
シナモンロールやアップルパイなど様々なケーキや焼き菓子で使用する、洋菓子の代表的な香辛料「シナモン」
そのシナモンとそっくりな香りをしているのが京都のお土産で有名な八ツ橋です。
この香りの元は「ニッキ」でしょ?と知っている方もいるかと思いますが、なぜニッキはシナモンと似た香りをしているのでしょうか?
今回は「シナモン」と「ニッキ」が同一のものなのか、それとも別物なのかを見ていきましょう。
原材料の違い

シナモン
香辛料のシナモンの原材料は常緑樹シナモンの樹皮です。
特にスリランカのセイロン産シナモンは『真のシナモン』と呼ばれ人気の高級品となっています。
ニッキ
ニッキはシナモンと同じニッケイ属で日本固有種の常緑樹肉桂の根皮を原材料にしています。
肉桂の樹皮にはシナモンほどの香りが無いので、樹皮が使われることはありません。
香りと味わいの違い
シナモン

シナモンの樹皮を乾燥させることで濃厚な甘い香りがします。
甘さとともにスパイシーな香りがすることもシナモンの特徴です。
シナモンにしか含まれていない成分
セイロン産のシナモンには「オイゲノール」という成分が含まれています。
この成分がシナモンの濃厚な甘い香りがする理由です。
ニッキ

ニッキはシナモンほど強くはありませんが甘い香りをしています。
シナモンとは違い爽やかな辛味があるのが特徴です。
八ツ橋ではそれほど感じませんが、ニッキ飴なら爽やかなニッキの辛味を感じたことがある人もいるのではないでしょうか?
シナモンは世界一歴史ある香辛料

ミイラ作りに使われたシナモン
シナモンの歴史は古く、紀元前2000年頃にはエジプトで利用されていたと考えられています。
セイロン産のシナモンに含まれている成分オイゲノールには、防腐効果があることがわかっています。
この効果を利用して古代エジプトではミイラの防腐剤としてシナモンを使っていました。
シナモンは古代世界では神や王などの統治者への贈り物としてされ、ギリシャでは統治者から神殿への贈り物としてシナモンが含まれていたこともありました。
日本では正倉院に奉納されたシナモン
東大寺にある聖武天皇や光明皇后ゆかりの品などが収められている高床式倉庫の正倉院には宝物の一つとしてシナモンが奉納されています。
このシナモンは薬として「桂心(けいしん)」という名前で現在も正倉院宝物殿にあります。
正倉院ができたのは聖武天皇の時代、8世紀の奈良時代なので、その頃にはシナモンは世界中で交易されていたものと考えられます。
まとめ
シナモンとニッキが似たような香りがするのは当然で、近縁の木から作られる香辛料でした。
しかし、シナモンが樹皮を乾燥させて作るのに対してニッキは根皮を使うため、地面を掘り返すなど手間が大きくかかるそうです。
また、シナモンが2年の栽培で樹皮と取れるようになるのに対して、ニッキは根が育つまで15年ほどかかるので時間的にもニッキのほうが手間がかかるそうです。
ちなみに、シナモンは「香辛料の王」と呼ばれることもあって様々な料理やお菓子、ドリンクにまで使われていますが、過剰摂取すると肝障害と腎障害を引き起こす原因となる成分クマリンが主成分となっています。