世界の熱帯・亜熱帯に広く分布するグンカンドリは、数ヶ月にも渡り休まず飛び続けられる鳥です。
そして、グンカンドリという名前は勇ましいですが、餌の捕り方はなんだかちょっぴりユーモラス。
ここでは、このグンカンドリの生態について見ていきましょう。
目次
グンカンドリとは
グンカンドリは高い飛翔能力を持っており、途中で地上に降りることなく2ヶ月も飛び続けることができる鳥です。
ここではグンカンドリの特徴を見ていきましょう。
生息地
世界の熱帯・亜熱帯の海洋に広く分布しており、主な分布域は太平洋とインド洋、カリブ海です。
大西洋での分布域は限られています。
大きさ
グンカンドリの中でも最大の大きさを誇るオオグンカンドリは、体長100㎝、体重1.2㎏、翼開長は240㎝にもなります。
大きさの割に非常に体重は軽いのです。
生態
オオグンカドリは赤く、膨らんだ喉袋があります。
この赤い喉袋は、成熟したオスのみが持ちます。
求愛時にはこの赤い喉袋を大きく膨らませてへアピールをメスにするのです。
一方、メスには喉袋がなく、胸が白くなっています。
グンカンドリは成鳥になると全身が黒くなりますが、雛の時代は全く色が異なります。
ご覧のように全体的に真っ白です。
成長するにしたがい、羽まわりから徐々に黒くなっていきます。
残念なことにグンカンドリは、海鳥であるものの羽の撥水性が悪いため、泳ぐことは全くできません。
そのため水面に降りずに、もっぱら洋上を飛び回って過ごしています。
食肉性で、魚類や軟体動物を主に食べます。
オオグンカンドリの尾羽はV字型になっています。
また、細長くかぎ状になっているクチバシは獲物である魚を捕らえるのに適しています。
コロニーを形成し、その中で繁殖を行います。
樹上に巣を作って1回に1個の卵を産み、オスが巣材を集め、メスが卵を温めます。
ヒナは8~11年で成熟し、寿命は20年ほどです。
ずば抜けた継続飛翔能力
グンカンドリは、ずば抜けた飛翔能力を持ちます。
大きな翼による飛翔能力により、なんと数百kmもの距離を飛ぶこともできてしまうんです。
また、上空から降下してくる速度も、鳥類の中では群を抜いて速いとされています。
グンカンドリは、途中で地上に降りることなく2ヶ月以上にわたって飛び続けることができるということも研究結果から明らかになっています。
1日の平均飛行距離は、410kmにもなるんですよ。
数ヶ月も楽々飛び続けられるなんてすごいですよね。
ではなぜそんなにも長い間、飛び続けることができるのでしょうか?
それはグンカンドリが、非常に少ないエネルギー消費量で飛ぶことができるからなんです。
グンカンドリの飛行パターンは「ジェットコースター飛行」と呼ばれています。
ジェットコースター飛行とは、積雲の下にある対流を利用して、羽ばたくことなく大気の流れの中を滑るようにして高度を上げて飛ぶ方法です。
このジェットコースター飛行をすることによって、少ないエネルギーで飛ぶことができ、上昇飛行中には短い周期で数分ずつ睡眠をとっていることも分かっています。
飛びながらにして寝ることもできているのです。
グンカンドリは餌を獲るのが下手!!
グンガンドリは、休みなしに数ヶ月も飛ぶことができるほどの飛翔能力があります。
その反面、餌を捕獲するという行動はとても下手だったりします。
海鳥なのに水が大敵
グンカンドリは、熱帯・亜熱帯の海洋に生息する海鳥です。
海鳥と聞くと、泳ぎが上手というイメージを持っているでしょう。
中には空から海にダイブして魚を捕まえるなんて鳥もいます。
しかし、グンカンドリは海鳥なのに水が大敵で、泳ぎがとっても苦手なんです。
オオグンカンドリの羽毛には油分が少ないため、防水性も撥水性はほとんどありません。
ですから、海鳥であるにも関わらず水面に浮かぶことも、泳ぐこともできません。
オオグンカンドリが海に落ちてしまった場合、ほとんどの場合は溺死してしまうそうです。
カナヅチな海鳥って意外すぎますよね。
最終手段はカツアゲ
グンカンドリの餌となるのは、魚介類やイカなどの小動物です。
採餌の際には水面すれすれを飛んで、小動物を長いくちばしを使ってさらいます。
また、海岸や海鳥の繁殖地に訪れて、鳥の卵やヒナ、ウミガメの子供などをさらって捕食することもあります。
さらに最終手段としてはカツアゲのように餌をとっていくこともあります。
得意の飛行能力を活かしてミズナギドリ類やカツオドリ類などを襲撃してしつこく追いかけまわし、他の鳥が飲み込んでいた獲物を吐き出させて奪い取るのです。
まさにカツアゲですよね。
ただ相手の鳥が、グンカンドリは水が苦手ということを知っている場合には、着水や潜水をして逃げていくので、手出しができずに採餌が失敗するなんてこともあります。
オオグンカンドリの求愛行動
オオグンカンドリの求愛行動は、成熟したオスにある真っ赤な喉袋を使って行います。
オオグンカンドリの喉袋はオスにしかなく、繁殖期になると喉袋が真っ赤になり、風船のように膨らませます。
メスを見たら、膨らんだ赤い喉袋と広げた翼を使って、精一杯のアピールをするのです。
翼を広げた姿は240㎝にもなりますし、風船のように膨らんだ真っ赤な喉袋はかなり目立つので、1度見たら忘れられない求愛行動と言えるでしょう。
グンカンドリ、カッコいい名前の由来
グンカンドリという名前にはいくつかの由来があります。
・全身が「軍艦」のように黒い羽毛で覆われていること
・他の鳥を襲って獲物を横取りすること
・雛や卵を食べてしまうこと
軍艦と言うと黒くて大きいイメージ、怖いイメージ、戦いのイメージなどがあるでしょう。
グンカンドリはまさに軍艦のように黒く、他の鳥を襲って餌を奪っていく、卵やヒナをかっさらって行く・・・など恐ろしいイメージがぴったりです。
まとめ
日本では見ることができないグンカンドリですが、非常に高い飛翔能力を有しています。
しかし、食事となる獲物を採るのが苦手で、時に外の海鳥を襲って分捕るといった強硬策に出ることも。