「モモンガ」と「ムササビ」、この2つの動物は空を舞う数少ない動物として知られていますよね。
滑空する姿が似てはいることから、同じ動物かな~なんて思われることもありますが・・・、両者は別の種類の動物です。
ここでは、そんなモモンガとムササビの違いを解説します!
目次
比較してわかるモモンガとムササビの違い
モモンガもムササビも『ネズミ目リス科リス亜科』という分類なので、近しい生き物であることは確かです。
しかし、モモンガはモモンガ属に、ムササビはムササビ属の生物なので厳密には違う生き物ということになります。
ここでは、この2種の違いを比較しながら見ていきましょう。
大きさと重さ
まずはモモンガとムササビ、それぞれの体の大きさを比較しましょう。
モモンガ
体長15~20cmほど。体重は150-250g。
ムササビ
体長25~50cmほど。体重は最大種ともなると700~1500g。
ムササビ>モモンガ
ムササビのほうが大きくて、体重は最大で10倍も違うんですね!
似たようなサイズだと思っていたので驚きです。
飛膜
モモンガとムササビの特徴である滑空能力。
その能力は体にある飛膜にあります。
飛膜とは、滑空や飛行をするためのパタパタと広がる皮膚のひだのことです。
この大きさや形状もモモンガとムササビでは、異なります。
モモンガ
モモンガの飛膜は、前脚から後脚にかけてのみ発達しています。
ムササビ
ムササビの飛膜は前脚から後脚にかけてだけでは無く、後ろ足から尾にかけても飛膜が発達しています。
尾の四分の一が飛膜に進化しているそうです。
滑空距離
モモンガもムササビも滑空することは知られています。
では、そのどのくらいの距離までいけるのか、その滑空能力を比較します。
モモンガ
体が小さいモモンガは、通常2~30mほどの滑空できるといわれています。
ムササビ
モモンガより体が大きく、飛膜が発達しているムササビの滑空距離は平均して100mほどになるともいわれています。
生息地
モモンガとムササビ、それぞれの生息域にも違いがありましたのでご紹介します。
モモンガ
モモンガは世界中に生息しており、、オーストラリア、インドネシアそしてタスマニアなど様々な環境下で生息しています。
日本の場合はエゾモモンガが北海道、二ホンモモンガは本州以南で生息しています。
ムササビ
ムササビは日本に生息する固有種です。
かつては本州、四国そして九州と日本国内に数多く生息していました。
しかし、ムササビの毛は保温性が高く防寒具用に重宝されたため一時乱獲された歴史があります。
そのため、現在では生息数をかなり減らしています。
モモンガとムササビの違いを見分ける
モモンガとムササビ、それぞれの見分けるポイントをまとめました。
モモンガ
モモンガを見分けるポイントは以下の通りです。
見分けるポイント①
モモンガは、手に乗るほど小さいです。
その大きさから「空飛ぶハンカチ」とも表現されていて、大きい個体でも20cmほどです。
両手の中で収まってしまうサイズですね!
見分けるポイント②
モモンガの目は顔に対して横を向いており、目の大きさも発達しています。
見分けるポイント③
モモンガの飛膜があるのは、左右の前脚から後ろ脚の間だけです。
見分けるポイント④
モモンガの尾は平らです。
ムササビ
ここからはムササビを見分けるポイントをご紹介します。
見分けるポイント①
ムササビは、一抱えあるほど大きい体をしています。
50cmほどに成長するムササビは「空飛ぶ座布団」とも呼ばれています。
見分けるポイント②
ムササビの目は正面に対して付いており、目自体はそれほど大きくありません。
見分けるポイント③
ムササビの飛膜は、左右の前脚から後ろ脚の間だけでなく後ろ足と尾の間にもあります。
見分けるポイント④
ムササビの尾は太く丸いです。
モモンガとムササビはかつて同じ動物だった?
モモンガとムササビは、今では名前が違うから別の動物であることは明確ですが、昔は同一の生物として考えられていたようです。
まずはそんなそっくりな2種の共通点を見てみましょう。
モモンガとムササビの共通点
モモンガもムササビも、共に夜行性の動物で、木の上で生活をしています。
また、モモンガもムササビも食性が非常に似通っています。
木の芽・木の葉・花や蜜・果実・樹皮といった植物性のものから、昆虫類や鳥の卵などを食べています。
さらに非常に似た分類がされています。
前述していますが、モモンガは齧歯目リス科リス亜科モモンガ属、ムササビは齧歯目リス科リス亜科ムササビ属の動物です。
分類学上でいえばリス亜科までは共通しています。
とはいえ、属が異なることから別種の生物とされています。
しかし、これが判明したのは、科学技術や分類体系の発達がすすんだ現在だからこそです。
モモンガとムササビという名前
平安時代の日本では、モモンガとムササビは区別されておらず、大きさの違う同種だと考えられていました。
この2種は最初、「モミ」もしくは「ムササビ」と呼ばれていました。
モモンガという名前の由来
このモミという名前がモモンガという名前の由来とされています。
モミという呼び名は時代を経て発音が変わり「モモ」になりました。
その後江戸時代なると「摸摸具和(モモングァ)」という呼称に変化しました。
最終的に最後の音が変化したことで、現在の名前「モモンガ」に変わったといわれています。
ムササビという名前の由来
ムササビという名前は、その体格から来ているともいわれています。
ニホンモモンガなどに比べれば大型種のムササビも、犬や猫などと比べればじゅうぶん細く小さい生き物です。
そこから小さく細い生き物の意味で「身細(ムササ)ビ」と付けられたという説があります。
まとめ
モモンガとムササビ、共に滑空することで空を舞うことが知られていますが、滑空するのに用いる飛膜の大きさも、体の大きさも、なにより滑空距離も違いました。
似た生き物のように思われがちですが、多くの違いがある生きものでした。
また、似たような動物でしたが、ムササビは日本の固有種の動物です。
そんなモモンガとムササビですが、昔は区別がつかなかったことから、同じ動物扱いされていたようですよ。