アライグマといえば、水辺で手を洗っているように見える獲物探しの姿がすぐに思い出されると思います。しかし世界には手を洗わないアライグマもいます。
「キンカジュー」というアライグマの仲間は、外見も生態もサルに近い不思議な生き物です。
"有名なことが有名"といわれるお騒がせセレブも魅了した、サルに見えるアライグマのキンカジューをご紹介します。
目次
キンカジューはサルではない
キンカジューは体長が45~75cmあり、顔面以外にオリーブ色の毛の生えた体、側頭部から生えた大きな耳、体長と同程度ある物に巻き付けることができる長い尾、物をしっかりつかむ5本の指といった身体的特徴や、樹上生活をしている生態からサルの仲間と思われがちです。
実際、発見された当時はサルの仲間として考えられていました。しかしその実、キンカジューはアライグマの仲間です。
生息域
キンカジューは中南米、メキシコの南部からコロンビアやベネズエラ、エクアドルやブラジルといった南アメリカ大陸の北部にかけて分布しています。標高2500mまでにある熱帯雨林の樹上に生息しています。
生態
キンカジューは夜行性で、日中は樹洞と呼ばれる木の幹にできた空洞の中で休息しています。樹上生活をしているキンカジューは樹上で活動しやすいように体が進化しています。
後ろ向きにすることができる足をしているので樹上の移動を容易にさせる他。正面を見たままの方向転換するといった離れ技を可能としています。また、物をつかむことができる体長と同程度ある長い尾があり、木の枝をつかんだりバランスをとる事にも使えます。
このように樹上での移動に優れた能力が高いですが、キンカジューは警戒心が強いため樹上をゆっくり移動します。
メス1頭に対してオスが2頭の一妻多夫の群れを作っており、より優位なオスとメスとで交尾をしますが、メスが下位のオスと交尾することも確認されています。繁殖期はいまだに判明しておらず、周年繁殖という説と4~5月が繁殖期という2説あります。
また野生で23年といわれる長寿な生き物で、飼育下ではホノルル動物園で41年生きました。
肉食動物だけど肉は食べない
大好きなのは果実と蜜
キンカジューは主食として木に生えているグァバやアボガド、マンゴー、ナツメグやスターアップルなど果実を食べます。他にもハチミツや花の蜜を食します。
ミツバチの巣を襲いハチミツを食すことから「ハニーベアー」という別名もあります。ハチミツや花の蜜は細く長い舌を伸ばし吸い取るように食べます。この細長い舌はシロアリなどの昆虫を巣から引き出して食べる際にも使われます。
肉食をしないわけでもない
食事の9割ともいわれる量の果実を摂取しますが、本来肉食性のキンカジューは小鳥や鳥の卵を食べることもあります。
パリス・ヒルトンが飼ったことで一躍有名になったキンカジュー
キンカジューのベイビー・ラヴ
キンカジューは海外セレブのパリス・ヒルトンがベイビー・ラヴと名付け飼い始めたことで世界的に有名になりました。しかし2006年の8月に一緒に遊んでいたところ興奮したベイビー・ラヴにパリス・ヒルトンが噛まれ、病院に行き破傷風の注射を受けるという事故が起きてしまいました。
ちなみに、パリス・ヒルトンはラスベガスでベイビー・ラヴを購入しロサンゼルスにある自宅で飼っていましたが、カルフォルニア州でキンカジューを飼育するのは違法でした。そのためロサンゼルスの保護局から警告を受けていたと報じられていた後での事件でしたので、パリス・ヒルトンはお騒がせセレブというのを改めて確認される事件でもありました。
日本でもペットにできる
カルフォルニア州では飼育が違法なキンカジューの飼育ですが、日本ではペットにすることは可能です。しかしエキゾチックアニマル専門店でさえもしかしたらいるかもしれない、という希少さのようです。また、パリス・ヒルトンもそうですが、キンカジューは破傷風菌を持っていますので、噛まれたりした場合は感染するリスクがあります。
まとめ
キンカジューはサルの一種と勘違いしてしまう外見や生態をしていますが、果実や蜜が大好きなアライグマの一種です。樹上で夜間に活動をし、ゆっくり移動するという徹底的な対策で野生動物の天敵襲われにくいという長寿の秘訣があります。破傷風のリスクはありますが、長寿ですし飼える環境にあるならば家族にしたい生き物ですね。餌が果物なので食費が凄そうですが!
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出典:wikipedia.org(Kinkajou)