【おっとり刀】おっとりなのに、意味は「急いで駆けつける」とギャップのある言葉となっている理由

みなさんは「おっとり刀」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
おっとりという言葉が入っているので、さぞゆっくりとした動作にかかわる言葉なんだろうなと思っている人もいるかもしれません!

しかし、このおっとり刀という言葉は、急いで駆けつけるという真逆の意味を持っています。

そこでここでは、おっとりという単語が付いているのに、なぜ真逆の意味を持つようになったのか、その理由をみなさんにご紹介します!

「おっとり刀」とは

そもそも「おっとり刀」とはどのような意味なのかから見ていきましょう。

「おっとり刀」の意味

「おっとり刀」とは、準備をする間もなく、慌ただしく駆けつけること。またはその様子を指します。
何の用意もできていないけれども、とりあえず目的地に向かう際に使われる言葉です。

「おっとり刀」の類義語

おっとり刀と同様の意味を持つ言葉、つまり類義語をご紹介します。

取る物も取り敢えず

「おっとり刀」に一番近い類義語と言っても過言ではないのが「取る物も取り敢えず」という言葉です。

これは十分な支度をする時間もないほど急いでいる様子を意味します。
ポイントとなるのは準備ができていないにも関わらず、とりあえず持てる物を持って飛び出すという点となります。

息せき切る

「おっとり刀」の類義語としては「息せき切る」という言葉もあります。
これは息を切らしてしまうほど酷く急ぐ様子を指しており、とにもかくにも現場に駆け付けようとがむしゃらになっている様子を意味します。

おっとり刀も何か緊急事態があり、そこに向かって飛び出す様子を表現する言葉なので、こちらも類義語として覚えておきたいですね。

バタバタして

「おっとり刀」をよりわかりやすく表現するなら「バタバタして」というのがしっくりくるかもしれませんね。
これは状況がこんがらがっていてパニックになっている様子を指し、おっとり刀のように荷物もほとんど持たずに手に持てる物だけ持って出るというニュアンスで使うことができます。

おっとりとの違い

「おっとり刀」にはおっとりという言葉が入っているから、ゆっくりやのんびりといった様子を思い浮かばれることもあります。
しかし前述のように、あわただしい様子を指す言葉ですので、おっとりとは真逆な様子をあらわします。

そこで、ここからはおっとり刀の由来と併せて、おっとりとの違いについて解説します。

「おっとり刀」の漢字表記は「押っ取り刀」

「おっとり刀」とは武士が刀を腰に差さずに手に取って飛び出したという様子に由来しています。
そのため漢字表記は「押っ取り刀」となります。

「急いで手に取る」「勢いよく掴み取る」という意味を持つ「押っ取る」が原型だとされています。

これは「押して取る」という意味ではありません。
ここでの「押す」とは、動詞に付くことで強調する意味で使われています。
同様の表現は「おっぱじめる」や「おったまげる」で使われていますね。

取るを強調することで、勢いよく刀をつかみ取る様や急いで刀を握る様子をあらわす言葉となっています。

現代では刀を帯刀する文化が失われてしまいました。
そのため、刀ではなく貴重品などを持たずに家を飛び出すような表現の際に用いられる言葉となっています。

おっとりとは

現代人が使うおっとりという言葉は、むしろ真逆の意味を持ちます。
主に人柄や仕草や態度などが落ち着いていて、せこせこしていない様子を指す言葉です。

その他、日差しなどが暖かく穏やかに感じられる様子も意味することがあるなど、至急や急遽という意味とは真逆の意味を持つ言葉のように感じられますね。

勘違いされやすい言葉

「おっとり刀」のように本来の意味と勘違いされている日本語は他にもあります。
ここからは、そのよな漢字害されやすい日本語をいくつかご紹介します。

「おもむろに」

「おもむろに」は「いきなり」という意味だと思われることも多い言葉です。
しかし本来は「ゆっくりと動く」というような意味を持つ言葉です。

「すべからく」

「すべからく」は「すべて」という意味を持つと思われがちです。
ところが実際は「なすべきこと」という意味があります。

「なし崩し」

「なし崩し」は「なあなあにする」というような意味ではありません。
「徐々に物事が進んでいくこと」を指す言葉です。

まとめ

おっとり刀は、「おっとり」とあることからのんびりゆったりした様子をあらわしていると勘違いされる言葉です。
実際の意味は真逆で、「急いで駆けつける」ことをあらわしています。

おっとり刀に関して有名な逸話があるのが、赤穂浪士の敵討ちで有名な「堀部安兵衛」の講談です。

安兵衛が酒を飲みに留守中の事、安兵衛と親しくしていた人物が訪れましたが留守なので手紙を残して帰っていきました。

翌日、安兵衛は帰宅して、その残された手紙を読むと「すわ一大事」と声を上げます。
その手紙には決闘に挑むこと、今生の別れになるかもしれない旨が書かれていました。

しかもその決闘まで時間が無いことも分かりました。
この手紙を読んだ安兵衛、おっとり刀で決闘の場である高田馬場へと向かい、無事に助太刀として参加。
18人斬りをなしてその名を江戸中で広めたのです。

「高田馬場の決闘」としてこの講談は江戸で人気となり広まり、堀部家へ婿養子に入るきっかけとなったともいわれています。
ちなみに実際のところとしては、安兵衛は決闘まで同行していたのでおっとり刀で向かっていませんし、18人斬りではなく打ち倒したのは3人ともいわれています。

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