全身がピンク色で海中をぷかぷかと浮かんでいるように泳いで生きている、そんな夢の中のようなかわいい姿の生き物が実在します。
その生き物の名前はユメナマコ。夢のように美しいとその名前を付けられたユメナマコをご紹介します。
目次
ユメナマコという生き物
ユメナマコはクラゲナマコ科、漂遊しているナマコの仲間です。ナマコというと口のあるキュウリやヘチマのような形状をしていますが、ユメナマコはクラゲにしか見えない形状をしているのが特徴です。
生態
ユメナマコは太平洋の深海、主に深さ300~6000mある海を遊泳して生息しています。体の上部と下部にそれぞれひだがあり、それぞれのひだを巧みに使うことで海中を進んでいます。
一般的なナマコとは違い、体内の消化器官が透けて見えるほど透明の体をしており、体色はピンク色をしています。この透明な体は深海の光のない暗がりに紛れる迷彩的な役割を果たしていると考えられています。
ゆめかわいい?ユメナマコ
出典:YouTube
ユメナマコは英語では「Headless chicken sea monster」とも呼ばれています。これはひだを閉じて遊泳している瞬間を横から見ると頭部のない鶏肉に見えることから付けられました。ゆめかわいいとは全く逆の名前ですね。
ゆめかわいい!ピンクな体が光るユメナマコ
体がピンク色でかわいいというだけではありません。なんとユメナマコは暗闇の海中の中で光り輝くことがあります。
ユメナマコの外皮には刺激によって発光する無数の発光器が散在しています。さらに発光器のある外皮は刺激に対して非常に弱いという特徴もあり、少しでも外部から刺激があるとはがれるようになっています。
ユメナマコが外敵から攻撃を受けると光る外皮が体から剥がれます。この剥がれた光る外皮が海中を漂い外敵の注意を本体からそらす効果があると考えられています。また、剥がれた外皮は急速に再生するそうです。トカゲのしっぽのような役割ですね。
ゆめかわいい?素早く豪快な食事姿!!
遊泳しているという点では他のナマコと違う生態のユメナマコですが、食事は他のナマコと一緒です。海底の砂地に堆積した有機物(デトリタス)を摂取しているので、ユメナマコも食事の時だけは海底に降ります。海底に降りたユメナマコは消化管に大量の砂泥を摂取します。泥砂の摂取が終わると再び遊泳を始めるのですが、海底にいる時間は1分に満たないわずかな時間です。
食事には時間をかけずに済ませますが、大量に摂取をした砂泥から確実に栄養を摂取するために長い腸でゆっくり消化していくそうです。
ユメナマコは地上では飼育ができない?
出典:YouTube
現在、水族館では長期の飼育をした実績はありません。採取されたユメナマコが水族館に展示されることはあるのですが、水圧の問題か地表ではあまり長期間は生存ができないようです。
水族館で見られることもある
常時展示や飼育はされていませんが、これまでに展示の実績がある水族館がありますので紹介します。
・新江ノ島水族館(2006年6月)
・葛西臨海水族園(2018年8月)
▼ 過去に行われたユメナマコの展示がこちら
昨日8/8より、深海を浮遊するナマコ、ユメナマコを展示しています!このナマコは、JAMSTECの「かいれい」体験乗船イベントで無人探査機「かいこう」によって駿河湾の水深約980mの地点で採集されたものです。#かさりん #tslp_h #JAMSTEC #深海 #ナマコ pic.twitter.com/cDnFzCQdnT
— 葛西臨海水族園[公式] (@KasaiSuizokuen) 2018年8月9日
まとめ
ピンク色の体をしたユメナマコは光る外皮を持っていたりとファンタジーの世界の生き物のような性質を持っています。深海の生物ですので簡単にはその姿を見ることはできないようですが。今後も捕獲されたユメナマコが水族館に展示されることがあるかもしれませんので、その際はゆめかわいい生き物ユメナマコを実際に見に行きたいですね!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
出典:Wikipedia(Enypniastes)/ YouTube('Headless chicken sea monster' - BBC News) / Twitter(@KasaiSuizokuen)