日本には7万5千以上の仏教寺院が存在しており、それらの寺院はいずれかの宗派に属しています。一般的な宗派の数は宗旨13宗、分派56派の意味で「十三宗五十六派」あるといわれています。
そして「総本山」「大本山」などといわれるものは、これらの宗派の中で特定の位置付けをされている"寺院のランク"を呼び分けている名前なのです。
今回は、そんな聞いたことがあるけど意味が分かりにくい「総本山」「大本山」について解説いたします。
目次
元はお寺に使われる用語だった
「本山」とは、数多くの寺院を統括している代表寺院のことであり、日本の仏教の宗派内で特定の位置付けをしています。
現在では比喩的な表現で使われることがありますが、元はお寺に使われる用語なのです。
そこから発展した使い方も
「本山」の中でも、特に「総本山」は一般的な会話で使われることが多いようです。
例えば、バチカン市国のことを「キリスト教の総本山」といったり、「家系ラーメン総本山」や「悪の組織の総本山」などと比喩されることがありますね。
ある集団や流派などの「おおもと」というニュアンスを出したいときに「総本山」が使われるようです。
総本山と大本山の違いは？
どちらも寺院を指す言葉なので、同じ意味合いを持っています。
厳密な違いは、総本山は仏教各宗派の「本山」を取りまとめている最高位の寺院のこと。
そして大本山は総本山の次に位の高い寺院であり、所属の寺院を統括する寺院のことです。
しかし実際は、宗派により「総本山」と「大本山」の明確な意味が違うため、使い方も宗派により違ってきます。
宗派で違う
本山には、「総本山」「大本山」「別格本山」「本山」などありますが、宗派によって位置付けや使われる名称が異なります。
そして派が枝分かれしているなどの理由から、複数の呼び名が混ざる宗派もあります。
総本山と呼ぶ宗派
天台宗、融通念仏宗、時宗、律宗
大本山と呼ぶ宗派
曹洞宗、法相宗、華厳宗、臨済宗、黄檗宗
本山と呼ぶ宗派
浄土真宗
呼び名が混ざる宗派
浄土宗、真言宗、日蓮宗
有名な大本山・総本山
ここからは有名な大本山、総本山の宗派と寺院をご紹介いたします。
総本山延暦寺（えんりゃくじ）
天台宗の総本山。滋賀県大津市にある比叡山全域を境内とする寺院です。
1200年の歴史を持ち、京都の文化財として世界に高い評価を受け、ユネスコ世界文化遺産に登録されています。
金剛峯寺（こんごうぶじ）
和歌山県伊都郡にある高野山真言宗の総本山です。
平安時代のはじめに真言宗の宗祖である空海が開創し、弘法大師によって開かれた日本仏教の聖地です。
永平寺（えいへいじ）
福井県吉田郡にあり、総持寺と並ぶ日本曹洞宗の大本山です。
1244年、道元により修行道場ともいえる永平寺が建てられたといわれています。
總持寺（そうじじ）
神奈川県横浜市にある曹洞宗の大本山。
元は石川県にありましたが、1898年の大火災を機に、もっと交通の便が良い場所へという意見から1911年に現在の場所へ移転したようです。
妙心寺（みょうしんじ）
出典：wikipedia.org（©Tomomarusan）
京都府京都市にある臨済宗大本山。
日本にある約6000の臨済宗の寺院のうち約3500の寺院が妙心寺に属しており、日本で最大規模を誇る禅寺で「西の御所」と呼ばれています。
久遠寺（くおんじ）
日蓮宗の総本山。山梨県南巨摩郡にあり、しだれ桜が有名な寺院です。
鎌倉時代、日蓮聖人が身延山へ入り亡くなる前の9年間を過ごしました。「法華経の聖地」といわれています。
知恩院（ちおんいん）
京都市東山にある浄土宗の総本山です。
法然上人が浄土宗の布教をはじめ、ゆかりの地に建てられました。国宝の三門は日本最大級を誇ります。
西本願寺（にしほんがんじ）
出典：wikipedia.org（©663highland）
京都府京都市にある浄土真宗本願寺派の本山。正式名称は「龍谷山 本願寺」ですが、地元民からは「お西さん」と呼ばれ親しまれています。
鎌倉時代中期に浄土真宗を開いた親鸞聖人を祀るために創建されました。
東大寺（とうだいじ）
奈良県奈良市にある華厳宗の大本山。奈良時代に聖武天皇が皇太子供養のために建立した寺院で、奈良の大仏が有名です。
まとめ
日本には多くの寺院が存在しますが、「大本山」「総本山」は寺院のランクを表す言葉だったんですね。
その呼び名や使い方は宗派により異なりますので、正確に表す場合は確認した方が良さそうです。
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出典：Wikipedia（妙心寺） /Wikipedia（西本願寺）
