「カモノハシ」は哺乳類なのに卵を産む!?毒まで持つその生態を解説!

「カモノハシ」という生き物は、謎の多い動物です。
哺乳類の中でも特殊性の高い点が分かっており、卵を産むことや毒がある事が判明しています。
ここでは、この変わった生き物、「カモノハシ」について解説します。

「カモノハシ」とは?

 

カモノハシは、カモノハシ科カモノハシ属に分類される哺乳類の動物です。

オーストラリア固有種

カモノハシは、オーストラリアの固有種です。
特に東部に分布していることが分かっています。

1798年にヨーロッパ人研究者が発見したことで、社会的に知られるようになりました。

標本となる毛皮がグレートブリテン王国(現在のイギリス)に送られたのですが、イギリス人科学者たちの間では、送られてきた標本が模造品だと考えられていたため、観察をじっくりされたという記録は残っていません。
1799年に植物学者や動物学者として知られていたジョージ・ショーは、このカモノハシの毛皮を見て「ビーバーに似た動物の体にカモのくちばしを縫い付けた作り物」と当初は判断したとされてます。
そのため、どこに縫い目があるのかを確かめるために毛皮に切り込みを入れるなんてこともしたのだとか。
しかし、縫い目など継ぎ接ぎした箇所を探り当てるために入れたはずのこの切り込みが、逆に本物であると確信される行為となりました。

最初はビーバーにカモをくちばしをくっつけたものと認識されていたせいか、学名が付けられた際は、属名に鳥と嘴を意味する「Ornithorhynchus」が。
種小名には、「カモに似ている」という意味でanatinusと付けられました。

カモノハシの生態

カモノハシの体長はオスは65cmほど、メスで55cmほどです。
体重はオスが約1kg~3kg、メスで0.7kg~1.8kg前後となっています。

体には柔らかい体毛が生えているのですが、外側の毛は撥水性が高いもの、内側の毛は保水性が高いものという性質の異なる毛が生えています。

カモノハシは熱帯雨林などで多く目撃されるのですが、陸上ではなく水中で生活するために進化してきました。
例えば、水中では目を閉じて泳ぐのですが、生き物が発する微弱な電気を感じ取れるようになっています。
この能力もあって、狩りをするのも上手なのだとか!

雑食性で、昆虫類や甲殻類、貝類の他、魚類や両生類も食します。

水辺に穴を掘り、そこを巣穴にしています。
この巣穴は入り口を水中や土手に設け、水辺の植物などで隠すことで、外から発見する事を防ぐ作りとなっています。

不思議な見た目

カモノハシは、不思議な見た目をしています。
ジョージ・ショーが考えたように、体はビーバーのようでありながら顔にはカモのようなくちばしがあります。
そのため、珍獣としてあげられることも多々あります。

くちばしは幅が広くてゴムのような弾力があり、そこに敏感な神経が密集しています。
くちばしによって獲物から出る生体電流を感知することもできるようになっているのです。

この能力を得ることによって失われたものがあります。
それは歯です。
電気感覚を脳に伝える三叉神経が発達したことで、歯が生えるスペースを失ってしまいが退化してしまったというのです。

手足には大きな水掻きが発達していて、泳ぐのも得意です。
この手足の先には鋭い爪があり、オスの後脚には毒もあるのだとか。
ちなみに、メスは成長の過程この爪が消えてしまいます。

卵を産む哺乳類

 

カモノハシは哺乳類なのですが、卵を産むという変わった特徴があります。
これは、哺乳類としては非常に珍しいものです。

カモノハシとハリモグラだけ

哺乳類で卵を産む生き物は「単孔目」と呼ばれています。
この単孔目の生き物というのは地球上だとかなり珍しく、現在のところカモノハシとハリモグラだけでしか確認されていません。

ちなみにカモノハシはオーストラリア固有種ですが、ハリモグラはインドネシアやパプアニューギニアなどでも姿が見られています。
このことから、オーストラリアだけではなく他の地域にも単孔目の動物の痕跡があると考えられています。

小さな卵を温める

カモノハシが発見されてから卵を育てている姿が確認されるまで、実に100年近くかかったのだとか。
しかし、長年の観察によって2cm以下の小さい卵を産んで、お腹に抱えて温めることが判明しました。

なぜ卵を産むのか?

では、なぜカモノハシやハリモグラなどの単孔目は哺乳類なのに卵を産むのでしょうか?
これは結論を先に言うと、「原始的な哺乳類だから」です!

カモノハシは乳腺を持っていることから哺乳類として考えられているのですが、乳首がないため他の哺乳類のような育児ができません。
乳腺自体はあるので、これらの器官が育児に使われてきたのではないかと考えられています。

哺乳類は、母乳で育つ肺呼吸の生き物のことです。
つまり、卵から生まれてきても胎児としてそのままの姿で生まれてきても、母乳で育ち肺呼吸をする生き物は哺乳類に分類されます。
原始的な哺乳類はすべて卵を産んでいたので、カモノハシもまた哺乳類と分類されることになりました。

環境に合わせて進化したのが人間や犬や猫であり、原始的な姿をしたまま現代まで残った「生きた化石」のような存在がカモノハシやハリモグラというわけです。

カモノハシは日本では見られる?

 

特殊な外見と生態をしたカモノハシ。
日本でその姿を見ることはできるのでしょうか?

日本では見られない

日本の動物園での飼育歴はなく、現在でも日本の動物園では見ることができません。
過去には東京都で開かれる予定だった世界都市博覧会に誘致されたものの、オーストラリア政府の許可が下りませんでした。

特にオーストラリアは動植物の保全に厳しいため、今後も許可が下りる可能性は低いでしょう。
なので、オーストラリアに行かないと生きたカモノハシは見られません。

カモノハシは、日本だと動物園でも見ることができない生き物です。
ヨーロッパ社会に最初に紹介された時、献上された毛皮を見て「ビーバーに似た動物の体にカモのくちばしを縫い付けた作り物」なんて考えられてしまっていました。

くちばしがあり歯がなく、水かきがありオスは毒も持っているし卵を生むという珍しい生態や外見的特徴も多くあります。

関連記事(外部サイト)

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事