経験則から判断する手法を「ヒューリスティック」と言います。
これはビジネス用語としても使用される言葉です。
今回はそんな「ヒューリスティック」の意味だけでなく「アルゴリズム」や「認知バイアス」との違いもまとめます。
目次
「ヒューリスティック」とは
まずは「ヒューリスティック」の意味を見てみましょう。
「ヒューリスティック」の意味
「ヒューリスティック」は最適解を見つけ出すための発見方法のことを言います。
先入観などから「これが正しい」と判断する方法を意味します。
特に「必ずしも正しい」とは限らないものの「おおむね正しい」という直感的な思考方法のことを意味する言葉です。
そのため、この言葉は時に「発見的手法」と呼ばれます。
例えば、人間は髪型や服装などの容姿から相手のおおよその性格や職業を判断できる場合があります。
そうした経験則を含めた判断手法のことを「ヒューリスティック」と呼ぶわけです。
要は自分が体験したことなどから直感的に判断することを意味する言葉となります。
類義語は「経験則」
「ヒューリスティック」の類義語は「経験則」となります。
「経験則」とは実際の経験から導き出される法則のことです。
例えば、信号が青のうちに渡りきれるかどうかは歩数や速度などから計算しなくても普段の経験からある程度判断できます。
むしろいちいち「赤に変わるまで残り何秒」という風に考えて渡る人はあまりいません。
ほとんどは今までの「経験則」からおおよその時間を計算して渡る人が大半です。
そうした自身の経験に則った判断基準に従うのも立派な「ヒューリスティック」と言えるでしょう。
「アルゴリズム」や「認知バイアス」との違い
「ヒューリスティック」と似た言葉に「アルゴリズム」や「認知バイアス」というものがあります。
ただ、こうした言葉は似ているようで微妙に異なります。
ここからはその相違点について見ていきましょう。
「アルゴリズム」とは
「アルゴリズム」とは計算で問題を解決する方法のことです。
例えば、パソコンやスマホなどに見られるのが特徴となります。
パソコンやスマホなどに搭載されているコンピュータには膨大なデータがプログラムされており的確な正解を算出可能です。
この一種のパターン化された回答への算出方法が「アルゴリズム」となります。
対して「ヒューリスティック」は正解には近いものの明確な答えのないものを導き出す際にも活用されます。
そのため、両者は似ているようでニュアンスが異なると言えるでしょう。
「認知バイアス」とは
「認知バイアス」とは特定の情報から判断する方法のことです。
例えば、人間は赤いものを見ただけで直感的に「辛そう」「熱そう」と判断する傾向にあります。
これは赤という色から炎や火を連想していることによるものと言えるでしょう。
そうした一種の偏りによって判断するのが「認知バイアス」となります。
対して「ヒューリスティック」は正解に近い答えを導き出すことを言う言葉です。
そのため、根本的に両者は意味合いが異なると言えます。
主な「ヒューリスティック」
ここからは主な「ヒューリスティック」を見てみましょう。
代表性ヒューリスティック
「代表性ヒューリスティック」は確率や割合に頼った判断方法のことです。
これは「サイコロですべて同じ数字になる確率は低い」「バレーボール選手は高身長の割合が多い」というような無意識の判断を意味します。
ただ、必ずしもそうであるとは言えないので注意しましょう。
利用可能性ヒューリスティック
「利用可能性ヒューリスティック」は利用の経験に頼った判断方法のことです。
これは「忙しい時間帯に買い物をする際はいつも使用しているものを手に取ってしまう」というような無意識の判断を意味します。
現に素早い判断が求められる際は経験に頼ることもしばしばです。
シミュレーションヒューリスティック
「シミュレーションヒューリスティック」は自分がやってきた実績や培ってきた経験に頼った判断方法のことです。
これは「人生は何とかなるようにできている」「今まで成功した試しがないから今回も失敗する」というような無意識の判断を意味します。
人は自身の成功体験・失敗体験のいずれかによって推察される結果がネガティブなものかポジティブなものか変わってしまいます。
今まで成功してきた人はポジティブな判断、逆に失敗してきた人はネガティブな判断をしてしまう傾向にあるのです。
そうした実体験に基づく判断を「シミュレーションヒューリスティック」と表現します。
まとめ
「ヒューリスティック」はビジネス用語としてだけでなく様々な現場で使用される言葉となりつつあります。
これは最適解を見つけ出すための判断方法を意味します。
特に実体験などに基づいて「おおよそ正解だろう」と判断することを意味する言葉です。
日常生活でも活用できる言葉なので、ぜひ覚えておきましょう。