「鶴の一声」でなぜ物事が決まるの?その由来を解説!

「鶴の一声」とは、意見や利害が対立する多くの人を否応なしに従わせる権威者・権力者の一言を意味します。
ではなぜ「鶴」の一声で物事が決まってしまうのでしょうか?

鶴が実は偉い鳥だから~というわけではありません。
ではなぜかといえば、鶴の鳴き声自体がその由来とされています。

ここでは「鶴の一声」と言われるようになった理由について解説していきますね。

「鶴の一声」とは

「鶴の一声」の意味や使い方、類義語についてまず解説していきます。

「鶴の一声」の意味

「鶴の一声」とは、多くの人の議論や意見を押さえつける、有力者・権威者の一言を意味します。
「鶴の一声」は結論をあっさりと下す権力ある一言であり、反対意見にも有無を言わさず権力者の意見や決断を指す表現です。

大勢の人が議論し合う状況で、長時間かけて説得するというのとは真逆、権力のある人の意見だけでその場を収めてしまう状況で使用されるのが一般的です。

「鶴の一声」の用い方

「鶴の一声」はいったいどのように用いるべきか、その一例を挙げてみますね。

例文1:新商品の開発で社内で意見が分かれていたが、社長の鶴の一声で発売する商品が決定した。

みんなが悩んでいた案件が、社長の一声によって指針が定められたという事です。
よい方向へと進んでいるので、この場合「鶴の一声」は良い意味で使われています。

例文2:長年進めていた社内プロジェクトが、社長の鶴の一声ですべて中止になってしまった。

この例文では、せっかく頑張っていたプロジェクトが、社長の一存で打ち切られてしまうという悪い意味で「鶴の一声」が使用されています。

いい意味でも悪い意味でも使う

例文からも分かるように「鶴の一声」は良い意味でも、悪い意味でも用いられる言葉です。
ポジティブな要素だけでなく、ネガティブな使い方もされますので、「鶴の一声」が使われた際はどちらの意味で使われたのか考えるといい状況かよろしくない状態か、かも分かるという事ですね。

「鶴の一声」の類義語

「鶴の一声」と同じ意味の言葉、つまり類義語をご紹介します。

天の声

「天の声」は「天が人に与える声」を意味します。
そこから「権力者の意見」「強い影響力を持つものの言葉」という意味でも用いられます。

百星(ひゃくせい)の明(めい)は一月(いちげつ)の光に如かず

これは「星の光をたくさん集めたとしても1つの月の光には及ばない」という意味です。
つまり世の中の凡人をいくら集めたとしても、1人の賢者には遠く及ばないという意味があります。

「鶴の一声」の対義語

鶴の一声の対義語は「雀の千声」という言葉です。
この言葉は、あまり耳にすることのない言葉だと思います。

そもそも「鶴の一声」は単体で使われることが多いですが、本来は「雀の千声鶴の一声」で一語でした。

「鶴の一声」は「優れたものの一言が重い」ことを比喩した表現となっています。
それに対し、「雀の千声」というのは、「平凡なものによるたくさんの発言」のことを指します。

つまり、「凡人がアイディアなどを列挙して発言するより、優秀な人のひとつの発言の方が価値があり重みがある」という事です。

「鶴の一声」で物事が決まることはあっても、「雀の千声」で物事が決まることは無いのであまり使われることは無いかもしれませんね。
なにせ「雀の千声」から出てきたもので決まることはあっても、その際は議論が重ねられるため、即決されることはありませんから。

「鶴の一声」はなぜ「鶴」?

「鶴の一声」は大勢で議論している時に、否応なしに全員の意見を従わせてしまうような権力者の一言を意味します。
ではなぜ「鶴」の声なのでしょうか?

鶴の鳴き声って知っていますか?

皆さんは鶴の鳴き声を聞いたことがありますか?
飛来地でもない限り、昔話や映像でしか姿を見たことが無いという人が多いと思いますので、こちらの動画をまずはご覧ください。

動画はこちら

優雅な姿とギャップを感じさせるとても大きく、甲高い鳴き声をしています。

実際の鶴の鳴き声が慣用句になった?

この甲高く大きな鳴き声は、他の鳥の鳴き声を圧倒するほど響き渡ります。
この様子から「鶴の一声」が他の人を黙らせる「権力者の声」という意味で使われるようになったという説があります。

ではなぜ鶴の声は大きいのでしょうか?
その理由は鶴の発声器官に秘密があります。

鶴の首はとても長く、鳴管と呼ばれる発声器官が他の鳥よりも発達しています。
そのため金管楽器のように大きな音を響かせることができるのです。

鳴き声に関する豆知識

鶴の鳴き声は本当に迫力があって驚きますよね。ここからは他の動物の鳴き声に関する豆知識をご紹介しますね。

コアラの意外な鳴き声

コアラはそのかわいらしい容姿と木にしがみついた様子から人気がある動物ですよね。
ところがこのコアラ、鳴き声は見た目とは想像もつかず、不思議な鳴き声をしています。

どんな声か気になりますよね。
では早速見てみましょう。

動画はこちら

まるで怪獣の叫びのようです。
この鳴き声は繁殖期に聞かれることが多いことから、コアラが縄張りへの侵入者に警告の意味で鳴いているとも、異性を引き寄せる意ために鳴いているともいわれています。

キリンの鳴き声はあの動物にそっくり

動物界きっての首が長い「キリン」。
黄色い体に茶色い斑点をしたその姿は多くの人から愛されています。

このキリンもまた、意外な鳴き声をした動物で、あの動物とそっくりな鳴き声をしています。

動画はこちら

「ボエー」とも「モー」と聞こえまよね。
そうです、キリンの鳴き声はまさかの牛の鳴き声なんです!

「仏法僧」と鳴くのは「ブッポウソウ」ではない

ブッポウソウという鳥は、仏教で最も大切なもの三宝と呼ばれる「仏法僧」と唱える鳥としてその名前がつきました。

ところが実際にはブッポウソウは「仏法僧」とは鳴きません。「ブッポウソウ」という鳴き声の持ち主は、フクロウの一種でコノハズクという名の別の鳥でした。
この間違いは、ブッポウソウもコノハズクも生息地が同じであること、山中を住処としていたため鳴く姿を直接見るのが難しかったことなどが理由としてあげられています。

また、ブッポウソウはその体が翡翠色と非常に美しい鳥です。
この姿から、「仏法僧」というありがたい言葉を唱える鳥なのではなかろうかと勘違いされたとされています。

まとめ

「鶴の一声」は多くの人の議論や意見を押さえつける力のある権力者の一言を意味します。
鶴の鳴き声が大きすぎることが「鶴の一声」の由来になっています。

鶴の一声や良い意味でも悪い意味でも用いられているため、様々な場面で聞かれる言葉です。
実際に鶴の鳴き声を聞いてみると、本当に驚きますよね。

「鶴の一声」の語源の由来になったのも納得です。

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出典:YouTube(Trying To Save The Red Crowned Cranes Of Japan | Wild Japan | BBC)/ YouTube(【東山動植物園公式】 コアラの鳴き声)/ YouTube(【東山動植物園公式】キリンの鳴き声)

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