年齢を書く際に用いる「歳」と「才」。
この漢字にはどのように使い分けをすればいいのでしょうか?
小学生など幼いうちは「才」を、大人になったら「歳」を使うようにする、そのように使い分けを考えている人もいると思いますが、実は「才」と「歳」は使い分けて用いられている訳ではありません。
ではなぜ実際に「才」が使われる時と「歳」を用いる時と複数の状況があるのか、その理由について解説します。
目次
「歳」と「才」の意味
歳
歳には主に3つの意味があります。
ひとつは「時間の月日・年月」、もうひとつが「年齢」そして時に「実りや収穫」をあらわす語となります。
才
一方の"才"という単語には、頭脳のはたらきつまり「知能」や生まれついた「能力」という意味があります。
そう、才に年月などをあらわす意味はありません。
なぜ「歳」の代わりに「才」が用いられるのか
ではなぜ「才」が使われているのか、それは「歳」の代用としてです。
「才」が代替の漢字となっている理由はいくつかあります。
画数が少ない
単純に画数が3画の「才」を、13画ある「歳」の代わりに用いられるようになったというのが理由の一つです。
たしかにワープロなどが登場するまではあらゆる文字を手書きで書いていた時代、簡単に書けるのなら簡単に文字を書こうとしたというのはよくわかる話です。
習う時期が違う
「才」を授業の中で習うのは小学2年生とかなり早い時期です。
一方で「歳」は学習するのは中学生に入ってからです。
生活の上で見ることはあっても習うのが中学生になってからの漢字よりも、小学2年生で習った漢字を代わりに使うようになったというのが理由の一つとして考えられています。
もともと「才」ではなかった?「歳」の略字が変形した説
一方で、もともと代用の字として"才"を使っていなかったともいわれています。
画数の多い「歳」の一部「戈(ほこ)」を抜き出し、略字として書いていたものが変形して「才」になったという説があります。
実際、「才」ではなく「戈」と書いている人もいるそうです。
才は歳の代わりとしてなんにでも使えるわけでは無い
画数の多い「歳」のかわりに「才」を使えるのは年齢に関してだけで、常に使えるわけではありません。
「歳末」は年末を意味しますが、"才末"とは書くことは決してありません。
七五三の時に貰える「千歳飴」も"千才飴"とは決して書くことはありません。
文字通り年齢をあらわす言葉ではない限り、「歳」の代わりに「才」を用いることはありません。
「歳と才」と同じパターン「齢」と「令」
同じように画数や学習時期の観点から代替漢字が用いられるのが「齢」と「令」です。
年齢を年令と書く場合のみ「令」を「齢」の代替漢字として用いられています。
年や寿命の長さをあらわす「齢」に対して、「令」は命令のように命じることや法令のように決まりを意味する語句です。
こちらにも命の長さをあらわす意味は有していません。
「才」と同様、本来は年をあらわす意味を持っていないので、「齢」の代替として用いられているというのが分かります。
まとめ
「才」はあくまでも「歳」の代わりに使われている文字です。
そのため公式書類などでは「歳」を用いられています。
一方で文化庁は「歳」のかわりに「才」を使うのは、今後いっそう一般的傾向になると予想していますので、これから一層年齢をあらわす際は「才」が用いられるようになるかもしれませんね。