「あやめ」と「しょうぶ」に「かきつばた」、そっくりな花たちの見分け方をご紹介!

初夏に咲く代表的な花と知られている「あやめ」と「しょうぶ」そして「かきつばた」。

いずれも非常に姿が似ているため見分けが付きにくい花です。
「あやめ」と「しょうぶ」にいたっては、共に『菖蒲』という同一の漢字なのでさらに分かりにくくなっています。
このパッと見では同一種にしか見えない三種の花ですが、実は明確な見分け方がありました。

今回はそれぞれの花の特徴と違い、そして三種の見分け方を解説します。

同じ「しょうぶ」という名前でも、全く違う花を持つ「しょうぶ」

実は「しょうぶ」と呼ばれる植物は二種類あります。
菖蒲湯に使われることのある「しょうぶ」と、あやめやかきつばたと混同される「はなしょうぶ」です。

蒲の穂に似た花を咲かせる「しょうぶ(菖蒲)」

 

「しょうぶ」が生えるのは、池や川の水辺です。
日本では北海道から九州まで広い地域に自生しています。

平たく先が細く尖っている長い葉と「がまの穂」に似た花を咲かせる「しょうぶ」は、ショウブ科の植物(旧来の分類体系上ではサトイモ科)に分類される植物です。

古くから縁起物とされた「しょうぶ」

 

「しょうぶ」は五月の端午の節句で、お風呂に浮かべる菖蒲湯として用いられることで知られています。
「しょうぶ」の葉が剣に似ている事、その爽やかな香りは邪気を祓うとされた事から、古代中国で縁起物とされてきました。

日本では奈良時代から端午の節句を祝う際に用いられています。
武士が中心の時代になると「しょうぶ」という名前が、武勇を重んじることを意味する「尚武」や「勝負」と言葉を掛けて用いられるようになりました。

「尚武」や「勝負」と掛けた「しょうぶ」を用いることから、武士の時代には『端午の節句』は男子の成長を祝い、健康を祈る節句へと変化していきました。

鮮やかな花を咲かせる「はなしょうぶ」

 

「はなしょうぶ」はアヤメ科アヤメ属の植物です。
鮮やかな花を咲かせ、「しょうぶ」に似た葉をしていることから「はなしょうぶ」という名が付いたといわれています。

『花の咲くしょうぶ』というわけではなく『しょうぶに似た葉を持つあやめの仲間』なのですが、その名前から混合されて「しょうぶ」と呼ばれることも多いです。

時折、「しょうぶ」と「はなしょうぶ」も混合して「はなしょうぶ」が菖蒲湯に使う植物だと勘違いされている方もいるそうですが、菖蒲湯にはこの「はなしょうぶ」を浮かべることはありませんのでご注意ください。

一般的に「あやめ」や「かきつばた」と見分けがつかないとされる「しょうぶ」は、こちらの「はなしょうぶ」のことになります。

「あやめ」と「はなしょうぶ」、「かきつばた」の違い

 

しょうぶと呼ばれる植物は二種類あり、混合されるのが「はなしょうぶ」と判明しました。
ここからは、「あやめ」「はなしょうぶ」「かきつばた」の三種の違いをご紹介します。

成長するのに最適な環境

あやめ

 

「あやめ」は山の草地に自生している植物で、乾いた場所を好んで育ちます。

はなしょうぶ

 

水はけのいい環境を好む「みずしょうぶ」ですが、花を咲かせるのには十分な水が必要になります。

かきつばた

 

川辺などの水辺といった湿地の場所が「かきつばた」にとって最適な育つ環境です。

開花シーズン

地域によって開花シーズンは前後しますが、目安としての開花時期は以下の通りです。

あやめ

 

「あやめ」が一番早く開花し、4月下旬から5月中旬にかけて花を咲かせます。

はなしょうぶ

 

「はなしょうぶ」はあやめとほぼ同時期、5月上旬から5月中旬にかけて開花します。

かきつばた

 

「かきつばた」は時期が少しずれ、5月下旬か6月中旬にかけて咲きます。

花の丈

あやめ

「あやめ」は30~60cmほどで、三種の中で一番丈が低いです。

はなしょうぶ

「はなしょうぶ」は80~100cmと、あやめの2倍ほどの高さまで成長します。

かきつばた

「かたつばき」はあやめとはなしょうぶの間くらいの丈の高さ、50~70cmほどになります。

花の色と特徴

あやめ

 

「あやめ」は一般的に「あやめ色」と呼ばれる濃い紫色の花弁、もしくは少数ですが白い花弁をした花を咲かせます。
花弁の付け根に網目模様が入っているのが特徴です。

はなしょうぶ

 

「はなしょうぶ」は品種改良が江戸時代後半に進められ紫や白、桃、青といった色が濃淡様々な花の色をしています。
模様も多岐に渡りますが、花弁に網目模様はなく、付け根に黄色が入っています。

かきつばた

 

「かきつばた」もあやめと同じく紫の花を咲かせるのが一般的ですが、花弁の付け根から白の線が模様として入っています。

まとめ

姿が似ている事、実は三種とも同じ『アヤメ科アヤメ属』の植物であることから、まとめて「あやめ」と称されることもあります。

それでも見比べれば違いはあるもので、育つのに最適な環境も、背の高さも、開花時期も違います。
なにより一番見比べて分かりやすい花弁の違いもあります。

・花弁の付け根に網目模様のある「あやめ」
・花弁に網目模様が無く、付け根が黄色くなっている「はなしょうぶ」
・「かきつばた」は白く細い線状の模様が花弁の中央を走っている

この特徴を覚えておけば、三種が一目瞭然ですね。
初夏を知らせる「あやめ」「はなしょうぶ」「かきつばた」を見に菖蒲園に行かれる際はぜひ参考にしてください。

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