
かつて子どもたちの笑顔と歓声で賑わっていた遊園地。
家族や友人と過ごした思い出の詰まった場所が、今では人けもなく、静まり返った廃墟となっている──そんな“夢の跡地”が全国各地に存在します。
時代の流れとともに役目を終えた遊園地たちは、今もその面影を残しながら、静かに朽ちていく姿をさらしています。
この記事では、廃墟となった日本の遊園地の中から、特に有名で印象的な5つのスポットを紹介します。
かつての賑わいを思い出しながら、都市伝説的な噂や現地の今についても触れていきます。
目次
① 化女沼レジャーランド(宮城県)
1979年に宮城県大崎市に開園した化女沼レジャーランドは、化女沼ダムのほとりに広がる自然と調和したレジャー施設として、多くの家族連れやカップルに親しまれていました。
園内にはメリーゴーランドやジェットコースター、観覧車などの定番アトラクションのほか、宿泊施設や温泉設備も併設されており、1日中遊べる“総合レジャーパーク”として地域に根付いていました。
しかし、1990年代後半の不況やレジャー志向の変化により、来園者数が減少。
2001年に閉園し、その後は誰にも使われることなく、静かに朽ちていく姿をさらしています。
現在では錆びついた遊具や、風雨に晒されたアトラクションが廃墟ファンに注目されており、“宮城県最恐の心霊スポット”と語られることも。
かつての賑わいがそのまま時を止めたように残されている光景は、どこか哀愁とロマンを感じさせます。
② グリュック王国(北海道)
1989 年に帯広市で開園しましたが、道内競合施設の台頭やアクセスの悪さで客足が遠のき、2007 年に正式閉園(営業休止は 2003 年)となりました。
ドイツの街並みを再現したテーマパーク型遊園地でレンガ造りの建物や石畳、洋風の塔などが立ち並び、異国情緒あふれる観光地として一世を風靡しました。
開園当初は観光客でにぎわいましたが、道内の競合施設の台頭やアクセスの悪さなどが影響し、徐々に客足が遠のいていきました。
年に閉園。その後、施設の一部はドラマや映画のロケ地としても活用されたものの、現在はほぼ完全な廃墟状態となっています。
その美しい外観の名残と荒れ果てた雰囲気の対比が、訪れる人に独特のノスタルジーを与えています。
③ 奈良ドリームランド(奈良県)
かつて「日本のディズニーランド」とも呼ばれた奈良ドリームランド。
1961年に開園し、巨大な城やパレード、コースターなど本家を彷彿とさせる演出で話題となりました。
最盛期にはピーク時 (1964 年度)=約164万人を集客したといわれます。
しかし、1983年の東京ディズニーランド開園を境に、客足は急減。運営母体の経営悪化で客離れが進み、2002 年2 月17 日 に閉園2006年に閉園。
園内の建物やアトラクションはしばらくそのまま残され、廃墟マニアの間では“聖地”のような存在となっていました。
2017年に解体されて現在は更地となっていますが、その名残はネット上や写真集の中で今も語り継がれています。
④ 横浜ドリームランド(神奈川県)
東京近郊の一大レジャー施設として1964年に誕生した横浜ドリームランド。
大型プールや観覧車、ローラーコースターに加え、ホテルやスケート場なども併設された複合型施設でした。
しかし運営母体の経営悪化や施設の老朽化が進み、1990年代には来場者が激減。2002 年2 月17 日閉園となりました。
その後、敷地は教育施設などに転用され、遊園地の姿はほぼ完全に失われています。
とはいえ、一部の建造物がしばらく残っていたことで都市伝説的な“取り残された施設”として噂されることもありました。
⑤ 生駒山上遊園地(大阪府)※部分的に現存
大阪府と奈良県の県境・標高642 mの山頂に広がる 生駒山上遊園地 は、1929 年開園の現存最古級レトロパークです。近鉄グループが今も毎年 3 月中旬〜11 月下旬(冬期は休園)に通常営業を続けており、公式キャッチコピーは 「のりものと景色の遊園地」。大阪平野と生駒の山並みを一望する展望と、20 種類前後の小型アトラクションがファミリー層に支持されています。
一方、園内には安全基準や集客動向の変化で 営業を終了した遊具跡 が点在します。
かつて人気だった大型コースターや観覧車は 2010 年代までに撤去されましたが、基礎や乗降ステーションの躯体が一部残存。フェンスで囲われた休止区画は立入禁止のまま風雨にさらされており、現役エリアのすぐ隣で時間が止まったような光景が覗けます。
こうした “動と静” のコントラストから、SNS では 「生きた廃墟」 と呼ばれることも。
純粋な廃墟ではないものの、昭和レトロな現役遊園地の背後に朽ちゆく設備が影を落とす——その独特のノスタルジーが、いまも訪問者を惹きつける最大の魅力になっています。
おわりに
夢と希望に満ちた時間を提供していた遊園地たちも、時代の変化や経済的な理由により、その役目を終えることがあります。
しかし、訪れた人々の記憶の中では今も色鮮やかに残り続けており、廃墟となった今でも新たな価値を生み出しています。
かつての賑わいと静寂の対比、廃墟が語る物語を通して、もう一度“夢の跡地”に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?