「いしを継ぐ」の漢字は『意思』と『意志』のどっち?そもそも意味は違うの?

「意思」と「意志」は共に、"○○をしたい"という内心をあらわす言葉ですよね。
しかし、同音な上に非常に似通った意味なので、どちらを使うのが正しいのか分かりにくいややこしい言葉です。

「亡き父の"いし"を継ぐ」や「"いし"の疎通を図る」もそれぞれ意思かそれとも意志なのかも分かりづらいです。
そんな使い分けの難しい「意思」と「意志」について見ていきましょう。

意思と意志それぞれの意味と違い

意思の意味

 

「意思」は何かをしたい、もしくはしたくないと考えたり思い浮かべる事です。
新しい服がほしいと考えたり、雨だから外に出たくないなと頭によぎるのが意思です。

意思は法律用語で「自分の思いや欲求」をあらわす単語でもあります。
「自分の行いに対しての意識や思い浮かんだ考え、意図」という意味もあります。

法律用語には意思能力・意思表示・意思主義・意思の欠缺(けんけつ)をはじめ、多くの意思に関する用語があります。

意志の意味

 

「意志」は何かを成し遂げようと積極的な心持ちがある状態です。
大会で優勝したい!といった志のある強い思いが意志となります。

意志は、心理学用語で「目的を成し遂げようとする意欲」を意味します。

意思と意志の違い

 

「意思」はあくまでも漠然とした思いや考えで、そこに具体的な思いはありません。
一方で「意志」は目的を成し遂げようとする積極的な思いです。

特にわかりやすいのがダイエットに対する意思と意志の違いです。

ダイエットしようとする「意思」だと、痩せたいと考えながらポテトチップスやチョコレートといった太る要素になるお菓子を食べる手が止まらなくても問題はありません。
たぶん痩せられることは無いと思いますが、行動はともかく痩せたいという考えを持ったので「痩せたい意思はあります。」

ダイエットしようとする「意志」の場合、この服を着るためにいつまでに何kg痩せてみせる!といった具体的な動きや強い意志を感じ取れます。
この痩せることへの積極さが「痩せることに対する意志」です。

語源では同じ意味の意思と意志

 

語源は英語

意思も意志も本来は同じ言葉です。
共に「○○をしたい」や「意図」を意味する英単語「will」の訳語として生まれました。

意思と意志の生みの親「西周」

意思も意志も従来日本には無く、英語を翻訳したことで生まれました。
willを「意思」と「意志」と翻訳したのは、明治時代の哲学者で教育者の「西周(にしあまね)」です。

彼は多くの外国語を翻訳して日本語に組み込んだ人物です。
philosophyを「哲学」と翻訳した他にも、芸術や科学に技術など、当時の日本になかった言葉を翻訳し日本に普及させました。

まとめ

意思と意志、共に同じ英語の「will」を語源にする言葉です。
元は同じですが、意思はただ単に考えるだけなのに対し、意志は考えを成し遂げようとする積極的な思いをあらわしています。

最初の例では、それぞれの意味の違いから「亡き父の"いし"を継ぐ」のいしは父親からの強い思いを受け継ぐので「意志」になり、「"いし"の疎通を図る」では知りたいのは考えなので「意思」となります。

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