日本には数多くの寺院があり、多くの人の日常に溶け込んでいます。それらの寺院の中には、広大な境内の中にひときわ存在感のある大仏を本尊としているお寺もあります。
大仏とは広義では、「お釈迦様よりも大きいサイズの仏像」の事を意味しますが、厳密に大きさが定まっている訳ではありません。しかし、その大きさと共に感じられる神秘さには心をひきつけるものがあります。
日本全国には多くの大仏が建てられていますが、江戸時代から『日本三大仏』といわれる大仏があるので、どのお寺にあるのかご紹介します。
目次
大仏とは
大仏とはそもそもどういうものなのでしょうか。これは文字通り、"大きな仏像"のことです。
仏教が信じられている国に多数建立されており、日本だけではなく中国や朝鮮などでも大仏は拝められています。また、その他にもミャンマーやタイといった東南アジア、中にはイスラム圏として印象の強いアフガニスタンにも大仏像はあります。
古いものだと天然の岩盤を彫刻したものなどもありますし、奈良の大仏のように国の安寧と民の幸福を祈願して作られた大仏もあります。
基本的にお釈迦様の背丈といわる1丈6尺(丈六仏)よりも大きい仏像を「大仏」と呼ぶため、そこまで大きくないものでも大仏と呼ぶことがあります。
三大仏①:奈良の大仏【東大寺】
「奈良の大仏」は奈良県奈良市にある東大寺大仏殿の本尊です。聖武天皇の発案によって745(天平17)年に建造が開始され、752(天平勝宝4)年に開眼供養恵が行われました。
中世や近世の時代には大規模な火災によって焼失してしまったものの、補修によって現在までその形を保っている歴史ある大仏です。しかし当時の素材は一部しか残っておらず、激動の時代に揉まれてきた大仏でもあります。だからなのか重みも別格ですね。
国宝としては「銅造盧舎那仏坐像(どうぞうるしゃなぶつざぞう)」という名称で指定されているなど、日本の仏教界の中でも非常に重要な大仏です。
三大仏②:鎌倉の大仏【高徳院】
「鎌倉の大仏」は神奈川県鎌倉市にある高徳院の本尊です。「鎌倉大仏」や「長谷の大仏」という名でも知られている阿弥陀如来像です。
鎌倉期の遺産として知られているものの寺院の開山や開基は資料が乏しく、大仏の作者や建造についても詳細不明のままです。特徴として見られるのは慶派の作風と栄代中国の仏師たちからの影響を併せ持っているということです。
かつては奈良の大仏同様、大仏殿に囲われていたとされますが、現在では大仏殿が消失してしまっています。
この大仏殿の倒壊時期についても諸説あり、1300年代中頃のあt倍重なる大風による、とも1498(明応7)年の大地震の時に倒壊したともいわれています。ただ、それらの説が語られるからこそ、より神聖な空気を放っているのだと感じられます。
時代によって様々に候補にあげられる三大仏の三尊目
現在は三大仏の三尊目が定まっていません。場所としては高岡・岐阜・東京の3つが挙げられることも多いのですが、厳密に定着しているわけでもありません。また、代わりに五大仏となっているわけでもありません。
ただ、日本を代表とする大仏であることは間違いないので、ここから簡単にご紹介します。
江戸時代の三大仏の三尊目:京都の大仏【方広寺】
「京都の大仏」は、かつて京都府京都市東山区に存在していた大仏です。桃山時代から昭和まで、災害で倒壊や焼失することもありましたが、その度に再建され、計4代の大仏があったとされています。
特に3代目は奈良の大仏よりも大きかったそうで、江戸時代の日本三大仏の1つとして数えらると共に、多くの観光客が方広寺に訪れる人気スポットとなっていました。
観光地としても人気のあった3代目の大仏が焼失してから、4代目が再建されるまで50年ほどかかりました。
再建された大仏は、3代目より小振りだったとされていますが、1973(昭和48)年の火災によって焼失してしまいましたので、現在では見ることができません。
1944年以前の三大仏の三尊目:兵庫の大仏【能福寺】
「兵庫の大仏」は1891(明治24)年、兵庫県神戸市兵庫区にある能福寺に建立された大仏です。1944年に解体されるまでは日本三大仏の1つとして知られていました。
現在見ることのできる大仏は、1991年に再建されたものとなっています。ちなみに、再建した大仏の材料には戦後に解体されたかつての大仏の金属片が混ぜられているようです。
現在の三大仏の三尊目?:高岡大仏【大佛寺】
「高岡大仏」は富山県高岡市の大佛寺にある大仏です。台座内部には1900年に焼失した木造大仏の頭部があるなど、趣向を凝らした造形が特徴となっています。
大仏本体は高岡銅器の職人が作った技術の結晶とも言われており、現在の日本三大仏の三尊目といわれるともに県指定有形文化財にも指定されています。
現在の三大仏の三尊目?:岐阜の大仏【正法寺】
「岐阜の大仏」は岐阜県岐阜市の正法寺にある大仏です。この釈迦如来像は日本三大仏の三尊目にあげられることもあります。
1832(天保3年)年に大地震や大飢饉といった災害でで亡くなった人を供養するために建立が計画されましたが、完成するまで38年と非常に長い年月を必要としました。
現在の三大仏の三尊目?:東京大仏【乗蓮寺】
「東京大仏」は東京都板橋区赤塚にある乗蓮寺の大仏です。1977(昭和52)年に関東大震災や東京大空襲といった震災や戦災が起きないように願いを込めて建立されました。
また、東京大仏は奈良や鎌倉に次ぐ大きさを誇る規模があることから、大仏を目当てに訪れる人も少なくありません。
まとめ
日本三大仏は奈良の大仏と鎌倉の大仏、そしてその他の大仏が候補となっています。厳密に「これが日本三大仏だ」という決まりはありません。どの大仏にも深い歴史があるため、優劣を付けるのではなくそれぞれを大切に守っていくことが必要ですね。