木の上にぶら下がってのんびりしている姿や、その見た目から癒しを与えてくれるナマケモノ。
動物園の中でも私たちを和ませてくれる人気の動物ですね。
動きがゆっくりで、じっとしているイメージの強いナマケモノですが、まさかの特技があります。
それはなんと、泳ぎが得意なんです!
これはビックリですよね。
今回はそんな個性豊かなナマケモノの生態について見ていきましょう。
目次
ナマケモノとは
木にしがみついてじっと動かないナマケモノを見ると、癒されますよね。
ナマケモノは、哺乳綱異節上目有毛目ナマケモノ亜目の総称で、ミユビナマケモノ科とフタユビナマケモノ科が現生しています。
ナマケモノの大きさや外見
体長は約41cm~74cm、体重は4kg~9kg程度。
丸く短い頭が特徴で、その歯は生涯伸び続けます。
そして首は270℃も回すことができ、四肢は長く、前脚は後脚よりも長く発達していて、鉤爪を持っています。
この鉤爪を木の枝にひっかけることで木にぶら下がって生活します。
ナマケモノの生息地
南アメリカ、中央アメリカなど湿度の高い熱帯雨林に生息しており、生涯のほとんどを木にぶら下がって過ごします。
食事、睡眠、交尾、出産はすべて木にぶら下がったまま行うのです。
ナマケモノの生態
ナマケモノはよく眠り、動かないことで知られていますね。
その他にも、ナマケモノ特有の生態で興味深いものが多いのでご紹介します。
のんびりした動きは、擬態のため
ナマケモノの名前は、そのゆったりした動作から「怠け者」という意味で付けられているのは有名ですね。
ナマケモノが体を動かさずじっとしているのは、実は「擬態」のためなのです!
日中は頭を前脚の間に入れて、枝に張り付くようにして丸くなって眠ります。
この姿は遠目から見ると、樹木の一部のように見え、天敵であるジャガーやピューマなどの捕食者からは発見しにくいのだとか。
つまり、ナマケモノは捕食者から「見つからない」方法として動かないことを選択し、進化してきた生き物なのです。
また、ナマケモノの毛皮は銀灰色で、年齢を重ねると藻が生えることもあるようです。
この生えた藻でさらに樹皮へ擬態できるようになるのです。
そしてまた、ナマケモノは筋肉がなく、体重も4kg~8kg程度と軽いため、高い木のてっぺんにある細い枝でもぶら下がることができます。
ジャガーやピューマに見つかっても細い枝の上までは登ってくることができないため、狙われることがありません。
ナマケモノは食事をしない?
ナマケモノの1日の食事量はわずか8gほど。
このわずかな量を消化するのに16日~30日もかかります。
胃の中にいる微生物によって、食べたものをゆっくりと消化していきます。
ナマケモノは非常に代謝が低く、食べると肝臓の働きが追い付かなくなるため、食事をしない日も多いそうです。
少量の植物摂取で生きていくことができるのは、基礎代謝の低さが関係しているのですね。
ちなみにナマケモノの食事は、主に葉や新芽などの植物を食べます。
自毛に生えた苔を食べることもあるそうです。
ナマケモノは水中だと速い
木の上でゆっくり動くナマケモノですが、水の中にいる場合は動きが数倍速くなります。
しかも、水に浮くこともできるんですよ!
大きくても8kg程度しかないナマケモノの体重のうち、30%は消化されて発酵した植物の葉です。
そのため、体内にはかなり多くのガスが蓄積しており、水中でぷかぷか浮くことができます。
その体はまるで手足のついた大きな風船、といえるのかもしれませんね。
動きすぎが命の危機となるナマケモノ
食事量もほんの極わずかなうえに代謝が低すぎるナマケモノは、運動しすぎると体のエネルギー量が不足してしまい、命を落とすこともあります。
つまり動きすぎが命の危険につながる可能性も・・・。
非常にゆったりとした動きは、ナマケモノにとって生きるために必要不可欠なのです。
ナマケモノの豆知識
ナマケモノの生態は知れば知るほど、面白いですよね。
この項目では、ナマケモノの豆知識をいくつかまとめてみました。
ナマケモノの睡眠時間
ナマケモノ=よく寝る、動かないというイメージが強いでしょう。
実際、ナマケモノは1日15時間~20時間ほど睡眠をとると考えられてきました。
しかし、最近の研究ではそれほど多く眠っていないことが分かってきているのです。
動物園で飼育されているミユビナマケモノの睡眠時間は15時間程度ですが、野生状態で調べたところ、なんと1日平均9時間の睡眠時間だったそうです。
研究者によると、動物園で飼育されるナマケモノはストレスのために睡眠時間が長くなっているのでは?といわれています。
ナマケモノが木から降りる理由はトイレ
ナマケモノはその一生をほとんど木の上で過ごしています。
唯一、木から降りてくるのは「トイレ」のためです。
1週間~3週間に1回ほど、木を降りて排泄します。
これほどまでにトイレの回数が少ないのは、排泄行為がナマケモノにとって命懸けの行為だからです。
ナマケモノの死因の半数は、地上近くでジャガーやピューマなどの捕食者に襲われることなので、できるだけ地上に降りる機会を減らすため、トイレの回数も少ないのです。
まとめ
ナマケモノは一生のほとんどを樹上で過ごし、ほとんど動きません。
これには理由があり、じっと動かないことで捕食者に狙われないように樹と擬態しているためです。
また、動くと過剰なエネルギーを消費してしまうため、命の危機になってしまうことも・・・。
食事量も1回わずか8gなのですが、その量の食べ物を消費するのに半月から1ヶ月近くかかるそうです。
ナマケモノは、動かないでいることが生きるためには絶対に必要なのです