「ありがとう」の語源はポルトガル語!?オブリガード由来説ってどういうこと?

日常的に使う言葉の1つ「ありがとう」。
美しい日本語の1つともいわれるこの言葉が、もし外国語由来だと聞かされたら・・・正直驚きますよね。

実は「ありがとう」には、その由来が「ポルトガル語」にあるとする説があるのです。

「ありがとう」を意味するポルトガル語「オブリガード」

 

ポルトガル語のありがとう

ポルトガル語で「ありがとう」を意味するのは、男性語なら「オブリガード(Obrigado)」、女性語なら「オブリガーダ(Obrigado)」です。

特にオブリガードは「ありがとう」と少し似たような発音をしています。
そのため、ポルトガル語から「ありがとう」は生まれたという説がありるのです。

「ありがとう」は「ありがたし」の変化型

 

とはいえ、実際には「ありがとう」の起源は、別の日本語にあります。

その起源となった言葉は「ありがたし」です。
「ありがたし」は「あることが難しい」に繋がる「有り」と「難し」が結びついて生まれた言葉で、「めったに無い・貴重だ・めずらしい」の意味があります。

この「ありがたし」の連用形「ありがたく」が更にウ音便化したことで「ありがとう」になり、感謝を伝える言葉に転用されたと考えられています。

日本とポルトガルの交流

 

戦国時代の日本には、キリスト教の布教や貿易を目的としてヨーロッパの国々が日本にやってきていました。
ポルトガルもその中の一国でしたが、特に日本と関係性が深い国です。

例えば、種子島に来て鉄砲を伝来させたのもポルトガルの商人ですし、南蛮貿易の南蛮はポルトガルとスペインを指すほど来訪頻度が高い国でした。
また、日本人初となるヨーロッパ留学生、鹿児島のベルナルドが最初に訪れたヨーロッパもポルトガルでした。

このような密接な関係の合った両国だからこそ、「ありがとう」という日常語の由来説が生まれたのかもしれません。

ポルトガル人が来る前は「ありがとう」は使わなかった?

ポルトガル語を由来とする説は、あくまでも音が似ているというだけで間違いとされています。
その一方で、ポルトガル人が訪れるようになる以前の日本では「ありがとう」はあまり使われていなかったともいわれています。

それまでの日本では感謝を伝える言葉として「かたじけない」を使うのが一般的だったとされているのです。

ありがとうがオブリガード由来説は民間語源

 

民間語源とは

ポルトガル語のオブリガードがありがとうの語源、といった俗説的な語源、言語学的な根拠が無く音や文字から由来を考察した後付の考察を「民間語源」といいます。

他にもある「ありがとう」の民間語源

他にも「ありがとう」の民間語源とされている説はあります。

ヘブライ語の「ALI・GD(アリ・ガド)」が由来とする説です。
この言葉は私は幸せです、という神への感謝を伝える言葉となっています。

音や意味が非常に似通っていますが、ヘブライ語はパレスチナ周辺で使われていましたが、2~3世紀には口語としての使用は廃れた言語です。
現在使われているヘブライ語は19世紀に入ってから復活したものなので、日本語のありがとうの語源とするのは考えにくいです。

代表的な民間語源

 

民間語源は、ありがとう以外にも多くあります。
例えば旧暦の月名です。

旧暦の10月を意味する「神無月」は神が出雲大社で行われる会議でいなくなってしまうのが由来、と広く伝わっていますが、この語源は出雲大社の関係者が広めたとされる俗説の一種です。
言語学的には「無」は無いの意味ではなく「~の」という助詞として用いられていましたので、その由来は「神の月」となります。

また、旧暦の12月をあらわす「師走」も、師(僧侶)が忙しく走り回る様子からといわれることがありますが、由来は現在も不明とされています。
奈良時代には「十有二月」や「季冬」と書いて「しわす」とすでに呼んでいたというのが分かっています。

まとめ

室町時代になるまで交流のなかったポルトガルが「ありがとう」の起源と考えられているというのは面白いですよね。
さらに、いっときは廃れていたヘブライ語が由来かもしれないなんていう説までありました。

残念ながら、両者とも言語学的には由来とするにはありえない、民間語源のようですが、「ありがとう」という言葉はポルトガル語由来説は交流がはじまり、江戸時代の頃に普及した言葉ともいわれています。

もしかしたらオブリガードという言葉を聞いて、いつも使っている「かたじけない」より「ありがとう」の方がいいのでは?なんて考えた人が使い始めたのがきっかけかもしれませんね。

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