さくらんぼは日本でも老若男女問わず愛されている果物ですが、人によっては桜の実だと思っている人も多いと思います。事実、日本の桜であるソメイヨシノにも実がなっていることがありますよね。
ただ、さくらんぼと桜というのは厳密には違います。そこで今回はそれぞれの特徴と違いについてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
目次
さくらんぼとは?
さくらんぼはバラ科モモ亜科サクラ属サクラ亜属に属する植物で、主に赤い果実を実らせるのが特徴です。
桜桃
さくらんぼは別名「桜桃(おうとう)」とも呼ばれています。さくらんぼのなる木の事を「桜桃」と呼び果実を「さくらんぼ」として区別する呼び方もありますが、基本的にさくらんぼ=桜桃です。
この呼び名からも桜の実がさくらんぼなのかなと勘違いしてしまう要因にもなっていそうですな。
鑑賞用の「桜」と果樹の「実桜」
日本で春になると満開になる桜にも何種類かあるのですが、そのメインとなるソメイヨシノは主に観賞用の桜となっています。これらは見ることに特化して開発された品種ということもあり、実桜(みざくら)のように美味しいさくらんぼを実らせるということはありません。
さくらんぼの実る桜は実桜(みざくら)と呼ばれ、これらは食用に特化して開発されているため、甘くて美味しい果実を実らせます。
品種は1,000種類以上
果樹である実桜は東洋系と西洋系を合わせて1,000種類以上もあるのが特徴で、世界中で品種改良が進められています。より美味しいさくらんぼが生まれており、それらは世界中で流通しています。
品種によって色や味や形や大きさが変わるのが桜桃の特徴で、日本で食べるものの多くは甘果桜桃と呼ばれるタイプの果実で、主に生食に向きます。逆に料理には酸味の多い酸果桜桃と呼ばれるタイプの果実を使うことも多いのだそうです。
甘いだけがさくらんぼではなく、世界では非常に多くの種類のさくらんぼが存在しているようです。
名前の由来は「桜の坊」
なぜその名前を「さくらんぼ」と呼ぶのでしょうか。理由は単純で、桜の子供ということで「桜の坊」と呼ばれていました。
桜の坊の「の」が撥音便となり、「坊」が短母音化して「さくらんぼ」になったと考えられています。
ソメイヨシノの実はさくらんぼ?
ソメイヨシノは主に食用ではなく鑑賞用。原則としてさくらんぼのように瑞々しい果肉は実りません。
ただ、ソメイヨシノにも果実が実っていることもあります。品種によっては黒くて小さい果実がなっているなんてことも。それでもこれらの実がさくらんぼなのかと言えば、そうではありません。
ソメイヨシノは基本実を付けない
日本で頻繁に見られるソメイヨシノはクローンなので、ソメイヨシノ同士では受粉できません。受粉できないということは、果実を実らせることもできないということです。
別品種との自然交配の可能性はある
先に述べたように、ソメイヨシノはクローン木の為、ソメイヨシノ同士で受粉することはあり得ません。
ただ別品種の桜と自然交配した場合にはソメイヨシノでも実をつけていることがあるのです。もしソメイヨシノに実がなっているのを見つけた場合はその木の周りに必ず別の品種の桜があるはずですよ!
しかし、この場合は厳密には純粋なソメイヨシノの実ではなく、交雑種の実ということになります。その為、純粋なソメイヨシノの実は存在しません。
さくらんぼの秘密
さくらんぼには意外と知られていない秘密があります。ここからはそんなさくらんぼの秘密をちょっとだけご紹介!
自家受粉できない
さくらんぼは自然になるということは少なく、基本的には自家受粉できないものばかりです。稀に自家受粉する品種もあるのですが、主に生産者が受粉させてあげる必要があります。
別品種と交配
自家受粉できないので最低2種類以上の品種が必要となるため、甘くて美味しいさくらんぼを育てるには手間がかかります。それも途方もなく地味な作業が必要となるため、開発するだけでも相当な時間を要するわけです。
さらに育てるのも大変であり、日本のように見た目を気にする国民性であれば、傷物などは出荷できません。だからこそ、より日本のさくらんぼは価値が高いと言われています。
中には赤い宝石と呼ばれるさくらんぼもあり、約30粒で3万円~5万円ほどするものもあるほどです。
自家受粉できる品種もある
さくらんぼの中には自家受粉できる品種もあります。それらの品種であれば家庭で育てることも可能です。筆者の実家にも自家受粉できる品種があり、毎年少量ながらもさくらんぼを実らせることがあります。
ただ、自家受粉できる品種は甘果桜桃ではなく酸果桜桃であることが多く、あまり美味しくならないことも多いです。それでも自家和合性があり受粉可能なので、家庭で育ててみたい人は挑戦してみてはいかがでしょうか。
まとめ
さくらんぼが桜の実なのかと言えば、半分正解で半分不正解というのが正しいかもしれません。ソメイヨシノなど鑑賞用の桜にも実ることはあるのですが、原則としては美味しく食べることはできません。
もし美味しいさくらんぼが食べたいなら、やはり桜桃としていくつかの品種によって生まれたものがおすすめです。