巨大な牛の「バイソン」とはどのような動物?体が大きいけど気性は荒いの?

『バイソン』と聞いて、みなさんはどんなイメージをお持ちですか?
「大きな牛」だという印象を抱いている方がきっと多いと思います。

現在バイソンが確認されているのは2種類で、「アメリカバイソン」と「ヨーロッパバイソン」です。

この2種、それぞれどのような特性があるのでしょうか?

現生種:アメリカバイソン

 

バイソンの現生種の1つ目は、『アメリカバイソン』です。
こちらは、「バッファロー」と呼ばれることも多いようですね。

生息地

アメリカバイソンという名称だけあって、アメリカに生息しています。
他には、カナダやメキシコの一部にも生息しています。

一時期は、野生のアメリカバイソンが北米大陸に広く生息していました。

しかし乱獲などにより、ワイオミング州のイエローストーン国立公園とノースウェスト準州のウッド・バッファロー国立公園以外の野生は絶滅してしまいました。

そこで、各地で再導入が試みられています。

外見や大きさ

外見で大きな特徴になっているのは角です。
湾曲していて、最大で長さ61cm、幅90cmに達する個体もあるようです。

また、体の大きさも印象的で、体長はオスで3~4m、メスでも2~3mもあります。
この大きさは、北方における現生陸上哺乳類の中でも最大なのです。

オスの方がメスと比較してひと回り大きく、特に肩の部分の盛り上がりが著しいですね。

持久力に優れた体

アメリカバイソンは、運動能力に優れています。
走らせると、最高で時速65㎞くらいのスピードは出せます。

またジャンプも得意で、垂直に1.8mも飛ぶことが可能です。

そして脚力だけでなく、持久力に優れているのも見逃せないところ。
なんと、断続的に8㎞もの距離を走行できます。

勇敢な性格

通常の成獣であれば、捕食されることは少ないです。
しかしメスや幼獣、病気などで弱っている個体は、タイリクオオカミやピューマ、ヒグマなどに捕食される場合もあります。

とはいえ、黙って捕食されることはなく、襲撃されたらかなりの割合で立ち向かう傾向が見られます。
赤ん坊の個体でも、オオカミに立ち向かうところがあるんですよ。

襲ってきたのが単独であれば撃退できる場合もあり、人間が銃撃しても動じない豪胆な性格です。

しかしこれが仇になってしまって、個体数が減ってしまった側面も・・・。
人間に銃撃されても動じないので餌食になってしまうのです。

19世紀に開拓者が5,000万頭ものバイソンを乱獲したのも、この性格だったためといわれています。

現生種:ヨーロッパバイソン

 

もう1つの種類のバイソンが、『ヨーロッパバイソン』です。
ヨーロッパでは、「ヴィーセント」もしくは「ウィーセント」とも呼ばれています。

野生のヨーロッパバイソンはもういない?

野生のヨーロッパバイソンは存在しない、という意見もあります。
生息地が人間の開発によって破壊された、そして食用として乱獲されたなどの理由が挙げられます。
また、家畜と交雑されたことで、純粋なヨーロッパバイソンが激減したという説も見られます。

1925年にカフカ―ス山脈の個体群が絶滅したことで、野生の個体はいなくなったと考えられているようです。

ただし、かつてのロシア皇帝が動物園に贈ったヨーロッパバイソンの再導入によって、ヨーロッパ東部や旧ソ連で生息が確認されています。
世界遺産のビャウォヴィエジャの森では、1962年時点で40頭の生息が確認されています。

外見や大きさ

体長はオスで250~350cm、メスが220~280cmとされています。
体重はオスが650~1,350kg、メスで430~700kgくらいです。
ちなみに過去記録されている最大体重は1,900kgです。

角は細長く、先端にかけて内側に曲がっています。
四肢はアメリカンバイソンと比較して長いですね。

そして体毛は、上半身の部分が短いです。
耳介は外見からでも確認可能です。

生息環境

ビャウォヴィエジャの森が、ポーランドからベラルーシにかけて広がっていますが、純粋種はこの森に現在生息しています。
一方、亜種の再導入も進められていて、こちらはカフカース山脈などで生息しています。

かつて野生個体が生息していた時代には、広く分布していたといわれています。
ヨーロッパ西部からレナ川以西のバイカル湖あたりまで生息が確認されていたほどです。

バイソンはユーラシア大陸原産だった?

 

今ではアメリカやヨーロッパなどで生息が確認されているバイソンですが、かつてはユーラシア大陸にいたと考えられています。
アジアを経て世界に移動していったと考えられ、日本にもバイソンがいたかも!?といわれています。

アジアから世界に移動していったバイソン

バイソン属の起源は、アジア南方といわれています。
そして昔はユーラシア大陸の広範囲で生息していたと考えられています。

アジアからユーラシア大陸へと徐々に移動していった動物なのです。
その意味ではバイソンのルーツは、アジアといえるかもしれません。

かつては日本にもバイソンはいた?

アジアの一部である日本にも、バイソンがいた可能性があるとみられています。
例えば岩手県にある花泉遺跡では、ハナイズミモリウシの化石が発掘されました。

このハナイズミモリウシは、ステップバイソンというバイソン属の一種に近い特徴を有しているといわれています。
北海道でも北広島市と八雲町で、バイソン属の化石が発掘されています。

バッファローと呼ぶのは間違い

アメリカバイソンを紹介するくだりで、「北米ではバッファローと呼ばれる」と記載しました。
しかしこれは、厳密にいうと間違いなんです。

バッファローはバイソンと同じウシ科の動物ですが、スイギュウの特にアジアスイギュウを指しているので、バイソンとは異なる動物になります。

まとめ

 

バイソンは今では限られた範囲で生息しています。
遠い外国の動物で、私たちには縁のない動物という印象があったかもしれません。

しかし、元々はアジアにいて、日本にも生息していた可能性があるのです。

一時期乱獲などによって、絶滅の危機に瀕したこともありましたが、再導入の試みなどで個体数も徐々に増えているみたいですよ。

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