水面下のスナイパー「テッポウオ」。実は数学者顔負けの超スゴい能力を持っていた!

テッポウウオは、口から水を発射することで水面上にいる昆虫を打ち落とし捕食するという驚きの能力を持つ熱帯魚です。
その珍しい能力が人気のテッポウウオですが、実は射撃する際にスゴい能力を用いているというのはあまり知られていません。

そこで今回は生態と共に、テッポウウオの何がスゴいのかを見ていきましょう。

テッポウウオの生息域と生態

 

まずは、テッポウウオの生息域やその生態について見ていきましょう。

テッポウウオの生息域

テッポウウオは、インド東部からスリランカ、マレー半島やソロモン諸島といった東南アジアや、オーストラリア北部そして日本の西表島まで、太平洋の西端からインド洋東部に分布しています。

生息しているのは水温の高い汽水域や河川の上流そして中水域といった淡水域、更に浅瀬の海中です。
マングローブ林のような海岸に植物が生い茂る場所をを好むとされています。

西表島がテッポウウオが分布している北限とされていることから、水温の高い場所や暖流を好む魚というのがわかります。

テッポウウオの生態

 

成魚の大きさは通常15~20cmほどですが、「セブンスポットアーチャーフィッシュ」という種は最大で40cmまで成長することが確認されています。
テッポウウオの多くは上あごよりも下あごの方が前に突き出ており、この発達した下顎があるからこそテッポウウオは水を発射することができます。

水面に近いところで活動をしており、陸上に昆虫を見つけると水鉄砲を発射することで獲物を気絶させ、水面に落ちてきたところを捕食する、肉食性の魚です。

体色は全体的には銀、背部には帯状の線にも見える黒い斑点があり、その斑点の周りが緑褐色が混ざっています。

テッポウウオは狙撃の名手

 

テッポウウオの射撃技術は、実は目を瞠るものがあります。

テッポウウオの水を発射する仕組み

テッポウウオは口に溜めた水を発射することが特徴の珍しい魚です。
テッポウウオは口蓋にある溝に舌をあてることで、喉から口先までの一直線の水の通り道を作ります。

その状態でエラ蓋を閉じるとエラがトリガーの役目を果たすので、水が勢いよく発射されます。
これがテッポウウオが口から水を発射する仕組みになります。

テッポウウオの狙撃、ここがスゴい”

狙撃に際して光の屈折率を計算している?!

 

テッポウウオは口先だけを水面に出して水を発射することから、目は水中にある状況での行動になります。
そのためテッポウウオが狙っている陸上にいる標的は光の屈折により、見ているものと実際の位置ではズレが生じています。

それなのになぜテッポウウオが標的に水を当てる事ができるのか、それはこのズレを計算に入れてテッポウウオは狙撃をしているからです。

屈折率についてはは中学生で習いますが、テッポウウオは誰に習うでもなく生きるために光の屈折率を計算して捕食活動に用いているというのですから驚きです。

狙撃範囲が広い

テッポウウオの射程範囲は最大2mにもなります。
おおよそ20cmほどのものでも、1m~1.5mと自分の5倍から10倍近くの遠い場所にいる獲物を狙撃する事ができます。

狙撃以外でも食事をする

テッポウウオは水を用いて狙撃する姿から、英語では「Archerfish(アーチャーフィッシュ)」、弓を射る魚と呼ばれています。
しかし別段他の食事方法を持っていない訳ではありません。

テッポウウオは陸上の昆虫だけではなく、水中にいるエビや小さい魚も捕食して生きています。

テッポウウオは飼育できる

 

テッポウウオは東南アジアなどでは食用にされることが多い魚です。
しかし、日本では1980年代に西表島周辺に海に生息していることが確認されるまで日本には分布されていないと考えられていた魚です。
そのため食べる文化は無く、鑑賞魚とされることが多いです。

日本国内では分布域が非常に狭く西表島に限定されていることから、環境省が公開しているレッドリストでは「DD」いわゆる情報不足にカテゴライズされています。

熱帯魚として飼うことができる

最大種ともなると40cmまで大きくなるテッポウウオは中型の魚になります。
そこで、飼育する際は90cmの水槽を用意することが推奨されています。

60cmの水槽に比べると大きいですが、この中で飼育するのは3匹ほどと少数での飼育がいいようです。

一方で、普通の熱帯魚より水槽の水を少なめにすることも推奨されます。これは水を発射する姿を家で見ることができるからです。
しかし、狙撃による捕食シーンを見るためには生き餌を用意する必要がありますので、昆虫などが苦手な方ですと餌やりが難しいかもしれません。

汽水域に生息するため、水中の塩分を調整する必要がありますが、全般的にその体は丈夫であり、淡水でも生息可能です。

まとめ

テッポウウオは水中から自分が見えている標的の位置と、実際の位置がズレている光の屈折を計算したうえで狙撃して捕食するという実にクレバーな魚です。
狙撃の命中率は個体差があるというので狙撃が苦手な個体は食事に関して大変な思いをしていそうですね!

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