「モロクトカゲ」は全身にトゲが並んだカッコよくも珍しい姿をしたトカゲです。
その姿はまるでゲームや映画に出てくるモンスターのよう。
このトゲに全身を覆われたモロクトカゲには砂漠で生き残るために得た凄い能力がありますよ!
生態やペットとして飼育できるのかといった疑問とあわせて見ていきましょう。
目次
モロクトカゲの生息地や生態
モロクトカゲは体長が15cmほどのトカゲです。
英名では「Thorny lizard」「Thorny Devil」と呼ばれ、「トゲの多いトカゲ」や「トゲだらけの悪魔」という意味があります。
和命は古代中東のセム系民族に信仰された人身供犠の神「モロク」を思わせる、トゲだらけの姿に由来しています。
モロクトカゲの生息域
モロクトカゲはオーストラリア大陸の中央から西にかけての乾燥地帯に分布しています。
特にオーストラリア中央部にあるウルル周辺に多く生息しています。
ウルルは別名のエアーズロックで知られた一枚岩です。
この地域周辺には砂漠が広がっていることから、ウルル周辺はモロクトカゲにとっては絶好の生息地となっているのだそう。
モロクトカゲの生態
乾燥地帯に多く生息しているモロクトカゲは、夜間や日中の暑い時間帯は地面を掘って作った巣穴や、草など植物の陰に隠れて過ごしています。
モロクトカゲの食事
モロクトカゲはアリを主食にしています。
アリの行列を見つけると短い舌で吸い取るように捕食します。
1分間に40匹、一日に数千匹ともいわれる大量のアリを捕食しています。
餌にしているアリは日本でよく見かけるオオクロアリよりも小さい種なので、量を食べても重量はそれほどにもならないのだとか。
モロクトカゲの繁殖
オーストラリアの春夏にあたる9月~12月にかけてがモロクトカゲの繁殖期です。
メスは地面を掘り、そこに3~10個ほどの卵を産みます。
産卵から3~4ヶ月ほど経ち孵化すると、生まれたばかりの子供は自力で地面まで掘り進み、地上に姿を現します。
モロクトカゲの砂漠に適用した能力
自動給水能力
モロクトカゲの鱗にはトゲの他に細い溝が走っています。
この溝は全てモロクトカゲの口元への伸びています。
これはモロクトカゲの体のどこかが水滴や霧に触れた場合、その水分が溝を通り口元まで自動的に運んでくれる仕組みになっています。
モロクトカゲの自動給水能力ともいうべきこの力は、毛管現象と呼ばれる現象によって起きています。
保護色とオトリのコブ
モロクトカゲは全身をトゲに覆われた攻撃的な外見をしていますが、おとなしい性格をしており自分から攻撃することはまずない生き物といわれています。
そのため、自分を守るための能力が長けています。
保護色
モロクトカゲは温かい時は肌を明るく、寒い時は肌が暗くなります。
これは保護色効果になっており、温かい日中は肌を明るくしてより周りの砂地に溶け込み、寒い夜間は暗い肌で夜の闇に溶け込んでいます。
オトリの首のコブ
モロクトカゲのトゲは捕食者に食べられそうになった時に相手の口の中で刺さり飲み込まれないように、逃げられるようになっていると考えられています。
全身のトゲだけでなく、首の後ろにあるコブ状の偽の頭があります。
捕食されそうになった際に頭を下げるとちょうど頭にも見えるコブをオトリにして噛ませることで逃げる隙を作るといいます。
また、このコブは軟組織でできており、噛まれてもモロクトカゲは痛くないのだそうです。
日本にはいないモロクトカゲ
オーストラリアは固有種の生き物の輸出がされないように厳重に規制をして保護をしています。
その為、日本ではモロクトカゲをペットにすることはできません。
また、主食が一日千匹を越えるアリですので、飼えるとなっても餌が用意できないためペットにするのはお勧めされない生き物なのではないでしょうか。
そして同じ理由から、日本の動物園では飼育もされていません。
まとめ
モロクトカゲはゲームに出てきそうなカッコいい外見をしていながらも、おとなしいトカゲです。
効率性を極めたといってもいい給水能力を持ち、トゲやオトリのコブで防御面も高いおとなしいながらもしたたかな生き物です。
エアーズロックに行くことがあったらぜひ一緒に見たい生き物ですね!