お寿司屋さんなんかに行くと、よくメニューに”松・竹・梅”という文字を見かけます。
「今日は奮発して”松”にしよう」
「この店は初めてだからとりあえず”竹”にしとくか」
「給料日前だから梅だな…」
そんな風にメニューを決めることもありますよね。しかしこの”松竹梅”という言葉、一体いつから使うようになったのでしょうか。そしてどのような使い方をするのが正解なのか…今回はそんな”松竹梅”という言葉についてお話をしていきたいと思います!
目次
日本における松竹梅
冒頭でも触れましたが、一般的に「松竹梅」は、松>竹>梅の順で表されることが多いかと思います。
松が一番ランクが上で、真ん中が竹、一番ランクが低いのが梅といった感じですね。ちなみに松竹梅と同じ類で、 梅>水仙>竹という言葉を使うこともあります。
松竹梅の由来
では松竹梅の言葉の由来とはどういったものなのでしょうか。実はこの言葉は中国から伝わったとされています。
元は中国から歳寒三友(さいかんのさんゆう)
中国には「歳寒三友(さいかんさんゆう)」という、3つの画題を指す四字熟語があり、「寒い冬という季節に友とすべき三つのもの」という意味を持っています。
これが”松竹梅”の元となる言葉なんですね。
画題というのは絵を描く上での「テーマ」のようなものです。
松と竹は冬の間も緑を保ち、梅は寒い時期から花を開くということで、このように呼ばれるようになったと言われています。
おめでたいものを象徴する言葉からランクづけへの変化
平安時代に日本に伝わったとされる「松竹梅」。実は当時今のようなランクを持った言葉ではなく、「松竹梅」の意味は平等でした。
松は長寿や不老不死
竹は子孫繁栄
梅は気高さや長寿の象徴
といった具合に段々とおめでたいものを象徴する言葉へと変化を遂げていったようです。
その後、お店のメニューなどで「特上・上・並」などの直接的表現を使うよりも、「松・竹・梅」で表現した方が上品で美しいということで、愛用されるようになったと言われています。
日本でランクがついた理由
ではなぜ、松>竹>梅になったのでしょうか。理由は日本で”松”という木が特別な意味を持つものだからなのです。
松は神事で使われる木で、神様をお迎えし邪気を払う力をもつとされています。お正月に「門松」を飾る風習もありますよね。ということで、”松・竹・梅”はどれもめでたく縁起のよいものですが、古くからの日本の考え方と組み合わせると、松が特に重要視されるものだったのかもしれませんね。
日本はランク付けがお好き?
松竹梅のように、日本にはランクづけする言葉がいくつかあります。
金銀銅
多くのスポーツで選手を表彰する際に多く見かける言葉です。この表彰方式は、古代オリンピックにおいて、最も価値があった金、その次に価値があった銀、その次に価値があった銅、とメダルのランク付けをし、授与されたのが始まりだったと言われています。
雪月花
「雪月花」という言葉を用いてランク付けをするところもあります。この「雪月花」は、「大伴家持の歌」や「白居易の詩」に由来するんだとか。
「松竹梅」が定着し、違ったランク表現をしたいということで用いられるようになりました。もちろんこの「雪月花」も、もともとランクの序列などはありません。
ピンキリ
ランクの表記を語る時「ピンキリ」という言葉を使うことがあります。この言葉の由来は古く、室町時代にポルトガルから「天正カルタ」が入ってきた時だと言われています。
ポルトガル語で「点数」のことを「pinta」といい、1点の札のことを「ピン」としたことから、最初という意味と、最低(1点)という意味を持つようになったんだとか。そして「キリ」は、天正カルタ(1~12)では、12の札をキリと呼ぶことから、一番最後という意味がついたようです。
その後意味が逆になった!?
現在では、ピンが最高でキリが最低という意味で使われルことが多いようです。
ピン=最初 →1番 →最高
キリ=最後 →最低
時代とともに変化していったようですね。ということは今後”松竹梅”もランクが逆転する時代が来るかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか?「松竹梅」の言葉の由来や使い方などについて説明してまいりました。言葉が持つ本来の意味を知るというのは結構大事なことですよね。
そして日本の古き良き伝統を感じるのはとても楽しい!こんな素敵な日本語を後世にも伝えていきたいものですね。