最近は誤用表現が増えている?「ゴリ押し」の本当の意味と由来

「ゴリ押し」という言葉は私たち日本人に定着してり、現実世界はもちろんインターネット界隈でも頻繁に目にします。
しかし最近の使われ方は、本来の「ゴリ押し」の意味とは違った使われ方、つまり誤用されていることが多いのです。

今回は、そんな「ゴリ押し」という言葉の本当の意味と由来について見ていきましょう。

最近増えている「ゴリ押し」の誤用表現

 

近年頻繁に耳にする「ゴリ押し」という言葉は、かなりの確率で誤用されていたりします。

「ゴリ押し」が使われるシチュエーション①

マスメディアや広告代理店が流行を作るために、特定のコンテンツを取り上げ、偏った情報を視聴者や読者に押しつけるような形で広められている様子を「ゴリ押し」と表現されることがあります。

「ゴリ押し」が使われるシチュエーション②

芸能事務所が売り出したいタレントを猛プッシュしてメディアに露出させていることも、「ゴリ押し」と表現されることがあります。

いずれも誤用表現

近年使われるようになった、過剰な取り上げ方をしたコンテンツや人物に対して揶揄するように使われている「ゴリ押し」は、誤用表現なのです。
これは言葉の新しい用い方ともいえるかもしれませんが、全世代に普及した用いられ方とも言えないので、現状では誤用表現です。

本来の「ゴリ押し」の意味と由来

 

「ゴリ押し」は、現代では誤用が目立ちます。
では、本来はどのような意味で使われるべきで、どのようにして生まれた言葉なのでしょうか?

正しい「ゴリ押し」の意味

正しい「ゴリ押し」の意味は、受け手の意向を無視して、自分の意見を無理矢理に押し通すことです。
会議などで異論があっても、それらの意見を無視して自己主張を通してしまうような振舞いのことをあらわしています。

力ずくで自分の思うように物事を進める、ともいえますね。

ゴリ押しの由来は?

ゴリ押しの「ゴリ」とは、淡水魚であるハゼの仲間のことです。
石の陰に隠れるように潜んでおり、中には吸盤状の腹ビレを使って川底にある石などにへばりついているものもいます。

ゴリの漁獲方法から生まれた「ゴリ押し」

ゴリの捕獲方法は一般的な魚の捕まえ方とは異なります。
板を使って川底を削るようにすることで、石の陰に隠れていたり、へばりついているゴリを力ずくで捕まえていくのです。

この様子から、抵抗があるところを強引に推し進めるという意味で「ゴリ押し」という言葉を使うようになったといわれています。

郷土料理にも使われるゴリ

このように「ゴリ押し」して捕まえるゴリは、各地で郷土料理に使われています。
特に石川県金沢市では「ゴリ料理」と呼ばれ、ゴリの佃煮や唐揚げ、照り焼き、ゴリ汁などが郷土料理として親しまれています。

誤用されがちな他の言葉

 

「ゴリ押し」という言葉だけでなく、実は他にも誤用されがちな言葉がたくさんあります。

なし崩し

物事がうやむやになることを「なし崩し」と言うことがありますが、本来の意味は"物事を少しずつ片付けていくこと"です。
他にも、借りたものを返すといった、物事を解決させるために計画を立てて進めていくという意味もあります。

煮詰まる

状況が進展しなくて立ち往生しているような状況を「煮詰まる」と表現することがありますが、これも本来の意味とは違います。
本来の「煮詰まる」という意味は、完成間近になることを表す言葉です。

結論が出る状態を意味する言葉のため、進展がない状態を指す言葉とはそもそも真逆の意味といえます。
「行き詰まる」と似ていることから、混同されてしまったようです。

おもむろに

「おもむろに」はゆっくりと動き始める様子を指す言葉なのですが、いきなり動き出すという表現で使用されることが多々あります。
この言葉は長らく止まっていたものが徐々に動き出す様子を指すので、むしろ誤用されている状況とは真逆の意味となります。

まとめ

ゴリ押しは、本来は「周りの意向を無視して、自分の意見を押し通す」ことを意味します。
メディアなどにコンテンツや人物が過剰に抜擢されたり特集されていることを指す、というのは誤用表現といえます。

ただし、言葉というのは流動的で時代によって変化していくものです。
そのため、もしかしたら本来の意味から誤用表現へと意味が変化していくこともあるのかもしれません。

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