「檄を飛ばす」に励ましの意味は無かった!誤用は漢字間違えから広がった?

2019.10.16


落ち込んでいる人を元気づけようと声をかける意味で、小説やスポーツの場面などで「檄(げき)を飛ばす」という言葉を聞いたことはありませんか?

しかしこの「檄を飛ばす」には、本来元気づけるという意味はありません。誤用が広がっているこの言葉、「檄を飛ばす」の本来の意味と誤用の広がりについてご紹介します。



檄を飛ばす


本来の意味


「檄を飛ばす」は本来、このような意味の言葉だそうです。

自分の主張や考えを広く人々に知らせ同意を求める。また、それによって人々に決起を促す。

出典:dictionary.goo.ne.jp

自分の考えを周りに伝えて賛同してもらう、が本来の意味合いですので、「発破をかける」「やる気になる言葉をもらう」という意味はありません。

檄を飛ばすの語源


「檄を飛ばす」の『檄』とは自分の意見や主張をまとめて周りに賛同を得るのを目的とした文書「檄文」をあらわしています。賛同してほしい自分の意見や主張を文書にまとめたうえで周囲に拡散する「檄文を飛ばす」行為が「檄を飛ばす」の言葉の始まりです。

日本で有名な檄


檄は主に戦国時代といった名目を立てる必要のあった時代に見られ、現在ではめったに見られることのないものです。戦後の日本では、小説家の三島由紀夫が1970年に陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地内の東部方面総監室占拠した際の声明が最も有名な檄文としてあげられます。




勘違いされるようになった「檄を飛ばす」


文化庁による国語に関する世論調査


2018年3月に行われた文化庁の「国語に関する世論調査」の中で、「檄を飛ばす」の用法についても調査が行われました。調査は(ア)本来の意味「自分の主張や考えを、広く人々に知らせて同意を求めること」と(イ)勘違いされている意味「元気のない者に刺激を与えて活気付けること」どちらが正しい意味か、をアンケート形式で回答してもらうことで進められました。

結果、67.4%の人が(イ)「元気のない者に刺激を与えて活気付けること」が正しいと回答しました。(ア)「自分の主張や考えを、広く人々に知らせて同意を求めること」の本来の意味が正しいと回答した人が22.1%、3分の1しかいませんでした。

また、年齢別に見ると(イ)が正しいと回答した割合の一番多かった30代で74.8%、4分の3と大多数を占めています。しかし、最も(イ)の回答率が少なかった70代以上でも59.9%と半数を超えていますので、全世代的に本来の意味より勘違いの意味合いの方が広まっているようです。

勘違いは漢字違いから?「激を飛ばす」


「檄」というのは現代の私たちの生活では非常に見慣れない漢字です。そのため「檄」の字を間違えて「『激』を飛ばす」とされることもあったようです。この誤字「激」が励ましの意味を持つ「激励」と結びつき、現在の人を元気づけるという意味合いが誤用表現として生まれたと考えられています。

まとめ


本来は自分の意見を主張する意味合いの「檄を飛ばす」という言葉は、見慣れない言葉「檄」が「激」と勘違いされたことで激励の意味がある言葉と勘違いあれるようになりました。今では大多数の人が勘違いされた新しい意味を正として用いていますので、近い将来に辞書にも激励の意味が追加されるかもしれませんね!

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出典:dictionary.goo.ne.jp(檄を飛ばす)

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