奇妙な体形にピンク色の身体、そして笑っているような愛嬌満点の顔がかわいい「ウーパールーパー」。80年代に来日した当初から日本中で話題になり、一世を風靡した生物です。
この「ウーパールーパー」という名前ですが、実は日本に来てから付けられた流通名で、本当は『アホロートル』っていう名前があるんですよ。日本では馴染み深い「ウーパールーパー」ですが、世界で通用しない名前だったんです。
今回はなぜウーパールーパーという名前が付けられたのか、さらにウーパールーパーの恐るべき生態ついてを解説いたします!
目次
ウーパールーパーとは
出典:Wikipedia
メキシコサンショウウオを品種改良し、固定化した生物がウーパールーパーです。
本当の名前
ウーパールーパーという名前は日本の流通名として名付けられたもので、日本人にしか通用しない呼び名だったんです。
アホロートル
本来の名前は、英語で「アホロートル(Axolotl)」です。しかし、日本人がこの名前を聞くと「アホな老人」って聞こえちゃいませんか?これが理由で流通名を変えたんですね!
アホロートルの由来はアステカ語の「アショロトル」で、アステカ神話に登場する神の名前でもあり、「水中の妖精」「水中の怪物」「水中の犬」という意味も持っています。どれを取っても、ウーパールーパーの姿にピッタリの名前です!
メキシコサラマンダー
出典:Wikipedia
「メキシコサラマンダー」という名前もあります。「サラマンダー(salamander)」を訳すと「サンショウウオ」なので、メキシコサラマンダーとはウーパールーパーが品種改良される前の名前です。
本来「メキシコサラマンダー」といえば、両生類のため成熟し陸上化している状態を指します。しかし改良されているウーパールーパーは、一生水中で生活し違う生態を持っています。二つを区別するためにも違う呼び名が必要だったんですね。
ウーパールーパーは日本に来た際に付けられた名前
二つの理由が重なり、日本名を付けられたウーパールーパー。来日した当時を振り返ります。
ほんとはスーパールーパーだったかも!
初めは「スーパールーパー」と名付ける予定でした。その名前で登録商標に出向いた際「スーパー」と名が付く商品があまりにも多く、承認されるまで時間が掛かったんですね。
「仕方ない。ウーパールーパーにしよう。」笑っちゃう理由ですが、印象的な名前が皆に親しまれ、結果オーライでしたね!
80年代に大ブームに!
テレビCMの影響が絶大だった80年代。1985年、CMに登場したことがきっかけでウーパールーパーの名前は日本中に知れ渡りました。その後、キャラクター化されるなどし大ブームを起こしたのです。
ピンク色の体にニコッと微笑んでいるような顔が、大人から子どもまで受け入れられたんですね。
ブームの元はUFO
ブームの元となったのは、かの有名な日清UFOカップ焼きそばのCMです。「焼きそばのCMなのにウーパールーパー?」と思われるかもしれませんが、宇宙からきた生物ウーパールーパーという設定がはまり役だったんですよ。
出典:YouTube
実はとっても面白い生態
愛嬌満点のウーパールーパーですが、驚きの生態を持っています。
再生機能がハンパない!
ウーパールーパーの身体には、恐るべき再生能力が備わっています。天敵に襲われたり共食いで食いちぎられたりしても、手足や皮膚はもちろんのこと、臓器、脊髄、神経までもが数カ月のうちに再生されるのです。しかも、何事もなかったかのように元通り!
ミミズやトカゲも再生機能を持っていますが、再生部分が弱かったり年齢が関係したりと十分なものではありません。それに比べ、ウーパールーパーの再生機能はハンパないんです!
両生類なのに変態しない
通常、両生類は変態します。水中でエラ呼吸をしていたオタマジャクシが、陸上で肺呼吸するカエルに変化するやつです。しかしウーパールーパーは、大人になると25センチ前後まで大きくなるものの、エラ呼吸での水中生活は変わらず変態しません。それは、変態するのに必要な甲状腺ホルモンであるサイロキシンを、自ら生成することができないからなのです。
子どものようでも実は大人なんて、コナン君みたいですね!
ウーパールーパーは突然変異
ウーパールーパーは、メキシコサラマンダーを品種改良した生物です。驚くべき再生能力を持つメキシコサラマンダーは研究動物としての長い歴史があります。そんな中、突然変異で現れた白い生物を品種改良し固定化した生物がウーパールーパーなのです。
アホロートル・メキシコサラマンダー・ウーパールーパーの違い
アホロートル・メキシコサラマンダー・ウーパールーパー。三つの違いを整理します。
実は厳密には区別できる
厳密に区別するとこのようになります。
アホロートル
メキシコサラマンダーやアンダーソンサラマンダーなど、トラフサンショウウオグループに属する生物が幼生成熟した個体をアホロートルといいます。
メキシコサラマンダー
北アメリカ、メキシコの首都メキシコシティのソチミルコ湖周辺に生息するサンショウウオです。トラフサンショウウオ科トラフサンショウウオ属に分類される有尾類。
ウーパールーパー
メキシコサラマンダーを品種改良した生物で、アホロートルに含まれる種類のひとつがウーパールーパーです。幼生成熟(変態しない)する珍しい生態のサンショウウオです。
まとめ
ウーパールーパーはサンショウウオで、なおかつ驚異的な再生能力を持っているんですね!小さな体に秘めた大きなパワー。今までは、あの愛らしい姿ばかりに目を向けてきましたが、これからはウーパールーパーを見る目がちょっと変わりそうです。
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出典:YouTube(1985 日清 UFO) / Wikipedia(メキシコサンショウウオ)