カラスは、カタカナで表記されることが多いですが、その漢字表記には「烏」と「鴉」の2種類あります。
しかも、英語表記も2種類あるんですよ。
この2つの漢字にはどんな違いがあるのでしょうか?
今回はそんなカラスの漢字や英語について見ていきましょう。
目次
カラスってこんな鳥
カラスと聞くと、生ゴミをあさったり、うるさい声で鳴いたり、人を襲ったりなど・・・ネガティブなイメージがあるでしょう。
見た目も黒い毛で覆われているため、何となく怖いですよね。
そんな嫌われ者になりがちなカラスの生態をまずは見ていきましょう。
日本にいるのは主に2種類
日本にいるカラスは数種類いますが、私たちがよく見かけるのは「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」の2種類です。
ハシブトガラス
都会部などで見られるカラスの多くは、このハシブトガラスだといわれています。
ゴミを荒らすため嫌われ者のイメージが強いですが、自然の中でも動物の死体などを食べてくれるお掃除屋さんでもあります。
全長は55㎝前後で全身黒色の羽毛で覆われています。
くちばしが太く、額(くちばしの上)が出っ張っていて、くちばしとは段になって見えるのが特徴です。
透き通った「カー」という鳴き声をしています。
日本では小笠原諸島以外の全国に分布していて、海岸、住宅地、市街地、産地、森林などあらゆるところで見られます。
魚、動物の死体、小動物、生ごみなど雑食性で、特に肉食を好みます。
樹上枝を集めておわん型の巣をつくりますが、住宅地ではゴミから見つけた針金ハンガーを巣に使うこともあります。
ハシボソガラス
ハシボソガラスは、ハシブトガラスに比べると小さいカラスです。
全長は約50㎝で全身黒色ですが、近くで見ると青や紫などの光沢をもつ羽になります。
農耕地や田園地帯など郊外に生息することが多く、木の実、草の実、昆虫、動物の死体など何でも食べます。
ハシブトガラスはスズメのようにジャンプして歩くのに対して、ハシボソガラスは交互に脚を出して地面をウォーキングするので地面採食も得意です。
鳴き声は「ガーガー」と濁っており、お辞儀をしているように首を上下させながら鳴きます。
カラスは頭が良いって本当?
カラスはいつどこに餌があるのか把握しており、生ゴミが出る場所や時間なども覚えているそうです。
また、硬い殻で覆われたくるみを食べるために、道路にくるみを置き、車に轢かせてから食べるなんて姿を目撃されています。
カラスの知能は人間の4歳児程度あるともいわれており、世界には自分で道具を作って餌を取るカラスもいます。
カラスの漢字表記
カラスの漢字表記は、「烏」と「鴉」の2種類があります。
この2つの漢字表記は何が違うのでしょうか?
烏は象形文字
「烏」は象形文字です。
象形文字とは、ものの形をかたどって描かれた文字からなる文字体系のことなので、「烏」はカラスの体そのものの形に象られていることになります。
カラスは体全体が黒く、目がどこにあるのか分かりづらいため「鳥」の字の「目」に当たる部分の横棒を一画省いたものとなりました。
鴉は形声文字
「鴉」は形声文字です。
形声文字とは、意味を表す文字と音(読み)を表す文字を組み合わせてできた漢字のことで、「鴉」の「牙(ガ)」の音はカラスの鳴き声を表しています。
「牙(ガ)」は当て字で、カラスの「カーカー」「ガーガー」という独特な鳴き声を、昔の人は「牙(ガ)」という文字で表現しました。
カラスのくちばしには、牙(きば)や歯は無いのに「牙(ガ)」が用いられているのは、鳴き声が由来していたからなのですね。
カラスの英語表記
カラスの英語表記には、「crow」と「raven」の2種類があります。
それぞれの違いは何でしょうか?
crow
「crow(クロウ)」は、カラス属の小型種のことを言います。
日本によくいるハシブトガラスとハシボソガラスは、どちらも「crow」に分類されます。
raven
「raven(レイヴン)」は、カラス属の大型種のことです。
ravenは「大ガラス」と訳されることもあり、ワタリガラス、アメリカガラスなどが「raven」に分類されます。
ワタリガラスはカラスの中で最も大きく、その全長は約60~65㎝、翼開長は約100~150㎝と、ハシブトガラスよりも大柄な体系となっています。
まとめ
カラスの漢字表記は「烏」と「鴉」の2つがありますが、それぞれの漢字がつくられた由来は大きく異なります。
「烏」は象形文字で、体が黒いカラスは目がどこにあるのか分かりづらいため、「鳥」の目を表す一本の横棒を抜いた「烏」となりました。
そして「鴉」の「牙」は、カラスの「ガーガー」という鳴き声から付けられた形声文字です。
また、カラスの英語表記も2種類あり、大きさによって呼び方が変わります。