「ノリがいい」のノリには、平・中・大とバリエーションがあるって知ってる?

盛り上がっているときに一緒に盛り上がることを「ノリがいい」などと言ったりしまよね。
このノリ、元になった言葉には平・中・大といったバリエーションがあります。

語源となったのは、日本の伝統芸能「能」に関する用語です。
そこでここでは、ノリがいいという言葉などで用いられる「ノリ」が、どういう意味の言葉なのかを見ていきましょう。

「ノリがいい」は人か音楽かで意味が変わる

 

「ノリがいい」という言葉自体は、何を対象とするかで変わります。
その対象が人なのか音楽なのか、まずはその対象ごとに意味を見ていきましょう!

「ノリがいい」人

「ノリがいい」人とは、盛り上がっている場の雰囲気にうまく順応して自身も盛り上がっている人を指します。
その場に合わせて一緒にハイテンションになっている様子を表す表現として、しばしば「ノリがいい」が使われます。

例えば、みんなが集まった場でゲームなど催しするにあたって、一緒に盛り上がれる人のことを「ノリがいい人」と表現します。
逆にあまり盛り上がれない人のことを「ノリが悪い人」と表現します。

また、「ノリがいい人」は、明るく笑顔で元気に会話する人をあらわすこともできます。
提案に積極的に同意するなど、社交性が高い人を指して用いられることも多いですね。

「ノリがいい」音楽

「ノリがいい」音楽は、リズム感がよく気分を高揚させるという音楽を意味しています。
踊り出したくなる気分を意味する際に用いられることもあります。
ノリノリという表現もされますね。

バラードなどの音楽よりも、アップテンポな音楽を指す場合に「ノリがいい」と表現されることが多いです。

「ノリ」は能に由来のある言葉

 

では「ノリがいい」の「ノリ」とはどこから来たのでしょうか?
この言葉は、日本伝統文化の「能」から来たとされています。

能における「ノリ」

「ノリがいい」などで用いられる「ノリ」とは、能において演技全般でのテンポやリズムをあらわす用語です。
漢字では「乗」と表記するもので、この言葉を使って「ノリが良い(悪い)」「ノリを良く(抑えて)」などと表現されます。

ノリにはバリエーションがある

能での「ノリ」には、バリエーションがあります。
能では、テンポやリズムを刻む際に拍子に合わせて歌うことを「謡」という表現をします。

この謡では、それぞれの拍子ごとに「平ノリ」「中ノリ」「大ノリ」の3種のバリエーションが使われています。
それだけではなく、合わない謡にも「サシノリ」「詠ノリ」などのノリがあります。

例えば、拍子に合わない謡から拍子に合う謡に移行することを「ノル」といい、この逆を「ノリをハズス」などと表現します。
そこから、現代でも「ノリ」という言葉がテンポやリズムを指すようになり、次第に音楽だけではなく人にも使われるようになったとされています。

なお、以下で主な3種類のノリに解説します。

平ノリ

「平ノリ」とは、謡の拍子型の1つです。
1句8個の拍子を謡の七五調1句12音節に分配して謡うものとされています。
この「平ノリ」は拍子に合う謡の中で、最も一般的に採用されている拍子型とされています。

中ノリ

「中ノリ」も謡の拍子型の1つで、八八調の16文字を8拍に割りつけて謡うものです。
活動的なリズムのため、武士の霊が修羅の苦しみを述べる修羅能の終曲部分や、鬼神などが威勢を示す場面などで謡われることが多いとされています。
その用いられ方などから「修羅ノリ」や「半ノリ」と呼ばれることもあります。

大ノリ

「大ノリ」は謡の拍子型の1つで、四四調の8文字を8拍に割りつけて謡うものとされています。
能では、1文字目は2拍から始まることが多いです。
しかし「大ノリ」の場合、文字数の増減や節の有無などによって謡い出しの間が変わったり、謡を詰めて謡う「ハシリ」や「引き」が入ったりするのが特徴です。
ノリのいいウキウキとした謡い方をすることが多いのが特徴となっています。

同じく「ノリ」を使った「ノリに乗ってる」

 

ノリを含む言葉として「ノリに乗っている」という言葉もありますよね。
この言葉には、どのような意味があるのでしょうか?

「ノリに乗ってる」の意味

「ノリに乗っている」は、大変調子が良く、勢いづいている様子を表しています。
ノリノリな状態やイケイケな状態という表現もされる状態です。

「ノリに乗ってる」の類義語

そ「ノリに乗っている」の類義語としては、「調子づく」や「調子が上がる」や「絶好調になる」など、好調子な様子をあらわす言葉があります。
その他には、「ハッスルする」「張り切る」「気持ちが乗る」「その気になる」「気合が入る」といった表現もあります。

まとめ

「ノリがいい」のノリはもともと能の用語でした。
能におけるノリでは、平・中・大などのバリエーションがあります。
これは、謡という表現ごとに用いられ方が変わってきます。

現代では、周りに合わせて盛り上がれる人や、ハイテンポで踊りたくなるような音楽に用いられることが多い言葉となっています。

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