身に危険がせまると丸くなって防御態勢に入る「アルマジロ」
そのかわいい姿はテレビや動物園で見かけることがありますが、アルマジロをペットとして飼育できるというのはご存知でしたか?
今回はアルマジロを飼育するときの気を付けるべき点と、英語や漢字でどう表現するのか、また語源もご紹介したいと思います!
目次
アルマジロという動物
アルマジロの従来の生息域は中南米ですが、二十種類いるうちアルマジロの一種ココノオビアルマジロだけは、近年その生息域を北アメリカまで広げているそうです。
最大種のオオアルマジロで体長70~100cm、体重30kgほどの大きさなのに対し、最小種のヒメアルマジロになると体長が10~15cm、体重は100g程度になりますので、アルマジロと一概にいっても大きさは多様です。
飼育できるアルマジロ
アルマジロは気性が荒くない上に、飼育許可を得る必要が特にないこともあって、その一生を最後まで面倒をみる覚悟さえあれば飼育が可能な動物です。
ペットとして人気のあるアルマジロの種類
特にアラゲアルマジロという、南米を中心に生息するアルマジロは懐くと犬のように甘えてくる性格のため、ペットにするアルマジロとして人気があります。アラゲアルマジロは大きくても40cmほどと、腕の中で納まる大きさということもあって人気があるそうです。
アルマジロといえば丸くなるイメージがありますが、丸くなるアルマジロというのはごく一部で、このアラゲアルマジロも丸くならない種類になります。
丸まらずに手足を甲羅の内側に引っ込めるアルマジロ
実は希少な丸くなるアルマジロ
丸くなるアルマジロは、マタコミツオビアルマジロとミツオビアルマジロの二種類のみで他のアルマジロは危機を察知したら、手足を甲羅の内側に引っ込めることで身を守ります。丸まるアルマジロのミツオビアルマジロは個体数が少なく希少なうえ、体長20~25cmほどと小柄なこともあってペットとしても人気を博しています。
アルマジロが丸くなる動画はこちら
アルマジロの飼育方法
現在アルマジロは個体数を年々減らしている希少な動物なので、購入しようとすると30~50万円という高額な費用もかかります。そんなアルマジロの飼育方法や飼育に際しての注意点を紹介します。
アルマジロに与える餌
アルマジロは雑食性ですが、野生の場合は主にシロアリなどの昆虫や、ミミズやカタツムリそしてヘビなどといった小動物を食べています。肉食に近い生き物といえそうですね。
飼育下では動物性タンパクの含まれているドッグフードやキャットフードを与えられていることが多いようです。また、最近では食虫動物用フードが通販などで販売されています。
他にもリンゴやバナナといった果実や、蛇などに与えることもあるコオロギなどの生餌を与えることでストレス緩和になるとされています。
アルマジロを育てるケージ
アルマジロは寝ていることが多いため、運動量が多くないため広めのケージは必要ないとされています。
アルマジロのサイズ的には犬猫用のケージがあれば十分飼育できますし、場合によってはケージではなく90cm以上ある大きい水槽のような容器でも十分飼育できるそうです。もちろんストレスを感じさせないためにも大きければ大きい方がいいです。
アルマジロは地面を掘る性質がありますので、地面を掘れる環境があった方がいいです。しかし屋内飼育の場合は、新聞紙を千切ったものなどをケージ内を敷いて、疑似的に穴掘りや地面に潜ることができる環境を整えるといいそうです。また、屋外で飼育する場合、穴を掘り進めて敷地外に逃亡することがありますのでご注意ください。
まだまだあるアルマジロを飼育するうえで注意すべき点
運動不足対策が必要
実はアルマジロは太りやすい体質の生き物です。そのうえ寝ていることが多いので、ケージ内や屋内ばかりで過ごさせていると運動不足や肥満に簡単に陥ります。そのため、健康に過ごさせるためにはしっかり屋外で散歩させることも重要です。ただし、散歩時に屋外に出る際はノミやダニに気を付けなくてはいけません。
アルマジロには躾ができない
アルマジロは犬や猫と違いトイレを覚えません。あらゆる場所で排泄をしますので、都度掃除をして清潔な状態を保つ必要があります。
爪の手入れが必要
アルマジロは地面を掘る性質上、爪が発達していますし伸びるスピードも速いです。定期的に爪切りをして長さを整える必要があります。
温度管理が必須
野生化では中南米に住んでいるアルマジロは寒いのが非常に苦手です。夏冬の温度変化が激しくならないようにエアコンで温度を年中一定にする必要があります。
通常の動物病院では診察をしてもらえないかもしれない
飼育されているアルマジロというのは非常に珍しい存在です。その為、どこの動物病院でも診察できるとは限りません。飼育を始める前に、周囲にアルマジロを診察できる動物病院があるかどうかを確認する必要があります。
アルマジロの寿命
アラゲアルマジロの場合、寿命は15年ですが、飼育下では20年以上生きる場合もあるそうです。適切な飼育環境とと栄養バランスの取れた食事、健康診断を定期的に受けるなど、正しく愛情をこめればアルマジロが長生きするかもしれません。
ペットとして飼育されているアルマジロの裏の一面
現地では害獣扱いされることも
穴を掘り、農作物を食べることもあるアルマジロは現地の中南米では害獣として駆除の対象になることもあります。どのような場所でもアルマジロは地面を掘り、農地や庭先、さらには墓地なども掘り返されることがあるそうです。
絶滅危惧の危険性のあるアルマジロがいる
絶滅の危険が増大している種、いわゆる危急種に認定されているアルマジロは現在4種類います。
その中には丸まる事で人気のミツオビアルマジロも含まれています。他にもオオアルマジロは最大種のアルマジロ、アルマジロながら甲羅が見えないほどの毛に覆われているムクゲアルマジロや、アンデス山脈に住む甲羅の上にふさふさの毛が生えたペルーケナガアルマジロという種類のアルマジロがこのままでは絶滅してしまうとされています。
アルマジロの英語と漢字での表現
英語で表現するアルマジロ
armadillo
アルマジロは英語のスペルを見ると、発音も日本語と同じアルマジロのように見えますが、発音は異なり、アーマディロになります。
armadilloの語源はスペイン語
armadilloは英語が起源ではありません。スペイン語の武装したものを意味するarmado(アルマード)から来ています。イギリス人達より先んじてアメリカ大陸に進出していたスペイン人は、アルマジロが鎧を着た兵士のように見えたので名付けた名前なのではないでしょうか!?
ちなみに、スペイン語のスペルは英語と同じarmadilloです。スペイン語の発音ではアルマディッロなので英語より日本語に近い音になるようですね!
漢字で書くアルマジロ
・鎧鼠
・犰狳(きゅうよ)
犰狳の語源は古代中国の神話
和名ではそのものずばりな鎧鼠と呼ばれていますが、もう一つの名前、犰狳は中国の古代神話に由来する名前です。中国にあった周(しゅう)という国が、都を成周(せいしゅう)に置いていた、紀元前770年から紀元前256年の期間。東周と呼ばれるその時代に書かれた地理書であり、妖怪や神々についても書かれていた書物が山海経(せんがいきょう)に記されていたのが、犰狳です。
山海経の中で犰狳は、鳥のくちばしとトビの目を持ち、蛇の尾をした兎のような姿をしたモノとされています。人に見つかると眠りにつき、鳴き声がキューヨだったことが名前の由来とされていました。犰狳が姿を現すとイナゴやバッタが大発生し、農作物が全て食べてしまう凶作の原因とされていていました。
犰狳は農作物に大被害を与える存在として恐れられていた存在だったようですが、いつの日からかアルマジロを指す言葉に置き換えられたようです。
まとめ
飼育環境によっては20年生きるアルマジロ。もし飼育する機会があるなら責任をもって最後までしっかり飼育したいですね。
飼いたい!という願望と飼育環境を整えても、周りにアルマジロを診察できる獣医がいないかもしれない、というのは珍しい動物を飼いなれていない人間にとっては目から鱗の注意点でした。