イソップ物語に出てくる「アリとキリギリス」。実は最初、夏を楽しく過ごしていたのはキリギリスではなかった!?

イソップ物語の中でも定番の話のひとつ「アリとキリギリス」。
これは夏に遊んで過ごしたキリギリスと夏を苦労して過ごしたアリが、冬がやってきた後どうなったのかを描いた物語となっています。

しかし、実は最初、楽をしていたのはキリギリスではなく他の生き物だったようです。
そこでここでは、そんな「アリとキリギリス」にまつわる雑学をご紹介します。

アリとキリギリス

 

「アリとキリギリス」は、イソップ物語の1つとして世界中で知られている話です。
ただし、その内容が改変されたことで、内容や結末に違いも生じました。

まずは「アリとキリギリス」がどんな物語なのかを見てみましょう!

「アリとキリギリス」のあらすじ

アリたちは夏の間に冬の食料を蓄えるために働き続け、その一方でキリギリスはヴァイオリンを弾いたり歌を歌ったりして過ごしていました。

時は流れ、冬が訪れるとキリギリスがいくら食べ物を探せど見つかりません。
逆に夏にしっかり蓄えたアリたちは、何の問題もなく家の中で過ごすことができていました。

ひもじさに耐えきれずにキリギリスがアリたちに乞い、食べ物を分けてもらおうとするのですが、アリは「夏には歌っていたんだから冬には踊ったらどうだい?」と辛らつな言葉を浴びせ食べ物を分けることを拒否しました。
その結果、キリギリスは食べるものを得ることができず飢えて死んでしまいました。

「遊んでばかりいて将来に備えないと痛い目を見るよ」という教訓が込められた話となっています。

イソップ物語とは

イソップ物語は、古代ギリシアから伝わる動物寓話集です。
イソップという奴隷が作った話だと伝えられていることから、イソップ物語と呼ばれるようになりました。

動物寓話集と呼ばれるだけあって、イソップ物語は動物などの生き物を主人公にしています。
主に動物が持つ習性などを活かして日常おける教訓を説く物語が多いです。

人間の風刺を取り入れたものが多く、日本の昔話と同様に「こういうことをしていたらこうなるぞ」という戒めの意味が込められている物語が多いです。
日本には江戸時代の初めに伝わり、「伊曾保物語」という名前で翻訳され普及しました。

もとは「アリとセミ」だった

 

日本でも童話として定番の「アリとキリギリス」ですが、実は最初登場するのはキリギリスではなくセミだったとされます。
ではなぜセミからキリギリスに変わったのでしょうか。

セミからキリギリスへの改変

古代ギリシアで作られた初期のイソップ物語では、「アリとキリギリス」ではなく実は「アリとセミ」だったと伝えられています。

ギリシャなど地中海沿岸に広く生息しているセミは、古代ギリシャでも多くの文学に取り入れられていた昆虫です。
ただし、アルプス山脈を越えたヨーロッパ北部になるとセミの生息圏外になるためセミが馴染みのない昆虫になってしまいました。

そこでヨーロッパ北部に伝わった際、セミからキリギリスに改変されたと考えられています。
日本で知られているのは、改変後の物語ということになりますね。

バリエーションがいくつかあるアリとキリギリスの結末

 

「アリとキリギリス」の結末は場所や時代によって変化しています。
ここからはその中でもバッドエンドとハッピーエンド、その他のエンディングについていくつかご紹介します!

アリに追い返されるバッドエンド

「夏の間はずっと歌っていたんだから冬の間もずっと踊りなさい」と突っ返されるパターンの物語です。
最後はキリギリスが食べ物を見つけられずに飢えて死ぬという「遊び惚けてはいけない」という教訓を強く前面に出した結末となっています。

「アリとキリギリス」の結末で一番知られているのは、このキリギリスにとってバッドエンドとなるパターンだと思われます。
前述のあらすじもこのパターンで紹介しましたよね。

キリギリスが心を入れ替えるハッピーエンド

「アリとキリギリス」の中でも改変として多いのが、キリギリスが心を入れ替えるというハッピーエンドです。
これはアリがキリギリスに食事を分け与えるパターンとなっています。
それによってキリギリスが生き延びることができ、以後は心を入れ替えるというパターンです。

ただしここから更にアレンジが加えられていることもあります。

代表的なパターンとしてはアリが慈悲の心を持ち食事を与える代わりに説教をするというもの。
他にもキリギリスがヴァイオリンを弾いていたのを実はアリが楽しんでいたというアレンジや食事の代金代わりにキリギリスがヴァイオリンを演奏して終わるというアレンジもあります。

キリギリスが冬を越えられるというエンディングは、原作のイソップ物語には存在していなません。
餓死するのはかわいそうという感情から生まれたり、当時の政治的状況から配慮されて発生したアレンジだとされています。

意地を見せる締めくくり

オリジナルのセミ版では「夏遊んでないで働いて蓄えておけば良かったのに」と言うアリに対して「歌うべき歌は歌い尽くした」と返すものとなっています。
さらにそこから「私の亡骸を食べて生き延びればいい」と言ってセミが意地を見せるエンディングとなります。

まとめ

イソップ物語の1つである「アリとキリギリス」は、将来や未来に備えて準備しなさいという教訓が込められた物語となっています。
しかし、原型では歌を歌って夏を過ごしていたセミがだったという、エンディングも時代によってアレンジされるなど、改変を繰り返されている作品でもあります。

改めてイソップ物語を読むと幼少時代に見えてこなかったものが読み解けるかもしれませんよ!

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