「龍」と「竜」の違いは何?恐竜は恐龍とは書かない!同じ意味ではないの?

日本語の中でも、特に漢字には同じ意味があるものも多いですよね。その中でも特に違いがわかりにくいのが龍と竜です。これらの違いってそもそも何なのでしょうか?

恐竜は恐龍とは書かないし……謎は深まるばかり。そこで、ここでは龍と竜の意味や伝来、由来についてご紹介します。

龍と竜

龍と竜という漢字は、なんとなくのニュアンスで使っている日本人が大半です。例えば、名前でも「竜」より「龍」の方が何となくかっこいいから使っているというくらいの感覚だったりします。

漢字の意味は同じ

龍と竜は原則として意味は同じです。日本のリュウと西洋のドラゴンでは若干印象も違ってくるものの、龍と竜という漢字では同じ意味を持っていると解釈しておきましょう。

竜は龍の略字

竜という漢字は龍の略字だと言われています。龍を省略する字体として生まれたと言われている竜ですが、実は龍よりも竜の方が歴史は古いのではないかという考えもあります。

元は中国で産まれた漢字

元々漢字は中国で産まれ日本などの近隣の諸外国に伝わりました。現在、最も古い漢字の始祖と考えられているのは甲骨文字なのですが、その甲骨文字の竜を意味する形が龍ではなく竜に近い形をしていることから竜の方が先に生まれた漢字ではないかという説もあるそうです。しかし、現在ではこれら二つの漢字は親子関係ではなく兄弟の関係として、ほぼ同時期に生まれた字ではないかと言われているそうです。

日本では龍が旧字体の常用外漢字、竜が新字体の常用漢字と指定されており、通常の生活で利用するのは竜の方となっています。龍はどちらかというと名前や名称に使われることが多いです。
中国でも龍が最初に認定されたと考えられており、竜がその省略体となって広まっていったと言われています。

略字なので根本は全く同じ

竜は龍の略字なので、根本的には意味も同じです。使われ方に多少の違いはあれど、意味に違いはありません。

使い分けは後付けで出来た

ではなぜ日本では龍と竜を使い分けるようになったのでしょうか。これにはその時々の歴史が関わっていて、日本という国の文化では使い方も多様化したと考えられています。

東洋のリュウにはどちらも使う

東洋のリュウには龍も竜も使います。東洋のリュウは古くから伝説の生き物として扱われてきたこともあり、古くから龍と竜の両方が使われてきました。

日本ではより簡略化するために龍ではなく竜を使うことが多くなりました。それでも名前や名称などには龍を使うことが多く、東洋のリュウを表記する際には両方使います。

西洋のドラゴンには龍は使わない

西洋のドラゴンには龍を使いません。どちらかというと龍という漢字はアジア、それも中国や日本のイメージが強いです。逆に竜という漢字にはアメリカやヨーロッパのイメージに近いです。

そのためドラゴンは龍とは表記しませんが、竜で表記されることがあります。これはもともと恐竜に寄せている他、それぞれ状況によって使い分けているだけです。日本では龍の略字として竜が登場し、その際に西洋のドラゴンの当て字として竜を使ったわけです。

恐竜も龍を使わない

恐竜も基本的に龍を使いません。イメージとしては地面を歩くものには竜を使い、空を飛ぶものには龍を使う印象ですね。また、龍は空想の生き物というイメージで使われることが多いですが、実在した恐竜は現実の生き物というイメージで使うことが多いと言われています。

竜しか使わないものは後で漢字が設定された

竜しか使わない恐竜などの漢字は、実は後になってから設定されたものとなっています。古くから龍を使ってきた中国や日本では後々になってから略字としての竜が広まったため、それ以降に広まった言葉には竜を用いることが多いのです。

龍・竜の漢字は中国では今はあまり使わない

中国では今はもう龍も竜も使わないことがほとんどです。その理由は中国文字の字体に関係しています。

中国本土は簡体字を使う

中国では龍の簡体字として龙を用います。そのため「烏龍茶」は簡体字で書くと「乌龙茶」となるわけですね。前者よりも後者の方が中国ではメジャーとなっており、すでに龍も竜も使わないことが多いです。

台湾では繁体字を使う

中国とは少し違った文化で成長してきた台湾は、字画が多い漢字を好む傾向にあります。台湾では主に繫体字を使うことが多く、竜よりは龍の方を好む傾向にありますね。

まとめ

基本は同じ意味の漢字、イメージとしては「竜=西洋のドラゴン」で「龍=東洋のリュウ」ですが、その考え方は間違いです。

略字の竜が出来た後にドラゴンに対して竜の字をあてただけなので、ドラゴンは竜だけど竜がドラゴンということではありません。そこは勘違いしている人も多いので注意が必要ですね。

意味としてはどちらも同じものなので、日本では状況によって使い分けることが可能です。それこそ名前や名称を付ける時には、そのイメージごとに使いわけることもできます。龍と竜の違いを知り、上手に使い分けましょう。

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