「トルコ石」とは言うけれど、実はトルコでは採れません!ではどういう意味から付いた名前なの?!

トルコ石という名前からして「トルコで採れる石」だと思われるかもしれませんが・・・、その主要な産地はトルコではありません。

では、どの国で採れる石なのか知りたくなりますよね。
ここではそんなトルコ石がどういうもので、なぜトルコで採られているわけではないのにトルコ石なんて名前がついているのかを見ていきましょう。

古くから愛される宝石「トルコ石」

 

トルコ石は、遥か昔から宝石として愛されていました。
その歴史はなんと、世界最古といわれる四大文明の時代にまでさかのぼります。

宝石としての歴史は古い

トルコ石の宝石としての歴史は古く、四大文明のひとつ古代エジプト王朝では支配階級の装飾品にも使われていたとされます。
また、エジプトの神々、オシリスとイシスに捧げられていた石でもあります。

また、同じく四大文明に数えられるメソポタミア文明の遺跡からもトルコ石のビーズが発見されています。
このように装飾品などが発掘されていることから、遥か昔からトルコ石が宝石として扱われていたことがわかっています。

トルコ石は落馬を防ぐ?

トルコ石は、落馬を防ぐお守りとしての役割もあったそうです。
13世紀の十字軍の時代、トルコ石は落馬事故から身を守る護符として、主に男性から人気を博していたとされています。
また、17世紀の医学者アンセルムス・デ・ブートも「父から贈られたトルコ石のおかげで落馬事故から命を救われた」と書き残しています。

トルコ石は12月の誕生石

トルコ石は、12月の誕生石でもあります。
誕生石というのは1958年に全国宝石卸商協同組合が定めたものです。

ちなみに、この全国宝石卸商協同組合は石言葉も定めているのですが、トルコ石には「成功」という石言葉が定められています。

トルコ石の産地はトルコではない!

 

トルコ石、その名前からしてトルコが主な産出地のような名前ですが、そんなことはありません。
むしろ、トルコ石は算出されない地域になります。

ではどこが主要な産地なのか、なぜトルコで採れないのにトルコ石というのでしょうか。

トルコ石の産地

トルコ石の産出地としてあげられる地は3ヶ所あります。

ひとつはイランです。
かつてペルシャと呼ばれたことの地域は、2000年にわたり上質なトルコ石の採掘場所とされています。

2つ目はエジプトにある、アフリカ大陸とアラビア半島をつなげるシナイ半島です。
かつてエジプトの支配者たちが装飾品としていたトルコ石はこの地で採れたものとされています。
しかし、現在は採算がとれる量は採掘されないそうです。

そしてもうひとつは北アメリカ大陸です。
アリゾナ州をはじめとした南西部は、アメリカにおけるトルコ石の採掘場所となっています。
ニューメキシコ州の採掘場所は、ティファニーが所有していたことで知られています。

この3ヶ所がトルコ石が獲れる場所ですが、トルコは入っていません。
では産地ではないのになぜ、トルコ石と呼ばれているのでしょうか?

トルコ石と呼ばれる理由

13世紀まで、トルコ石は美しい石を意味する「カレース」といった名前が付けられていました。
このカレースを、十字軍の時代にトルコ商人たちがフランスなどヨーロッパの国々に持ち込みました。

フランスに渡ったトルコ石は、持ち込んだ商人がトルコ人だったことから「pierre turquoise(トルコの石)」と呼ばれました。
これが「トルコ石」という名前の由来とされています。

別名は「ターコイズ」

トルコ石には「ターコイズ」という別名があります。
これは、英単語の「turquoise」から来ています。

この英単語「turquoise」もまた、フランス語の「pierre turquoise」を語源としています。
呼び方を変えているようで、実はどちらも「トルコの石」を意味していたのです。

アメリカでも古くから愛されるトルコ石

 

トルコ石は、エジプトやイラン、ヨーロッパだけではありません。
アメリカでも長らく愛されている宝石です。

アステカ文明の儀式で用いられたトルコ石

かつて中南米大陸を席巻したアステカ文明でも、トルコ石を貴い石として愛していたことがわかっています。
黄金よりも価値を重んじ、儀式などにも用いていたともされます。

アステカ人は仮面やナイフ、楯のような人を刺激するためのモザイク装飾に金や水晶、クジャク石、黒玉、硬玉、珊瑚および貝殻と一緒にトルコ石を象眼していました。
アステカ文明を支えたアステカ帝国が崩壊した後も、この地に住む人々によってトルコ石はお守りとして愛され続けてきました。

アメリカ先住民族にとって神聖な石とされたトルコ石

アステカ文化だけではありません、アメリカ先住民族にとってもトルコ石は大事な物でした。
トルコ石の緑がかった鮮やかな青を、「地球をとりまく美しい空」と形容し、神の石とされていました。

トルコ石は、天や神の力が宿った聖なる石として崇められ、神の声を聞く儀式や雨乞いの儀式などにも用いられたとされます。
そこから、父から息子へと代々受け継がれるものとなりました。
現代でも代々トルコ石を受け継いでいる家系があるほどです。
この伝承から、トルコ石は「人から贈られることで、さらに神秘なる力を発揮し、持ち主を護る」とされています。

トルコ石が放つターコイズブルーの色彩は、乾いた大地を潤す水を象徴しており、古くから心に潤いをもたらしてくれる存在だったようです。

まとめ

トルコ石は、その名とは異なりトルコでは算出さえていません。
イランなどが主要な産地となっています。

トルコ石という名前は、ヨーロッパにトルコ石を持ち込んだトルコ商人が由来となっているようです。

四大文明といわれる古い時代から今日まで、非常に長い時間をトルコ石は宝石として重宝されています。

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