サルサソースとサルサ音楽、どちらもスペルは「salsa」だけど・・、もしかして共通点ある?

日本ではタコスやタコライスで使用することでおなじみの"サルサソース"。
そして社交ダンスでおなじみのラテン音楽の一つ"サルサ音楽"。

この2つは名前が一緒というだけなら偶然かなと思えますが、スペルも「salsa」ということから、名前が一緒というのは偶然には思えません。
そこでここでは、料理と音楽、2つの「サルサ」について見ていきましょう。

サルサソース

 

サルサソースは、スペインやメキシコを始め中南米の諸国で作られるソースです。
水分の多い液体調味料ならば全てサルサとなりますので、一口にサルサといっても一概にどれのこととは言い切れません。

とはいえ、日本ではそれほどサルサソースの種類が知られていないこともあって、生トマトをメインに、玉ねぎや青トウガラシをざく切りにしたものを調味料と和えて作るサルサ・メヒカーナ(サルサ・クルダ)が一番馴染み深いかもしれません。
タコライスやタコスで使われる一番オーソドックスなサルサのことです。

サルサソースは二重表現?

"サルサ"はスペイン語での表記は"salsa"。
ソースを意味する言葉です。

そのため、サルサソースと言うとソースソースとなってしまいますので、呼称としてはおかしいことになってしまいます。
しかし、「サルサ」という名前自体が日本ではまだどの家庭でも生活に密着しているというほどおなじみの調味料ではないので、サルサソースと言ったほうが通じやすいかもしれませんね。

語源はラテン語

"salsa"の語源はラテン語で「塩味」を意味する言葉で、男性形では「salsus(サルサス)」女性形では「salsa(サルサ)」が語源となっています。
因みに、ソーセージやサラリーマンのサラリーなども同じ語源だそうです。

豊富なサルサの種類

 

"サルサ"は、液体調味料全体を指すというだけあって非常に多くの種類があります。

日本で一番馴染みの深いサルサ・メヒカーナはメキシコ生まれのサルサです。
トウガラシやコリアンダーの緑、玉ねぎの白、トマトの赤がメキシコの国旗を思わせることから「メヒカーナ」と呼ばれ、メキシコの名を冠しています。
別名では、「サルサ・クルダ」とも呼ばれ、こちらは生のサルサを意味します。

他にもアメリカ西部やメキシコでポピュラーなトマト・トウガラシ・コリアンダーを和えて作る「サルサ・ロハ」というサルサがあります。
このサルサは、サルサ・メヒカーナとは違い具材をみじん切りにしてより液体状にして作るのが特徴です。
ケチャップ代わりにタコスやハンバーガーにかけて食べるサルサになります。

また、「ロハ」はスペイン語で「赤」を意味します。
見た目通り「赤いソース」と名付けられています。

他にも、パセリにアンチョビーを混ぜて作る緑を意味する「サルサ・ベルデ」、アボカドとたまねぎ、トマトにコリアンダーを使った「ワカモレ」、そしてトウガラシとナッツ、タマネギ、ニンニクとチョコレートを使ったサルサ「モーレ・ポブラーノ」など多様なサルサがあります。

サルサ音楽

 

陽気さと情熱を感じさせるラテン音楽、その一つでもあるサルサが生まれたのは意外にも20世紀も後半に入ってからのことです。

原型は様々な音楽の融合

音楽の"サルサ"の原型は30年代のキューバ音楽の「ソン」のうちの一曲「エル・マニセロ(邦題:南京豆売り)」がニューヨークで流行、キューバから国外向けに「ルンバ」と名前を変えて広まりました。
その後、1940年代になるとルンバにジャズの要素を加わり「マンボ」が生まれ人気を博しました。
1950年には日本でも興行され、1952年にはマンボの代名詞とも言われる曲「マンボNo.5」が発売されています。

60年代にNYで始まる

 

1950年代も後半になるとキューバ革命の影響でキューバから音楽文化がNYには入ってこなくなりました。
その影響から、逆にNYから新しい音楽を作る風潮が生まれてきました。

そしてその中でキューバ音楽にジャズやロック、ソウルなどを掛け合わせるという試みがされてきました。
この音楽的実験とも言える活動は弁護士のジェリー・マスッチとジョニー・パチェーコの2人が1964年設立したレーベル「ファニア・レーベル」により、"サルサ"と名付けられました。

そして多くのミュージシャンに歌われたサルサは1970年代前半に世界へと広がっていくともにピークを迎えました。
そして現在もサルサは進化と多様化を続けて音楽の世界で一ジャンルを築いています。

サルサ音楽の名前の由来は料理のサルサから

キューバ音楽から始まりジャズやロック、ソウルなど多様な音楽にダンス、地域性といった要素を取り入れ一つになった様子がまるで様々な食材やスパイス、調味料が混ざってできたサルサに似ていることから「サルサ」と名付けられたとされています。

まとめ

スペインで使われているソースの"サルサ"はスペインのアメリカ進出とともに中南米やキューバに広がっていきました。
そしてスペイン語圏のキューバで生まれた音楽がNYに渡り、様々な音楽の要素を取り込んだことで音楽のソース、サルサが生まれました。

日本ではソースのサルサもスペイン料理店に行かない限り、タコスやタコライスでしか見かける事はありませんし、音楽のサルサも社交ダンスのイメージから馴染みの無いかもしれませんが、全く違うジャンルの用語が密接に関係している、というのは知るだけでも面白いものですね。

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