「ティーカップ」と「コーヒーカップ」はなぜ別物扱いされているの?紅茶とコーヒーの楽しみ方の違いがカップにもあるんです!

コーヒーカップを探しに行った際、ちょっといい感じのカップを見つけたので手を伸ばしたら・・・、ティーカップと書いてあり、コーヒー注いだらダメなのかな?と、首を傾げたことありませんか?

実はティーカップとコーヒーカップと名前が別々になっているのには理由があります。
それぞれ紅茶とコーヒーを飲むのに適した形状となっているのです。

そこでここでは、「ティーカップ」と「コーヒーカップ」がどのような理由から別々のものになっているのかを見ていきましょう。

ティーカップの特徴とその理由

 

ティーカップは背が低く、口が広くなっているのが特徴です。
また、ティーカップは外側だけでなく、内側にも絵や柄が施されていることもあります。

ティーカップの背が低い理由

これらは紅茶の楽しみ方に起因しています。

まず、背が低いという点。
それは紅茶が「水色(すいしょく)」を楽しむ飲み物だからです。

紅茶が赤っぽいか黄色っぽいか、色の濃淡はどうかという水色を楽しむには光が入りやすくする必要があることから、浅く白い器でなくてはいけません。

ティーカップの口が広い理由

 

また、より光が入るように口も広くなっています。

たとえば、湯呑のように背の高い器で紅茶を淹れると器の内側に影ができてしまうので、色を楽しむことができません。
口が広くなっていると、水色を楽しむ以外にも便利な点があります。

それはお湯が冷めやすいというメリットです。
紅茶が沸騰したお湯で淹れますので、すぐに飲むことができません。
そのため少しでも早く冷めるようにする必要があります。

この点を解決するために広い口が役立っています。
口が広いことで紅茶の液面の表面積が増えることで空気に多く触れますので、紅茶が適温になる時間短縮の効果が出ています。

ちなみに、柄が入っているのは紅茶が水色を楽しむ飲み物だからこそです。
水色を楽しめる半透明な紅茶だからこそ、カップの内側に描かれた柄や絵を見ることができます。

昔はソーサーで飲んでいた?

ティーカップの下に敷くソーサーは、現在ではほとんど高さの無い平坦な形状になっていますが、17世紀ごろはもっと深みのあるものだったそうです。
そして、熱湯で作られた紅茶をティーカップからソーサーに移すことで冷ましてから飲んでいたともされています。

現在もこの飲み方、北欧など一部地域に残っているということなので、理にかなった方法なのかもしれません。

コーヒーカップの特徴

 

コーヒーカップは背が高く口が狭いのが特徴です。
ティーカップとは真逆ですね。

コーヒーカップの形状にある2つのメリット

この形状は冷めにくいというメリットがあります。
紅茶より低い温度のお湯で淹れるコーヒーは、飲むために冷やす必要がありません。

また、もう一点メリットがあります。

それはコーヒーの香りが飛ばないようにするためです。
口は狭くなっていた方が香りが逃げず、コーヒー独特の香りを楽しむことが出来るんです。

マグカップは和製英語

 

コーヒーなどを淹れる器に「マグカップ」がありますが、これは和製英語です。

「マグ」も英語で、カップの同意語であることから二重表現となっています。
コーヒーカップよりも大型のものに使われることが多いです。

エスプレッソ用の「デミタス」

 

エスプレッソを淹れる際に使われるコーヒーカップの半分ほどしかない小振りな器を「デミタス」といいます。
「デミ」は半分や小さい、「タス」がカップを意味しますので、まさに名は体を表すという姿をしています。

デミタス誕生にはナポレオンもかかわっていた?

 

このデミタス誕生には、直接ではないにしてもナポレオンが関わっていました。

時は1806年、フランス帝国とその同盟国の支配者として君臨したナポレオン1世は、産業革命もあり発達の一途にあったイギリスの経済活動を封じ込めるためにベルリン勅令ともよばれる大陸封鎖令を出しました。
この命令は失敗をきたし、5年後にナポレオンの没落をまねく引き金となるのですが、当時のヨーロッパ中に悪影響を与えることにもなりました。

フランスの隣国イタリアでは、コーヒー豆の輸入制限がかかったことで、コーヒー豆不足が起りました。
代用コーヒーの登場もありましたが、その中で器を小さくしつつも、深煎りしたコーヒー豆を使うことで満足感を引き出すコーヒーが生まれました。
これがデミタスのはじまりだといわれています。

まとめ

背が低く、口が広いティーカップは、水色を楽しむという紅茶の視覚的味わい方と冷めやすくするためという実利の二面から来た形状です。
それに対して背が高く、口の狭いコーヒーカップは保温性を保ちつつ香りを逃がさないようにするために取られた形状です。

もちろんティーカップでコーヒーを飲んでも、コーヒーカップで紅茶を楽しんでも問題ありませんが、より美味しさを求めるならティーカップには紅茶を、そしてコーヒーカップにはコーヒーと、名前に合わせて淹れた方がいいようです。

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