三味線は、「細棹(ほそざお)」「中棹(ちゅうざお)」「太棹(ふとざお)」のさん種類に分類されます。
基本的な構造と全長は同じですが、棹の太さや胴体の大きさなどが違うためそれぞれの音色が変わります。

細棹

一番小さいサイズの細棹三味線は、主に長唄や、小唄(民間で流行した歌謡)、俗唄(流行り歌)などで使われています。
華やかで美しい高音を出すことができるので、軽快で小気味よい曲を演奏するのに適しています。

中棹

細棹より一回り大きい三味線。民謡や、地歌(地方で歌われる俗謡)などの演奏に使われます。
美しい響きの音色で、明るい曲から落ち着いた曲まで情緒溢れる雰囲気をかもし出すことができます。

太棹

棹が一番太く胴も大きめで、浪曲(浪花節、語り物)や、義太夫節(人形浄瑠璃、語り物)などに使われています。
有名な津軽三味線は、太棹三味線を改良して作られたものです。

浪曲や義太夫節の語りに負けない、重厚でダイナミックな音を出すことができ迫力があります。

音の違い

 

「三味線」と「三線」は似たような音に聞こえますが、聴き比べると違いが分かります。
三線は優しくて丸い雰囲気、三味線は力強く尖った雰囲気があり音に響きがあります。

三味線の方が音が響く?

 

三味線には「さわり」があります。
さわりとは、弦を弾くと「ビイィィィン」と共鳴し延びの良い音になる仕組みのことです。

棹から胴体に張られた三本の弦のうち一本が、棹にわずかに触るように作られており、それが震えることによって他の弦を弾いても共鳴し音を響かせる効果があります。

このことから曲中のサビとなる聞かせどころのことを「さわり」といいます。

まとめ

 

名前も形も似ている三味線と三線。
その原型とされるのは、中国の楽器「三弦」とされています。
三絃が琉球王国に伝わり発達したのが三線。
この三線が堺に持ち込まれ日本各地に三味線として広まったとされています。

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