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事故の瞬間など、危険を感じた時に物事がスローモーションで見えた…。実際にそのような体験を人から聞かされたり、もしくは自分自身がそのような体験をしたことはありませんか?
とある実験により、その“スローモーションに見える現象”の仕組みが解明されて話題となっています。
まさに!
この感覚は実感があった。
高いところから足を滑らせて落ちたときだ。
あっ!っという間に1秒程度で落ちたはずが、心と頭の中ではあ~~~~っ!って感じ。
逆に、高校時代柔道で絞め技で落とされたとき。... https://t.co/00f72N7cGJ— サンシャインクリーニング (@sunclcom) 2016年5月30日
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この現象が実際に生じることを確認したのは、千葉大学文学部認知心理学研究室の一川誠教授と同学部卒業生の小林美沙さん。一川教授によると、この現象は交通事故で数多く報告されているといい、「今後、事故が起こりそうな時に警告などを出せるようになれば、被害が少なくなるかもしれない」と研究成果の応用に期待しているそうです。
実験には同大学生の男女16人が参加
この現象に関するこれまでの研究では、バンジージャンプで恐怖を感じた時の感情が、時間を長く感じることに影響するかが調査されていたそうですが、アトラクション的要素から楽しさが加わってしまい難しかったといいます。
そこで一川教授は、刃物や拳銃を突き付けられたり、人が燃えているといった、恐怖と不快を感じるカラー画像を使用し(楽しさを排除)、画像観察で引き起こされた感情や印象の強度と、時間精度や感じられる時間の長さとの関係を調べたそうです。
【視覚の時間精度を測る実験】
画像を1秒間見せた後、100分の1~100分の6秒の範囲で画像をモノクロに切り替える→学生がキーボードを押すことで、モノクロ画像が見えるのに必要な最短時間を測定。
(結果)
16人中13人が、危険を感じた時には、危険を感じなかった場合と比べ、より短い時間でモノクロ画像に切り替わったことに気付いた。
【感じられる時間の長さを測る実験】
0.4~1.6秒の範囲で各画像を見せ、1秒間の長さに感じられるのに必要な時間を測定。
(結果)
16人中14人が、危険を感じさせる画像が見えている時間を、実際より長く感じていたことが確認できた。
この研究の結果として、短時間のうちに通常よりも早く情報を処理することができれば、的確に身をこなすことにより、けがの程度を軽くするなど生存可能性を高めることにつながるとしています。
(寄せられていた声)
・昔、実体験でありました。無傷でしたが、車が一回転したときは本当に終わったと思いました。その時のことはスローモーションに感じたと何人の友人に言っても誰も信じなかったんですよね。
・未だに30年以上前の交通事故の瞬間(バイクで車と正面衝突して車を超えて吹っ飛んだ、半年以上の入院)が夢に出ることがある。本当にスロー再生の映画のように。
・この実験の成果を事故の予防につなげるのは無理があると思うけど…。要は、気をはってる時は感覚が研ぎ澄まされるってことでしょ?
・自分も経験ある。後ろから追突された時、スローモーションだった。だけど、この現象が事故回避につながるかというと違うんじゃないかな。スローモーションのようだけど、やっぱり一瞬の出来事。
・スポーツ選手が目の前の試合に勝つために無心になってゾーンに入るのと、目の前で起こった危機を回避するのと、状況は全く違うけど関係ありそう。
・事故にあった瞬間のスローモーションになっている時のことはやたらと記憶に残りますよね。小学生の時の車に轢かれて吹っ飛んだ時の迫ってくる地面とか、車で事故を起こした時の反対車線の車の様子とか。そんなところ注視してたか?ってところまでやたらと覚えてます。
2年ほど前から研究を続けてきたという一川教授。研究の成果は、日本心理学会の国際誌「ジャパニーズ・サイコロジカル・リサーチ」(7月1日発行)で発表されるそうです。
多くの人が証言しているスローモーション現象…この研究により実際に生じることが確認されましたが、今後どのように活かされていくのか注目です。