旧暦で8月を意味する「葉月」、その由来には時期違いの「紅葉」が関係している!?

夏本番となる8月。
酷暑に苦しめられることもあるこの8月には「葉月(はづき)」という別名があります。

暑さの盛りですが、この柔らかみのある名前はどこから来たのでしょうか?
そこでここでは、8月の別名、葉月の由来や意味について解説します。

葉月が8月を意味する理由

 

手紙で月日を記す際、8月は「葉月」と書くことがあります。
では、なぜそのような表記があるのでしょうか。

葉月は旧暦での名称

葉月は明治時代に太陽暦が採用される以前、旧暦が用いられていた時代の8月を指す言葉です。
その名残で、現在では和風月名として8月をあらわす言葉として使われることがあります。

旧暦の葉月と現在の8月は同じじゃない?

葉月が現在も8月を指す言葉として用いられている一方、旧暦と現在の暦では指し示す時期が異なります。
これは現在の暦が採用している太陽暦と、旧暦が使っている太陰太陽暦では暦の作り方が違うことに起因しています。

現在と旧歴の違い①暦の算出方法

太陽暦は文字通り、太陽の運行から1年の暦を算出しています。
それに対し、太陰太陽暦は月の満ち欠けと、季節のズレが生じないように閏月を挟む事で暦を作り上げています。

しかし、この違いだけでは現在の暦も旧暦も1年を約365日としていることから、時期が異なるということはありません。

現在と旧歴の違い②年明けの時期

現在の暦と旧暦とで葉月が指す時期が異なるのは、年明けの時期が違うからです。
現在の暦では、太陽の運行から前年12月31日の翌日が1月1日であり、年明けとなっています。

それに対し、旧暦では年明けを立春の頃の新月の日としています。
立春は現在の暦で2月4日ですので、その周辺の新月の日となると、おおよそ1月20日から2月20日のどこかで年明けすることになります。

年明けが現在の暦と違うのですから、葉月が指し示す8月ももちろん時期がズレます。
現在の暦で8月下旬から10月上旬の頃が、旧暦の8月にあたります。

葉月の意味や由来

 

葉月の名前の由来は諸説あります。
今回はその中からいくつかの説をご紹介します。

葉が美しく色づいていた事が由来とする説

 

葉月も終わりの頃になると現在の10月となっているので、場所によっては落葉や紅葉が始まる季節です。
その事から「葉落ち月」と呼ばれるようになりましたが、そこから名前が省略されることで「葉月」になったという説があります。

稲穂の形状から名前が付いたとする説

葉月の頃になると稲穂も成長しきってきて穂が張るようになってきます。
この様子から「穂張り月」と名前が付けられましたが、そこから「葉月」に転じたという説があります。

渡り鳥を由来とする説

葉月になると、シベリアの方から渡り鳥の「雁」がやってきます。
雁が渡ってくる事から「初来月(はつきづき)」とされましたが、省略され漢字も変化して「葉月」になったという説もあります。

他にもある8月の別名

 

8月には葉月以外にも古来から他の呼び名がありましたので、意味と併せてご紹介します。

仲秋(ちゅうしゅう)

旧暦では7~9月を秋としていました。
そのため秋の真ん中に当たる8月は「仲秋(ちゅうしゅう)」と呼ばれていました。

雁来月(かりくづき・がんらいげつ)・燕去月(つばめさりつき)

 

渡り鳥の雁がシベリアから来る一方、燕がフィリピンなどマレーシアなどの温かい地域に渡って行ってしまうのも葉月です。
その事から「雁来月(かりくづき・がんらいげつ)」や「燕去月(つばめさりつき)」という渡り鳥に関する名前があります。

萩月(はぎつき)

8月頃になると咲く萩の花は昔から和歌で詠まれるなどしており、日本人にとって馴染み深い花と一つとされてきました。
この萩が咲く月であることから8月には「萩月(はぎつき)」という別名があります。

紅染月(こうぞめづき)・木染月(こぞめづき)

葉月は名前の由来にも合ったように紅葉の始まる時期でもあります。
木々が次第に緑から色を変えていく時期であることから「紅染月(こうぞめづき)」や「木染月(こぞめづき)」といった名前が付けられています。

まとめ

「葉月」という名前は、稲穂は頭を垂れるほど成長する季節をあらわしているとも、渡り鳥の雁がやってくる時期を名前の由来にしているといいます。
現在の8月というと夏の真っ盛りですが、旧暦の8月では燕が旅立っていくなど、秋が深まっていく様子を感じさせる時期であることから、それらにまつわる別称もあります。

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