「越える」と「超える」は同音異義語ですが、ともに部首が"走"(そうにょう)の漢字であり、読みが同じ言葉の中でも違いが分かりにくい言葉です。
ここでは、間違いやすくややこしい、「越える」と「超える」の使い分け方について見ていきましょう。
目次
「越える」と「超える」は意味も似ているからややこしい
同音異義語の「越える」と「超える」のそれぞれの意味と、「越」や「超」を使用した言葉をご紹介します。
越えるの意味と用例
「越える」には、①障害物や境界線の上を通り過ぎて、向こう側へ行くこと、②日時が過ぎるという2つの意味が主にあります。
①としては「県境を越える」、②では区切りとなる時間が過ぎるという意味で「レポートの提出期限を越えてしまった」という用い方ができます。
超えるの意味と用例
「超える」の意味は3つの意味があります。
1つ目はある基準・数値を上まわること、2つ目としては自分の考え方や立場からさらに先へ進むことを、3つ目に他よりすぐれていたり、勝ることをあらわしています。
①としては「票数は半数を超えた」、②は意味で書くと分かりにくいですが、「種別を超えた友情」や「憎しみの心を超えて仇に手を差し伸べる」のように用います。
③の意味合いは、「周囲の人物を超えた能力」という表現をすると優れた人物をあらわしているというのが伝わりやすいのではないでしょうか。
”越える”と”超える”が多用される状況
実は「越える」と「超える」は、辞書で同じ項目としてまとめられており、異義語といっても非常に近しい関係の言葉です。
そのため意味合いも似たような言葉になります。
ですが、このような場合は越えるだな、こちらは超えるだな、と考えやすいポイントがあります。
「越える」は移動
「越える」には向こうに行く、通り過ぎるという意味があることから移動を伴うことが多いです。
『ボールはフェンスを越えホームランとなった』『旅館は山をひとつ越えたところにある』のように空間的に移動することが多いです。
しかし、困難を乗り越えるといったように実際には移動しませんが、困難を山などに例えて用いる表現もあります。
「超える」は数値的
「超える」は上回るという意味から直接出なくても数字がかかわっていることが多いです。
例えば『年収1000万円超え』でしたら、1000万円を基準にそれを上回ったというのが分かりやすいです。
『父親の伸長を超した』の場合は表に数字は出ていませんが、『父親の実際の伸長』という裏に隠された数字を上回ったので"超した"になったということになります。
「越」と「超」を用いた熟語
ここからは、「越」と「超」それぞれの漢字を用いる熟語を見ていきましょう。
「越」を用いた熟語
「越える」の"越"を用いる言葉には、境を過ぎ去る「越境」や、有している権限を通り過ぎる「越権」、今年が過ぎ来年へ向かう「年越し」があります。
「超」を用いた熟語
一定枠以上になる「超過」、人よりよほど優れているという意味で「超人」といった言葉があります。
まとめ
「越える」と「超える」は、意味だけでなく漢字まで似ていることもあって非常に違いが分かりにくい言葉です。
しかし、移動に関わる"越える"と数字に関わる"超える"と覚えておくといいかもしれません。
では最後に、「ピークを"こえる"」は”越える”と”超える”どちらでしょうか?