春の風物詩・桜を代表する「ソメイヨシノ」は全てクローンだった!?だからこそ生まれる桜前線

春の風物詩といえば桜でしょう。日本の桜を代表する品種といえばソメイヨシノですが、このソメイヨシノはすべてクローンで作られているというのはご存じでしょうか?

今回はそんなソメイヨシノの特徴や、どうやって生まれたのかを調べた長年の研究、そしてクローンの謎についてまとめてみました。

桜を代表する品種・ソメイヨシノ

日本の国花としても知られる桜は、日本人にとってなくてはならない存在です。

人々は桜の開花を待ちわび、桜が咲けば日本各地で花見が行われます。そう、人々が開花を待ち望む桜を代表する品種といえば「ソメイヨシノ」です。

ソメイヨシノの特徴

桜と言えばソメイヨシノを思い浮かべる人は多いでしょう。

ソメイヨシノの花弁は5枚で、葉が出る前に花が開き、満開になります。咲き始めた頃は淡紅色ですが、満開になると白色に近づきます。

ソメイヨシノは他の桜に比べて、花が大きく花付きもよく、見栄えがよいのが特徴です。開花時期は九州、四国地方では3月下旬頃で、この時期になると「桜開花宣言」が出されニュースでも広く取り上げられます。

桜の中で一番人気のソメイヨシノ

桜にはいくつか品種がありますが、圧倒的な人気を誇るのがソメイヨシノです。

ソメイヨシノは成長が早く、若い頃から花を咲かせることができます。明治時代以降から日本各地の公園、城跡、学校、道路沿いなどの公共施設に植えられ、全国的に広まりました。現在、日本に植えられている桜の約80%はソメイヨシノです。

ソメイヨシノ、100年にわたる起源探し

ソメイヨシノの起源については、明治から平成まで、120年近く研究が続いてきました。

明治時代には、原産地の分からない野生種説が主流でしたが、大正時代になるとエドヒガンとオオシマザクラの雑種説が考えられます。しかし野生種のエドヒガンとオオシマザクラの雑種説は、当時の植物分類学では雑種という考え方が奇異であったため、無視されてしまったそうです。

昭和時代に入ると、韓国・済州島起源説が提唱されはじめます。済州島産の桜の標本にソメイヨシノに似たものを見つけたことから、済州島が起源では?と考えられたのです。

しかし戦後になって、桜の人工交配実験の結果ソメイヨシノは「エドヒガンとオオシマザクラの雑種」であることが判明しました。なんと済州島の桜は類似していてもあくまでも別種だったのです。

1996年にはDNA分析の結果、「母親がエドヒガン」であることが分かり、さらに2014年のDNA分析では「エドヒガンとオオシマザクラにヤマザクラが少し交ざったものから生まれた」ことが新たに判明しました。

ソメイヨシノの起源についての科学的な研究はこのように長きにわたって行われていたのです。

ソメイヨシノはクローンだった?

ソメイヨシノは1995年にDNA解析した結果、全国にあるソメイヨシノがクローンであることが確定しました。

ソメイヨシノは受粉しない

ソメイヨシノは自家受粉を行いません。ソメイヨシノが日本全国で広まったのは、人の手によって挿し木、接ぎ木を行い、数を増やしたからなのです。

ソメイヨシノは自家不和合性が強い品種であり、ソメイヨシノ同士では結実するものの、種子が発芽しません。ただし、ソメイヨシノ以外のサクラであれば交配は可能です。

ソメイヨシノの増やし方

ソメイヨシノの増やし方は「接ぎ木」が一般的です。

1年ほど育った他の桜の根元部分に切り込みを入れ、短く切ったソメイヨシノの枝先を切れ込みに差し込んでテープで固定します。すると、接いだ先からソメイヨシノが育ちます。

桜前線はソメイヨシノがクローンだから発生する

ソメイヨシノは、最初の1本からコピーのようにどんどん分身を増やしていき、全国に広まりました。つまり、日本全国にあるソメイヨシノは全部同じ遺伝子を持っています。

全国各地のソメイヨシノはクローンなので、特徴はすべて同じ。そのため同じタイミングで一斉に花が咲き、同じタイミングで散るという現象が全国各地で起こります。

この一定の気象条件によってほぼ同時に咲き始めるというソメイヨシノの特徴を活かして発明されたのが「桜前線」です。

桜前線はソメイヨシノの開花時期予想であり、3月になるとニュースで広く取り上げられます。

ソメイヨシノの寿命は60年?

一般的にソメイヨシノの寿命は60年と言われており、他の品種と比べると圧倒的に短いです。例えば山桜は200~300年、エドヒガンは500年以上とも言われていることからも、ソメイヨシノが短命であることがよく分かりますね。

また、全国にあるソメイヨシノはクローンであるため、全て接ぎ木や挿し木で増やしてきました。植えられた時期が同じ場合、同時期に寿命を迎えてしまいます。

そしてソメイヨシノは他の品種と比べて、てんぐ巣病にかかりやすいようです。てんぐ巣病にかかると、木の内部が腐り、空洞化して倒木する可能性が高くなります。

この理由からもソメイヨシノの寿命は60年と短いのでは・・・と言われているのです。

ただ、青森県弘前市には樹齢100年を超えるソメイヨシノが300本以上も存在しており、ソメイヨシノの寿命に関してはまだ分からない部分が多いのが現状です。

桜はソメイヨシノだけじゃない!他にもある美しい花を咲かせる桜をご紹介!

桜の代表的品種といえばソメイヨシノですが、他にも美しい桜の品種はたくさんあります。人気の品種をご紹介しましょう。

河津桜

静岡県河津町で原木を偶然発見したことが由来で「河津桜」と呼ばれるようになりました。

他の桜に比べて開花が早く、1月下旬~2月にかけて開花します。花は桃色で、ソメイヨシノよりも色が濃いです。

花が咲く時期は1ヶ月と長く、毎年2月下旬から行われる河津町の河津桜まつりは全国から観光客が訪れます。

八重桜

枝が長く垂れ、花も下垂するのが特徴。花弁は15~20個で、楕円形にややねじれていて平開しません。

八重咲きで、花色は濃紅紫色~淡紅紫色へ変化する桜です。

豆桜

富士山近辺やその山麓、箱根近辺に自生する桜の原種。フジザクラ、ハコベザクラと呼ばれることもあり、樹高が大きくならず花も小さいのが特徴です。

開花時期は3月下旬~5月上旬。他の品種とは異なり、花を下に向けて開きます。色は白~薄紅色で花弁は5枚です。

山桜

日本の野生の桜の代表的な品種で、桜の名所として知られる吉野山に咲く桜もまた「山桜」です。

山桜を原種として品種改良された種は兼六園熊谷・新墨染などたくさんあります。花弁は5枚で色は白色、淡紅色で3~4月頃に開花します。

江戸彼岸

桜の原種の1つであり、樹高は約15~25m。花は薄紅色~白色で花弁は5枚です。春の彼岸頃に花を咲かせることから「江戸彼岸」という名前が付きました。

桜の中では非常に寿命が長く、樹齢2000年を超える神代桜(じんだいざくら)、樹齢1500年を超える淡墨桜(うすずみざくら)は国の天然記念物に指定されています。

まとめ

私達にとって一番馴染みのある桜といえば「ソメイヨシノ」です。日本の桜の8割を占めるソメイヨシノは、クローンで出来たという特徴があります。クローンなので、全国的に同じ時期に桜が開花するのです。

またソメイヨシノ以外にも日本には色々な品種があるので、その違いを知るとさらにお花見が楽しくなるかもしれませんね。

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